2018/05/03
英イングランドのエセックス出身、1991年生まれの27歳。幼少期から歌やダンス、演劇をアート・スクールで学び、ミュージカル『レ・ミゼラブル』などで演じた経験もあるという。
歌手としては、2015年7月にリリースしたEP盤『カラテ』でデビュー。チャートインすらしなかったが、タイトル曲や「ジェミニ」はファンの間でも高い評価を得ている。同年11月に発売したシングル「ドゥ・イット・ライト」がゴールド・ディスクに認定され、翌2016年はUKチャートで最高16位をマークした「アラーム」が大ヒット。同年10月には、ショーン・ポールとメイン・ボーカルを務めたクリーン・バンディットの「ロッカバイ」が、母国イギリス他ヨーロッパ各国でNo.1を獲得し、米ビルボード・ソング・チャート(HOT100)でも9位をマーク、全世界で400万ダウンロードを超える大ヒットとなった。
「ロッカバイ」の大ヒットを受け、2017年第一弾シングル「チャオ・アディオス」もUKチャート9位を記録。今年2018年2月に発売したマシュメロとのコラボ・シングル「フレンズ」は、ヨーロッパ各国でTOP10入りし、HOT100でも最新チャート(2018年4月28付)で34位から21位に浮上、“アン・マリー名義”のシングルとしては自己最高位を更新し、初のTOP20入り目前となっている。
本作『スピーク・ユア・マインド』は、彼女にとって初のスタジオ・アルバム。前述のヒット・シングルはもちろん、デラックス・バーションには「ロッカバイ」、日本盤ボーナス・トラックには「カラテ」も収録される。
その 「チャオ・アディオス」は、「ロッカバイ」をベースにしたようなダンスホール・トラックで、早口で展開するアン・マリーのボーカル・ワークも見事にハマっている。この曲の他にも、ラテンとエレクトロ・サウンドが融合した「ゼン」や、レゲエ色が濃厚なダンス・トラック「トリガー」~「キャン・アイ・ゲット・ユア・ナンバー」、 「チャオ・アディオス」の続編ともいえるトロピカル・ポップ「ヘヴィー」、リアーナ風の「バッド・ガールフレンド」等、本作にはカリビアン・テイストを取り入れたダンス・トラックが目白押し。
現在ヒット中の「フレンズ」は、セレーナ・ゴメスとコラボした「ウルヴス」がヒットしたばかりのマシュメロが、いかにノっているかを象徴する1曲。アコースティック・ギターに横ノリのドラム・ビート、アン・マリーのラップを絡めたボーカルなど、ロックやヒップホップ的グルーヴを感じるサウンド・センスは“お見事!”としかいいようがない。ボーカルのみならず、ミュージック・ビデオでみせるアン・マリーの表情豊かなパフォーマンスも素晴らしく、ヒットも納得の出来栄えだ。「アラーム」や「マシーン」など、スタンダードなエレポップも悪くないが、もう少しパンチが欲しかった。
アルバム発売前にリリースした「2002」は、自身の幼少期を振り返ったメロウ・チューン。エド・シーラン、ジュリア・マイケルズといった超売れっ子がソングライターとして参加した意欲作で、ブリトニー・スピアーズの「ベビー・ワン・モア・タイム」(1998年)や、イン・シンクの「バイ・バイ・バイ」(2000年)、ネリーの「ライド・ウィット・ミー」(2000年)等、当時聴いていたヒット曲のタイトルが歌詞に引用されている。元彼に向けた「クライ」や、ピアノの伴奏と彼女のハスキーヴォイスが涙を誘う「パーフェクト」など、スロウ~バラード曲の完成度も高い。
エド・シーラン、ジュリア・マイケルズの他には、そのエドが大ヒットさせた「シェイプ・オブ・ユー」や、クリーン・バンディットの「シンフォニー」を手掛けたスティーブ・マック、リアーナやザラ・ラーソンのヒット曲を担当した、ノルウェー出身のDJ/プロデューサーのフレッド・ボール、ザ・チェインスモーカーズやショーン・メンデスなどを手掛け頭角を現したエミリー・ワレン、クリーン・バンディットのアルバムにも参加しているイナ・ワルズセンなど、大活躍中のヒット・メイカーが多数プロデュースを担当している。
Text: 本家 一成
◎リリース情報
『スピーク・ユア・マインド』
アン・マリー
2018/4/27 RELEASE
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