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2018/03/30

『ゴールデン・アワー』ケイシー・マスグレイヴス(Album Review)

 米テキサス州ゴールデン出身、オーディション番組『ナッシュヴィル・スターから誕生した、美貌と才能を兼ねそろえたカントリー・シンガー= ケイシー・マスグレイヴス。自身の楽曲はもちろん、人気シンガーのミランダ・ランバートに楽曲提供する等、ソングライターとしても活躍している。ここ最近は、ケイティ・ペリーやワン・ダイレクションのハリー・スタイルズのツアーにも参加し、知名度を高めた。

  【第56回グラミー賞】(2014年)では<最優秀新人賞>にノミネートされた他、カントリー・アルバム/ソングの2部門を受賞。そのグラミー受賞作品であるアルバム 『セイム・トレーラー・ディファレント・パーク』は、全米アルバム・チャートで最高2位をマークし、 <ベスト・カントリー・ソング>を受賞した 「メリー・ゴーラウンド」等のヒット曲を輩出した。 2015年に発売された2ndアルバム『ページェント・マテリアル』も3位に初登場し、2作連続のカントリー・アルバム・チャート1位を獲得。本作からの先行シングルの「ビスケット」は、60年代を再現したミュージック・ビデオがあまりにもキュートだった。

 新作『ゴールデン・アワー』は、その『ページェント・マテリアル』に続く3年ぶり、通算3作目のスタジオ・アルバム。制作陣には、米テネシー州ナッシュビル出身のポップ・ロック・バンド=シルバー・シーズのダニエル・タシアンと、「ニード・ユー・ナウ」のヒットで知られるレディ・アンテベラムをプロデュースしたシェーン・マカナリー、それからキャリー・アンダーウッド等の人気アーティストに曲を提供したルーク・レアド等が参加している。

 プリンセスを装ったキュートな前作とは対照的に、本作はスカイブルーをバックに、鮮やかなピンクとオレンジの扇子で顔を覆う、クールなカバー・アートが印象的。楽曲についても、前2作より落ち着いた雰囲気のミッド~スロウが中心になっている。特に、子守唄のように優しく歌うピアノの弾き語りバラード「マザー」やラストを飾る「レインボー」のバラードは絶品。

 その他、ジュエルのような浄化系のカントリー・バラード 「スロウ・バーン」、しなやかに交差するファルセットが美しいミッド・チューン「ラブ・イズ・ア・ワイルド・シング」~ 「ハッピー&サッド」、しなやかなタイトル曲など、美しい曲の連続。年齢を重ねたからこそ表現できる、落ち着きや包容力も歌にあらわれている。

 メロウ・チューンのみならず、スタンダードなカントリー・ポップ の「ロンリー・ウィークエンド」や「ワンダー・ウーマン」、ステップを踏みたくなるディスコっぽいリズム「ハイ・ホース」、ロックテイストの「ベルベット・エルヴィス」などのアップも充実。曲間のバンジョーがいい味出している 「オー、ホワット・ア・ワールド」や、独特のリズムに乗せて透き通った歌声が舞う先行シングル 「スペース・カウボーイ」も完成度高い。

 本作について、「もしかしたらネガティブな印象を与えてしまうかもしれないけど、実際は最高の時間を過ごしている」と話しているケイシー。プライベートのみならず、本作で自身初の全米アルバム・チャートNo.1獲得を果たし、公私共に“ゴールデン・アワー”を実感できるかもしれない。

 新生活が始まり、環境の変化や都会の生活に少しお疲れの方には、是非推したい1枚。ケイシーの乾きを優しく潤してくれるボーカルと、オーガニック100%なサウンドで癒されてみては如何?


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ゴールデン・アワー』
ケイシー・マスグレイヴス
2018/3/30 RELEASE

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