2018/04/16 18:00
米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で24位をマークした、自身最大のヒット曲「2・オン feat. スクールボーイQ」収録のデビュー作『アクエリアス』(2014年)、アイドルからアーティストへ進化した官能的な意欲作『ナイトライド』 (2016年)に続く、およそ2年振りとなるティナーシェの新作『ジョイライド』は、前作以上に黒いアルバムに仕上がった。
レゲエ・テイストの「ジョイライド」や、ミーゴスのオフセットが参加したトラップ・ポップ「ノー・ドラマ」など、流行を意識したナンバーも目白押し。後者は、ビヨンセやニーヨ等、トップスターの大ヒット曲を手掛けるノルウェイのプロデューサー・チーム=スターゲイトがプロデュースを担当し、オフセットの冷やかしっぽいホイッスルがアクセントになっている。
スターゲイトの他には、 クリス・ブラウンやグッチ・メイン、再ブレイク中の三浦大知もプロデュースした米オハイオ州出身シンガーソングライター= クリストファー・ドットソンや、フューチャーの全米No.1アルバム『Hndrxx』を手掛けたドレー・ムーン、レイ・Jの大ヒット曲「セクシー・キャン・アイ」にフィーチャリング・ゲストとして参加したヤング・バーグ等が、制作陣にクレジットされている。
そのクリストファー・ドットソンがプロデュースしたダンスホール・チューン「ミー・ソー・バッド」には、昨年「アンフォゲッタブル」が全米3位(年間15位)の大ヒットを記録したフレンチ・モンタナとタイ・ダラー・サインがゲストとして参加。サウンドも、思わず“続編か?”とツッコミたくなるくらい「アンフォゲッタブル」に酷似していて、良くも悪くも商売っ気が漂う。
フューチャーとのコラボ・ソング「フェイデッド・ラヴ」や、カリビアン・テイストの「スタック・ウィズ・ミー」、横揺れしてしまうチルアウト系の「ウー・ラ・ラ」あたりは、リアーナのスタイルを継承したようなナンバー。楽曲それぞれのクオリティは高いが、歌い方含めどうにも“誰か”の二番煎じ感否めず、オリジナリティには欠ける。
ただ、適度に力の抜けたファルセットで繋げる「ヒー・ドント・ウォント・イット」や、ブルース調の旋律に合わせてジャジーに歌う「ソルト」、気合いのバラード曲「ファイヤーズ・アンド・フレームズ」など、「あたしって歌うまいでしょ?」と高圧的な印象は一切なく、余裕すら感じられる自信に満ちたボーカル・ワークはすばらしい。単に歌唱力があるというだけではなく、ティナーシェ の艶やかな表現こそ最大の魅力であり、他に類をみない。だからこそ、“誰か”のモノマネっぽいことはしないで欲しかったのだが……。
捉え方はそれぞれだが、ここまでやりきったんだから、そろそろ誰もが知っているヒット曲が本作から生まれて欲しいところ。目を見張る美貌含め、誰もが認める素材の良さがあるにもかかわらず、シンガーとしてなかなかブレイクしないのはナゼなんだろう。
Text: 本家 一成
◎リリース情報
『ジョイライド』
ティナーシェ
2018/4/13 RELEASE
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