2018/06/25
ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー(5SOS)の新作『ヤングブラッド』が3作連続の首位獲得を果たした、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
本作『ヤングブラッド』は、前作『サウンズ・グッド・フィールズ・グッド』から2年振り、通算3作目のスタジオ・アルバム。2014年のデビュー・アルバム『ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー』、2015年の2ndアルバム『サウンズ・グッド・フィールズ・グッド』はいずれも同チャート(Billboard 200)で1位に初登場し、本作で3作連続の記録を更新した。
初動ユニットは142,000で、そのうちアルバムのセールスが117,000枚、ストリーミングによるみなし売り上げが26,000枚だった。過去2作の初動売上は、デビュー作『ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー』が259,000枚(当初の集計ではストリーミングによるポイント換算はなかった)、2nd『サウンズ・グッド・フィールズ・グッド』は192,000ユニット(そのうちアルバムの売上枚数は179,000枚)で、数字自体は落ちているが、それでもこのセールス不況の中10万枚を突破し、全米チャートでの3作連続1位獲得は快挙といえる。本作は、母国オーストラリアでも3作連続の首位をマークし、UK(3位)やニュージーランド(2位)など、ヨーロッパ各国でもTOP3入りした。
No.1デビューが予想されていた、ジェイ・Zとビヨンセ夫妻によるユニット=ザ・カーターズのデビュー・アルバム『エヴリシング・イズ・ラヴ』は、初動123,000ユニットを獲得したものの、5SOSに敗れ惜しくも2位にデビュー。うち、アルバムの純粋な売上は70,000枚で、ストリーミングによるみなし売り上げは53,000枚だった。
6月16日にサプライズ・リリースされた本作は、当初ジェイ・Zが運営するストリーミング・サービス<TIDAL>のみでの配信で、そのおよそ2日後にスポティファイやiTunesストアなどその他のサービスで視聴・購入できるようになった。また、現時点でのパッケージ(CD、LP)の販売は予定されておらず、こういった特殊なリリース形態が、売上を伸ばせなかった理由として挙げられる。
ストリーミングによる売り上げが少なかった理由としては、収録曲の少なさ(全9曲)もあるが、2週前にNo.1デビューを飾ったカニエ・ウェストの新作『Ye』は、全7曲ながら初動208,000ユニットのうち、およそ120,000枚がストリーミングによるみなし売り上げだった。これと比較すると、視聴回数は思ったほど伸びなかったといえる。2016年に同1位を獲得したビヨンセの6thアルバム『レモネード』は、初動653,000ユニットのうち、アルバムの売上は485,000枚でストリーミングによるセールスは168,000枚。翌2017年に発表したジェイ・Zの13thアルバム『4:44』は、初動262,000ユニットの内訳、174,000枚が実売で88,000がストリーミングによるみなし売上だった。両者のソロ・アルバムと比較しても、勢いは落ちたといえる。
先週の24位から3位に急上昇したのは、エクスエクスエクステンタシオンの2ndアルバム『?』。6月18日に米フロリダ州ブロワードで何者かに銃で撃たれ、その後搬送先の病院で死去したエクスエクスエクステンタシオン。まだ20歳という若さだった。この訃報を受け、翌日、本作収録の「SAD!」がスポティファイだけで1,000万回を超える視聴回数を記録し、1日あたりのストリーミング再生回数としては歴代記録を更新。また、その他の楽曲やアルバムのダウンロードも急増し、前週から一気に順位を上げた。本作は、2018年3月31日付アルバム・チャートでNo.1デビューを果たしている。また、2017年に最高2位をマークしたデビュー作『17』も、55,000ユニットを獲得し、前週の60位から7位へ再TOP10入りした。
5位には、カニエ・ウェストによるプロデュースが話題となった、ナズの新作『Nasir』が初登場。初動77,000ユニットのうち、アルバムの売上枚数は49,000枚で、ストリーミングによる売り上げをセールスが大きく上回った。ラッパーのアルバムとしては珍しいが、いわゆるベテラン系のアーティストは年配層がアルバムを購入するため、ストリーミングよりセールスが強い傾向にある。
本作は、No.1デビューした前作『Life Is Good』(2012年)からおよそ6年振り、12作目のスタジオ・アルバムで、コラボレーション、コンピレーション・アルバムを含めると通算12作目のTOP10入りとなる(そのうち6作が1位)。150万枚を突破した人気のデビュー作『イルマティック』は意外にも最高12位どまりで、スタジオ・アルバムでは2002年の6th『ゴッズ・サン』(12位)もTOP10入りを逃している。
続いて6位に初登場したのは、クリスティーナ・アギレラの新作『リベレーション』。2012年11月リリースの前作『ロータス』(最高7位) から5年半振り、通算8作目のスタジオ・アルバムで、ベスト盤『キープス・ゲッティン・ベター~グレイテスト・ヒッツ』(最高9位)を含む7作目のTOP10入りを果たした。初動ユニットは68,000で、アルバムの純粋な売上枚数は62,000枚。セールスとしては悪い数字ではないが、ストリーミングが非常に弱い。原因としては、先行シングル「アクセレレイト」と「フォール・イン・ライン」の不発が挙げられる。両曲は、どちらもシングル(HOT 100)チャートでランクインしておらず、アルバムのプロモーションに繋げられなかった。
Text:本家一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートの掲載は、6月29日以降予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『ヤングブラッド』ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー
2位『エヴリシング・イズ・ラヴ』ザ・カーターズ
3位『?』エクスエクスエクステンタシオン
4位『ビアボングス&ベントレーズ』ポスト・マローン
5位『Nasir』ナズ
6位『リベレーション』クリスティーナ・アギレラ
7位『17』エクスエクスエクステンタシオン
8位『Goodbye & Good Riddance』Juice WRLD
9位『インベージョン・オブ・プライバシー』カーディ・B
10位『リアビュー・タウン』ジェイソン・アルディーン
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