2018/04/23
2017年6月の来日から1年足らずで、至極のビター・ボイス、ブライアン・マックナイトがビルボードライブに帰ってきた。
レコーディング・アーティストとして25周年となる2017年10月にリリースされたニューアルバム『Genesis』。過去を知り、現在を固め、未来へと向ける。ブライアンの音楽キャリアの分岐点となるマスターピースを引っ提げてのライブだけあって、観客の期待は膨らむばかりだ。
ステージのバック・スクリーンに映し出される『Genesis』のフロント・ジャケット。そして黒いフードを被って、さながらフットワークの軽いボクサーのようにブライアンが登場する。ウィスパー気味にジェネシス、そう唱え、ライブは緩やかにスタートした。
彼の人柄、その親密感に、観客との距離が一気に狭まる。新曲の後には、もちろんなのだがブライアンが作った名曲の数々も披露してくれる。全米2位の「Back At One」他全てが殿堂入り級のクラシック・クオリティ。その上、曲と曲との流れが絶妙だ。そして自身の曲だけにこだわる頑固者というわけではない。オリジナルの歌い手に敬意を表しつつ皆が一緒に歌いたくなるようなダンクラもセットに織り交ぜて、観客を楽しませてくれる。
シンガーのみならずプレイヤーとしてのブライアンもまた素晴らしい。流麗なピアノでの弾き語りや、メランコリックなアコースティック・ギターで、聴き手の魂を揺さぶるプレイを魅せる。バンドを従えるというよりは彼らと溶け込み、溢れんばかりの愛を惜しげもなく音楽に乗せて届けてくれた。
彼のライブをワインに例える人もいるようだ。年を重ねることに円熟さが増し味わいは深まる、と。その一方で92年のデビュー以来変わらぬ聴く者の心を捉えて離さないブライアンの美しき喉。上質さを維持するために相当の研鑽を積み続けていることは想像に難くないが、ブライアン・マックナイトのライブには、洗練、心地良さ、優雅といった、苦労さを全く思わせない気品のある言葉ばかりで形容したくなる。
約束された至福の夜はあと、東京公演が23日、24日の2日間、そして大阪公演は26日のみ。ヴィンテージに酔いしれることができるこの機会を是非お見逃しなく。
Text: 長谷川友(プリンス研究家/ライター)
Photo: Ayaka Matsui
◎公演情報
【ブライアン・マックナイト】
2018年4月22日(日)※終了
1st 開場15:30/開演16:30
2nd 開場18:30/開演19:30
2018年4月23日(月)- 24日(火)
1st 開場17:30/開演18:30
2nd 開場20:30/開演21:30
ビルボードライブ東京
2018年4月26日(木)
1st 開場17:30/開演18:30
2nd 開場20:30/開演21:30
ビルボードライブ大阪
詳細:http://www.billboard-live.com/
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