2018/04/20
2018年4月20日より公開された映画『レディ・プレイヤー1』。これまで『E.T.』や『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『ジュラシック・パーク』などなど、あげたらキリがないほどの数多の名作映画を世に送りだしてきたスティーブン・スピルバーグ監督が、長い月日をかけて完成させた最新作は、誰もが理想のアバターになれるVRの世界<オアシス>が舞台だ。天才創始者ハリデーが隠した3つの謎を見つけるために、主人公ウェイドらトップ5と、大企業IOIの闘いを描いている。
本作の公開前に、13年ぶりにスピルバーグ監督が来日を果たした。Billboard JAPANは映画界の重鎮である監督の合同インタビューに参加。本作のキーワードとなる“80’s”について、そしてスピルバーグ監督が自ら選んだという劇中トラックなどについて話を伺った。
完成までに約3年を費やした監督は「今までで最も技術的に難しいプロジェクトでした。私が制作した映画の中で2番目に時間がかかった作品なんです。1番は『未知との遭遇』。観客が実際にゴーグルをかけて、VRの中に存在しているような感覚を味わって欲しかったんです」と話す。本作には、ハリウッド映画や日本映画の有名キャラクターが数多く登場しており、その共演はスピルバーグ監督の作品だったから実現できたといっても過言ではない。先日公開された映像では、日本人キャストの森崎ウィンのアバターがガンダムに変身しており、国境を越えた夢の共演に、観客も胸を弾ませることだろう。
本作の舞台は2045年だが、登場キャラクターたちが一日のほとんどを過ごす<オアシス>は、1980年代がテーマとして描かれている。劇中には、ティアーズ・フォー・フィアーズの「ルール・ザ・ワールド」や、ブロンディ 「どうせ恋だから(One Way Or Another)」など、当時のヒット曲が作品を彩り、その時代を生きていた人は、どこか懐かしく、生まれていなかった人は新鮮に感じることだろう。アーネスト・クラインの原作『ゲームウォーズ』には約500曲もの楽曲が登場するのだが、驚くことに、使用曲の最終判断を下したのはスピルバーグご本人だ。
多くの候補曲の中で“これだ”と決め手になったのは「シーンに合った曲であり、歌詞がそのシーンのカギになるような、また劇中で起こっているドラマに関連しているかが条件」だったそうだ。「80年代は私が映画製作に非常に深く関わっていた時代で、『E.T.』や『レイダース/失われたアーク』を作った時代であり、最初の子供が生まれた時期です。だから当時の音楽を特に思い出深く感じるんです。イノセント・ディケイド(無邪気な時代)でしたね。今、世界が抱えている問題は起こっていませんでした。だから現代ミュージックより80’sミュージックをより印象強く覚えているのかもしれません」と付け加える。
監督がインタビュー中に何度も口にしたのが、この“Innocent(=純真無垢)”という言葉だ。「80年代はレーガン米大統領の時代で、経済もよく、仕事もあって、カルチャーがすべてを支配していました。映画、音楽、ファッション、テレビなどがです。この映画の舞台である2045年はディストピアで、クラインが80年代にフォーカスしているのは、私たちがそのイノセントな80年代に戻りたいと望めるようにしたからなんだと思います。皮肉に満ち溢れた現代に、『E.T.』を同じ手法で同じ俳優を使って作っても、成功はしないでしょう。80年代だからこそウケたんでしょうね。」
80年代という時代への憧れと、当時の(そして今でも)SF映画の最先端を行っていた監督の心に寄り添っていた80’sミュージックへの愛を語ってくれたスピルバーグ監督。そんな監督に、自身のプレイリストを作るとしたら、どんな曲を入れるか聞いてみた。すると、愛娘サーシャの楽曲をピックアップ。「Buzzy Leeという名前で活動していて、『Coolhand』という曲がSpotifyで配信中です。もうすぐEPをリリースするんですよ。彼女の曲が間違いなくトップに来ますね。その次はロード。そして私がSpotifyで聞くときに必ず外せないのが、ブルース・スプリングスティーン。あとは(コールドプレイの)クリス・マーティンですかね。長いリストになりますよ」と、なんとも貴重な答えをいただけた。サーシャのEP『Facepaint』は4月27日にリリースされるので、ぜひ聞いてみては?
懐かしい音楽をバックに、壮大な展開を繰り広げる映画『レディ・プレイヤー1』は、まるでジェットコースターにでも乗っているようなハラハラドキドキが止まらない作品だ。この作品は、3DやIMAX、4Dなどで観ることをおすすめする。
Text: Mariko Ikitake
◎公開情報
『レディ・プレイヤー1』
公開中
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:タイ・シェリダン、オリビア・クック、マーク・ライランス、サイモン・ペッグ、T・J・ミラー、ベン・メンデルソーン、森崎ウィンほか
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