2018/06/01
今年5月下旬、アメリカ・LA出身のドラマー/プロデューサーのルイス・コールとボーカリストのジェネヴィーヴ・アルターディによる2人組KNOWERの来日ツアーが行われた。
KNOWERは、2010年に結成、楽曲はもちろんのことミュージックビデオからライブヴィジュアルに至るまで自分たちで手掛ける新世代バンドである。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのワールドツアーでオープニングアクトを務め、クインシー・ジョーンズ、サンダーキャットといった名だたるアーティストからも絶賛されており、ルイス・コールはサンダーキャットのアルバム『Drunk』の楽曲プロデュ―スも手掛けている。今月5月9日には、2016年にデジタル限定でリリースされたアルバム『Life』を日本限定でCDリリース。満を持しての来日公演となった。ここでは5月28日にビルボードライブ大阪で行われた関西公演の模様をレポートしていきたい。
開演時間を過ぎてフロアの照明が暗転、紫暗のライトがステージを照らす。大きな拍手が沸き起こる中、メンバーが登場。ルイス(Ds)がステージ中央で大きく手を広げ、歓声に応える。軽快なビートに合わせ、小柄な身体を揺らし、キュートに踊り歌うジェネヴィーヴ。ピンクのTシャツにタイトなショートパンツ、ポニーテールとサングラス。エキサイティングかつファンキーで、それでいて最高にクールな彼らの音楽性を表しているように思える。
変拍子にのせ叩き出されるコンテンポラリーなサウンド。と、次の瞬間ガラッと一変するかのように訪れる幻想的なフレーズ。繰り返すリズムにのせて高揚し、やがてスパーク!フロアが一瞬水を打ったかのように静まり返り、次の瞬間、ワッと大きな拍手に包まれた。彼らの音楽性は、まるでクリスタルの結晶のようだ。見る角度によって、まばゆく光を拡散しながら、輝き続けるその姿…目を離すことが出来ず、ただ見惚れずにはいられなかった。
今回のサポートメンバーは、オーストラリア出身のライ・ティスルスウェイト(key)をはじめ、ジェイコブ・マン(Keyboards)、サム・ウィルクス(Bass)。それぞれがLAのみならず世界を舞台に活躍する精鋭たちである。エッジの効いた低音、EDM的要素も感じさせる電子サウンド、さらにミニマムでタイトなリズムを刻むドラミング。それらの要素が一体となり、発展と崩壊、再生、深化を繰り返しながら、新たなサウンドへと昇華していく。今回初めて大阪を訪れたという彼ら。大阪のファンへの感謝を表しつつ、人懐っこい笑顔を浮かべて「TAKOYAKI!very nice!」と話す様子に、会場からも和やかな拍手が沸き起こる。
ライブ後半、「I like this song so much」そんなジェネヴィーヴの言葉の後、始まったのはカジュアルでありながら、ジャジーな要素も感じさせる洗練されたメロディ。伸びやかな彼女の歌声に、会場が静かに引き込まれていく。「We are Knower!Thank you!!」と手を掲げ、ステージを降りるルイス。クインシー・ジョーンズが「KNOWERを観た人は、"もっと聴かせてくれ!"とひざまずくだろう!」とコメントしたのも、深く頷けるところであった。曲を重ねる毎に花開くその豊かな音楽性に、ただただ引き込まれた。この後続く、ワールドツアーでもより多くのファンを魅了していくことだろう。
次回の来日の際には、どんな進化を遂げているのか、今から楽しみだ。
Photo by Kenju Uyama
Text by 杉本ゆかり
◎公演情報
【KNOWER】
ビルボードライブ大阪
2018年5月28日(月)※終了
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