2018/05/08
ショーン・メンデスの新曲「ユース」は、【第60回グラミー賞】で主要<最優秀新人賞>含む計5部門にノミネートされた、R&Bシンガーのカリードがフィーチャーされている。
制作は、そのカリードとショーンの他、ショーンの代表曲「スティッチーズ」を手掛けたテディ・ガイガーや、前2作に楽曲提供したカナダ出身の音楽プロデューサー=ジェフ・ウォーバートン、TOP10ヒット「トリ―ト・ユー・ベター」を制作したスコット・ハリスなど、お馴染みのメンバーによるもの。ロードの『ピュア・ヒロイン』(2013年)や、カリードの『アメリカン・ティーン』(2017年)を担当したニュージーランドのソングライター、ジョエル・リトルがプロデューサーとして起用されている。
アコースティック・ギターのリフが特徴的で、ショーン・メンデスらしいといえばらしいが、これまでリリースしてきたシングルには、あるようでなかったタイプの曲。ラテン・ノリのサウンドに乗せて、ショーンとカリードが相性良くボーカルを重ねる、ポップとR&Bの融合。ジャンルは違えどまったく違和感なく、寄り沿って醸しだされる魅力は、どちらも1998年生まれだからこそ、のもの。風通しの良いサウンドは、来たる夏の夕暮れやドライブのBGMにも最適。
卓越したメロディ、バックサウンドはもちろんのこと、同曲は歌詞の世界も奥が深い。その内容は、昨年英ロンドンで起きたテロからインスピレーションを受けたもので、リリース直前にショーンがSNSに投稿した画像には、詞の一部である「誰も若さを奪うことはできない」というメッセージがあったり、「再び大惨事に満ち、僕の心は壊れた」など現在の社会的、政治的な言及を含んでいる。絶えない暴動に対し、両者は声明を出さなければならない、若者がどう感じているのかを書くべきだ、と立ち上がったワケだ。
カリードの『アメリカン・ティーン』にも、同様のメッセージ・ソングが多数収録されている。彼は、「若者たちの代弁者になりたい」と以前インタビューで話し、自分の立場で今何が出来るか、ということをアピールした。デリケートな内容だけに、捉え方によっては批判されてしまうこともあるが、安っぽさは微塵もなく、熱くもクールなメッセージの側面がきちんとパッケージされている。両者にとって、アーティストとしての成長を伺わせる1曲になったのでは?
同曲は、5月25日に発売予定の3rdアルバム『ショーン・メンデス』からの先行シングルで、3月には「イン・マイ・ブラッド」と「ロスト・イン・ジャパン」の2曲がリリースされている。2015年の1stアルバム『ハンドリトゥン』、2016年の2ndアルバム『イルミネイト』が2作連続で米ビルボード・アルバム・チャート(Billboard 200)1位を獲得したショーン。本作で3作連続の快挙を達成することは間違いなさそうで、この3曲の出来栄えから、アルバムの完成度が如何なものか、内容についての期待も高まる。
しかし、このサウンド・センスにリリック、ベテラン臭さえ漂わす落ち着きっぷりに、まだ19歳という事実が飲み込めない。
Text: 本家 一成
◎リリース情報
「ユースfeat.カリード」
ショーン・メンデス
2018/3/3 RELEASE
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