2018/04/24 18:00
アリアナ・グランデの2018年第一弾シングルは、“前向きに生きていく”という強い意志が込められたダンス・ポップ。タイトルの「流す涙は残っていない」という意味や、「新しい気持ちになった~愛して生きていくの」という前向きな歌詞は、2017年5月に英マンチェスターで起きた爆破テロを受けてのメッセージ・ソング、ということだろう。
それは、リリース同日に公開されたミュージック・ビデオにも反映されている。ラストシーンで登場するハチは、同テロの犠牲者を追悼するシンボルとして選定されたものだそう。このビデオは、映画のワンシーンのような豪華な仕上がりで、 ジャケットにも使われたシルバーのロングヘアを1本にまとめた髪、ロングブーツにドットのワンピース、 グリーンとブラックのゴージャスなドレス、アップにした三つ編み……など、アリアナのビジュアルも見どころのひとつ。
プロデュースは、これまでの作品も手がけたマックス・マーティン、イリア・サルマンザデに加え、ザ・ウィークエンドの「キャント・フィール・マイ・フェイス」や、マルーン5の「ワン・モア・ナイト」、アリアナとニッキー・ミナージュがコラボしたジェシー・Jの「バン・バン」などをヒットさせた、サバン・コテチャが担当している。
アリアナの代名詞ともいえる、天に届く、もしくは天から降ってくるような美しいファルセットで幕を開け、そこからテンポアップしてラップ調のヴァースへ繋ぐ。 80年代後期のダンス・トラックを再現し、マイナーからメジャーへのコード進行、 程良く力の抜けたボーカルから、ダイナミックなサビへ……と、期待を裏切らない展開はどこを取っても否定できないが、“斬新さ”には欠ける。あの惨劇を風化させないという意味でも重要な曲ではあるが、これまでのイメージを覆すような、アーティストとして“責め”の姿勢をみたかったというのが、(あくまで)個人的な感想。
アリアナは、2016年5月に発表したアルバム『デンジャラス・ウーマン』からアルバムを2年発売していない。その間、日本でも大ヒットした映画『美女と野獣』の主題歌と、テロ被害者支援ライブで歌われた「オーバー・ザ・レインボー」を発表しているが、オリジナル・アルバムからのシングル曲としては、ラッパーのフューチャーとコラボした「エヴリデイ」(2017年1月)以来となる。新曲「ノー・ティアーズ・レフト・トゥ・クライ」が、来たる4thアルバムからの先行シングルかどうかは明らかになっていないが、ニュー・アルバムを制作していることは間違いないだろう。
Text: 本家 一成
◎リリース情報
「ノー・ティアーズ・レフト・トゥ・クライ」
アリアナ・グランデ
2018/4/20 RELEASE
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