6月25日付Billboard JAPAN週間“Top Albums Sales”でTHE ORAL CIGARETTES『Kisses and Kills』が25,677枚を売り上げ1位を獲得した。(集計期間2018年6月11日～2018年6月17日)

　『Kisses and Kills』は前作『UNOFFICIAL』から1年4ヵ月ぶりにリリースされたアルバムで、映画『亜人』主題歌「BLACK MEMORY」、TVアニメ『サクラダリセット』EDテーマ「トナリアウ」、フリーダウンロードで話題となった「ReI」を含む全10曲を収録している。

　今回はTHE ORAL CIGARETTESのアルバム過去3作を含め、その初週販売枚数とEコマースの販売数の推移を調査。また、更に、実店舗の部分を地域別に分類し比較した。（図1）

◎直近4作の初週の販売数(カッコ内はうちEコマースの販売数)
『The BKW Show!!』[2014/11/12発売]　4,805枚　(1,827枚)
『FIXION』[2016/1/5発売]　10,951枚　(3,112枚)
『UNOFFICIAL』[2017/2/1発売]　18,919枚　(6,657枚)
『Kisses and Kills』[2018/6/13]　25,677枚　(13,243枚)

　これまでも常に前作を超える販売数をスコアしてきたTHE ORAL CIGARETTESであるが、今作『Kisses and Kills』においては前作『UNOFFICIAL』と比較して1.3倍も増加、さらにEコマース(図1：水色)に限れば約2倍と驚異的な勢いで販売数を伸ばしているのがわかる。

　また地域での特色を見やすくするために、実店舗の売り上げ枚数について『Kisses and Kills』の地域別のシェアと、他アーティストも含めた全アルバムの地域別シェア(期間内に販売された全アルバムの地域別販売比率)を比較した。

◎『Kisses and Kills』の初週販売数の地域別販売比率(カッコ内は全アルバム販売枚数の地域別の割合[集計期間2018年6月11日～2018年6月17日])
北海道　3.5%　(4.8%)
東北　4.9%　(7.0%)
関東　36.8%　(40.1%)
甲信越　2.4%　(3.3%)
北陸　2.7%　(2.4%)
中部　14.3%　(11.5%)
近畿　21.8%　(15.2%)
中国　4.8%　(5.3%)
四国　2.4%　(2.0%)
九州　6.3%　(8.4%)

　地域ごとの売上枚数の割合を見てみると、今作ではメンバーの出身地である近畿地方(図：薄紫色)が非常に高い割合を占めている。また、近畿に隣接している中部地方(図：橙色)も全アルバムの地域別シェアより高い割合を占めたことが分かった。

　更に過去3作も含め、初週販売枚数の推移及び全アルバム販売枚数の地域別の割合と比較し、可視化したのが図2である。

　人口等に影響される地域別のCDの購買力の一般的指標となる全アルバムの地域シェアと、『Kisses and Kills』から３作前の『The BKW Show!!』とを比較すると、『The BKW Show!!』は近畿地方・中部地方で特に集中して販売されている。その後、『FIXION』、『UNOFFICIAL』、『Kisses and Kills』と作品を重ねるごとに、関東や、その他の地方がシェアを伸ばしており、徐々にその販売比率が、全アルバムの地域シェアに近づいているのがわかる。ここから見てとれるのは、初期は近畿地方に集中していたファン層が、徐々に関東や他の地域にも広がりをみせて、日本全体で一般化している事だといえるだろう。

　特に実店舗では在庫を置いてもらわなければ販売枚数を伸ばす事は難しく、在庫を置いてもらうためには十分な知名度が必要となってくる。そんな中、THE ORAL CIGARETTESは北海道・関東・東北・甲信越・北陸・九州でも新譜を出す度に売り上げを増やしており、実績を積み上げるとともに、知名度が確実に上がっている事もデータから証明されている。とはいえ『Kisses and Kills』でもまだ全タイトル地域シェアよりも大きい販売シェアを持っている地方は近畿・中部・四国だけであり、逆に言えば他の地方でもまだ十分に伸びしろがあるという事である。THE ORAL CIGARETTESの今後の更なる活躍にも期待したい。