2018/06/08
楽曲、アルバム共に上半期を通して好調を維持した米津玄師が、アーティストの総合力を示す“TOP ARTISTS”でも首位を獲得、大方の予想通り、2018年を代表するアーティストとして存在感を示した。興味深いのは、ビルボードジャパンが“BUZZ”と呼ぶ、ダウンロード+動画ストリーミング+Twitterのポイントのみを合計したランキングと総合順位が1位から4位まで同じだったことだ。これは、2017年の“TOP ARTISTS”ランキングでもみられた現象で、ダウンロード、動画ストリーミング、Twitterのポイントを楽曲、アルバム両方、またはどちらかで積み上げていかないと高い順位には到達できないという、この3指標が“TOP ARTISTS”の必要条件となったことを示している。これに加え、総合4位までのアーティスト、米津玄師、TWICE、BTS (防弾少年団)、欅坂46は、フィジカル領域でもそれぞれ高ポイントを獲得していて、し烈な競争を勝ち抜いた、文句無しのトップ・アーティストであることを示している。
一方、総合5位から7位のアーティスト、安室奈美恵、乃木坂46、AKB48は、フィジカルが強く“BUZZ”領域が比較的弱い。前述を踏まえ、ダウンロード、動画ストリーミング、Twitterの3指標でのポイントの積み上げが下半期のランク・アップの条件となるだろう。総合8位から13位までのアーティストは、星野源、WANIMA、ONE OK ROCK、Mr.Children、back number、宇多田ヒカルと、再び“BUZZ”領域で強さを発揮したアーティストが並ぶ。これは、音楽ユーザーのデジタル領域への移行が鮮明となった、ひとつの現れといえるだろう。
ここで、デジタルに対して積極的ではないアーティストの同領域での潜在力をみるために、ルックアップの順位をみてみよう。ルックアップとは、CDのPCによる読み取り回数をランキング化したもので、CDに対するユーザーのアクティビティを示し、レンタルの動向を含んで、結果的にセールスより若年層のCDの嗜好を示すランキングとなっている。そのルックアップのランキングから、さらに“BUZZ”ランキングで100位圏外となったアーティストを抽出してみると、嵐(総合18位)、Hey! Say! JUMP(総合19位)、ジャニーズWEST(総合45位)、Kis-My-Ft2(総合26位)と、ジャニーズ系アーティストが並んでいる。これらのアーティストの、コア・ファンに支えられたフィジカル領域での強さを示す一方で、ルックアップが高いことから若年層の支持が強いことも分かるため、もしデジタル解禁が成されれば高ポイントを獲得する可能性が高い。そうなれば“TOP ARTISTS”ランキングも大きく変わり、楽曲やアルバムがコア・ファン以外にも広く浸透していくことだろう。ぜひデジタル領域におけるスタンスについて新たな検討を強く願うばかりだ。
なお、首位を獲得した米津玄師にはインタビューも実施。「Lemon」に込めた思いやチャートの存在、そしてヒットについてどう捉えているのか、最近のお気に入りの曲まで語ってもらった。
【2018年上半期 TOP ARTISTS】
1位 米津玄師
2位 TWICE
3位 BTS (防弾少年団)
4位 欅坂46
5位 安室奈美恵
6位 乃木坂46
7位 AKB48
8位 星野源
9位 WANIMA
10位 ONE OK ROCK
11位 Mr.Children
12位 back number
13位 宇多田ヒカル
14位 KinKi Kids
15位 菅田将暉
16位 GENERATIONS from EXILE TRIBE
17位 エド・シーラン
18位 嵐
19位 Hey! Say! JUMP
20位 Little Glee Monster
集計期間:2017年11月27日(月)~2018年5月27日(日)
◎米津玄師 インタビュー
http://www.billboard-japan.com/special/detail/2340
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