2018/04/06
2018年3月31日、ビルボードライブ東京にて小林克也&ザ・ナンバーワン・バンドの公演が開催された。
喜寿(77歳)を迎えた小林克也は、ミック・ジャガーの3つ上、ポール・マッカートニーの2つ上だが、まだまだ元気で、やんちゃである。先頃メジャーでは25年ぶりとなる新作『鯛~最後の晩餐』を発表し、現在はそれを携えてツアー中。これはザ・ナンバーワン・バンドの初期メンバーが再集結した34年ぶり(!)のライブツアーということで、3月31日のビルボードライブ東京公演は1stも2ndも早くにチケットがほぼ完売に。その1部の公演を観た(※セットリストにも具体的に触れているので、このあと広島、名古屋公演をご覧になる方はご注意を)。
主役の小林が初めにステージに登場し、そこから曲ごとにひとり、またひとりとメンバーが呼びこまれていくというあり方の序盤は、小林の音楽ルーツを表わしたもの。エルヴィス・プレスリーにハマった話をして「HEARTBREAK HOTEL」を歌ったり、ほぼ同世代のビートルズの話をして「A HARD DAY’S NIGHT」を歌ったり。ちょっとしたエピソードを披露してから曲タイトルを言う進め方とその発音は『ベストヒットUSA』のあの感じを思い起こさせるが、自らがそれを歌うのが番組とは違うところ。片手を黒のパンツのポケットにつっこみ、ポール・アンカの「ダイアナ」などはかなり気持ちよさそうに歌っていた。
またサザンオールスターズのライブでもお馴染みの斎藤誠が登場して全員揃う前には、「この人たちほどファンキーな音を出せるバンドは、あの頃いなかったですからね。たまに細野晴臣さんに会うと、ナンバーワン・バンドは本当にいいよねって言われて」とバンドメンバーたち……佐藤輝夫(G)、斎藤誠(G)、琢磨仁(B)、成田昭彦(Ds)、深町栄(Key)に対する誇りを言葉に。そうして自身のルーツとなる曲をカヴァーし終えると、今度はリリースしたばかりの新作『鯛~最後の晩餐』から続けて3曲を披露。「SHOWA WOMAN」を歌う際には、「アー・ユー・ヘイセイ・ウーマン?」と客席に呼びかけ、反応のない観客を見ながら「あ、平成ウーマンはここにはいないんですね?!」と納得して笑いをとったりもしていた。
83年の『東京あたり』から「プロレスを10倍楽しむ方法」を歌ったあとは、再び新作に収録された3曲を。スライ&ザ・ファミリー・ストーンかプリンスの「Kiss」かといった連想をさせる「FUNKY KISS」のファンキーなサウンドとグルーヴ感はとりわけ素晴らしく、ザ・ナンバーワン・バンドの圧倒的な演奏力の高さが際立っていた。やはりファンクな行き方の曲でこそこのバンドは力を発揮する。なのに歌詞はといえば下ネタチックで、その塩梅がまたナンバーワン・バンドらしくて最高なのだ。
本編終盤からはお待ちかね、みんなが聴きたがっていた傑作1st『もも』からのあの曲やらこの曲やらを。メンバー紹介のあと、小林は「お客~!」とシャウトしたりもし、そしてステージを降りると客席に分け入って、数人の観客としばらく握手してまわったりも。そんなサービス精神もみんなから愛される理由のひとつなのだろう。
喜寿を迎えてもバカバカしさを愛し、再集結したメンバーたちと共に嬉々としてニワトリの鳴き声を発したりもする永遠のやんちゃおじさん。『最後の晩餐ライブ!!』と銘打たれていたが、これが最後とは到底思えないし、思いたくない。次のツアーも、今から勝手に楽しみにしております!
Text:内本順一
Photo:Masanori Naruse
◎公演概要
【小林克也&ザ・ナンバーワン・バンド 鯛!最後の晩餐ライブ!!】
2018年3月31日(土)※終了
詳細:http://www.billboard-live.com/
〈今後のツアー日程〉
2018年4月8日(日) 広島・広島クラブクアトロ
主催:中国放送 お問い合わせ:RCC事業部 082-222-1133
2018年4月9日(月) 福山・福山県民文化センターふくやま
主催:中国放送 お問い合わせ:RCC事業部 082-222-1133
2018年4月10日(火) 愛知・名古屋ReNY Limited
主催:ZIP-FM お問い合わせ:ZIP-FM事業部 052-241-8118
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