Billboard JAPAN


NEWS

2018/02/17 18:00

卑猥なジャケットが波紋を呼んだタイガの新作『Kyoto』、その内容は?(Album Review)

 米カリフォルニア州コンプトン出身。2009年にリリースした「ベッドロックfeat.ロイド」(全米2位/ラップ1位)や、2011年の「ラック シティ」(全米7位/ラップ2位)などのヒットで知られるラッパー=タイガが、新作『Kyoto』をリリース。本作は、昨2017年7月に発表した『BitchImTheShit2(ビッチ・アイム・ザ・シット・2)』からわずか半年ほどで発表した、通算6作目のスタジオ・アルバム。

 タイトルからも予想できるように、本作は京都にインスピレーションを受けている(?)とのこと。しかし、日の丸をバックに、四つん這いになった“豹柄”の女性(しかも全裸)が映し出されている卑猥なカバー・アートが波紋を呼び、早速「日本の文化を汚した」など批判が殺到しているという。解釈の仕方は人それぞれだが、たしかに下品で「あくまで芸術」と言い張るのもどうかと……。ちなみに、モデルの女性は日本人とのこと。

 さて、問題の内容(楽曲)だが、先行シングルの「Boss Up」や「U Cry」など、ラップを取っ払ったメロウ・チューンから、ドレイクそっくりの「Train 4 This」、90年代のR&Bを彷彿させる「King of the Jungle」~「Hard2Look」など、歌モノが満載。冒頭の「Temperature」~ 「Leather in the Rain」のような、フロア向けのダンスホールもあり、まさにドレイクを意識したような作りになっている。トリー・レーンズが参加した、トロピカル・チューン「Faithful」や、米アトランタ出身のラッパー=トゥエンティフォー・アワーズ参加の「Holdin On」も、ドレイクの「ワン・ダンス」まんま。80年代後期に流行した、トークボックスを起用した「Hot Soup」は、ブルーノ・マーズあたりに影響されたか(?)アシャンティの「フーリッシュ」が歌詞に登場する「JA RULE&ASHANTI」も同曲のようなメロウ。

 「Come and Ball Wit Me」や、グッチ・メインとのコラボ曲「Sip a Lil」など、これまでのタイガらしいヒップホップもあるが、圧倒的に「歌」が多く、ラップ・アルバムとは云い難い内容になっている。また、タイトルの「京都」のイメージとも程遠い。前作『BitchImTheShit2』のような、ポップ要素のないヒップホップ・アルバムを期待していた方には当て外れかもしれないが、大衆受けは良さそうな内容ではある。この路線変更が、吉と出るか、それとも……。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『Kyoto』
タイガ
2018/2/16 RELEASE

ACCESS RANKING

アクセスランキング

  1. 1

    【ビルボード 2025年 年間Top Lyricists】大森元貴が史上初となる3年連続1位 前年に続き5指標を制する(コメントあり)

  2. 2

    【ビルボード 2025年 年間Artist 100】Mrs. GREEN APPLEが史上初の2連覇を達成(コメントあり)

  3. 3

    【ビルボード 2025年 年間Top Albums Sales】Snow Manがミリオンを2作叩き出し、1位&2位を独占(コメントあり)

  4. 4

    【ビルボード 2025年 年間Top Singles Sales】初週120万枚突破の快挙、INI『THE WINTER MAGIC』が自身初の年間首位(コメントあり)

  5. 5

    <年間チャート首位記念インタビュー>Mrs. GREEN APPLEと振り返る、感謝と愛に溢れた濃厚な2025年 「ライラック」から始まった“思い出の宝庫”

HOT IMAGES

注目の画像