2018/01/03
自身最大のヒット曲「ロリポップfeat.スタティック・メジャー」(2008年)や、ドレイクとタッグを組んだ「シー・ウィル」(2011年)など、2000年代後期に一大ブームを巻き起こした米ニューオーリンズ出身のラッパー=リル・ウェイン。しかし、昨年はSNSで引退をほのめかす投稿をしたり、今年はファンにドリンクを投げつけライブが中止になったりと、ゴシップばかりで話題になっているのが、正直悲しくなってしまう。今年9月には癲癇を患っていること発表していて、体調・精神面も心配される。
2016年夏に公開された映画『スーサイド・スクワッド』のサウンドトラックに収録された「サッカー・フォー・ペイン」(全米ソング・チャート1位/ラップ・チャート1位)や、ドレイク&ニッキー・ミナージュとの「ノー・フローズ」(2017年/全米14位)、そして9年振りの全米No.1獲得となったDJキャレドの「アイム・ザ・ワン」など、チャートは賑わせたものの、これらは他アーティストとのコラボレーションで、自身のシングル曲ではない。また、T-ペインとのコラボしたミックステープ『T-Wayne』を5月に、7月にはEP盤『In Tune We Trust』を連続で発表したが、どちらもさほど話題にならないまま終わった。
本作『Dedication 6』は、その『T-Wayne』に続く2017年2作目となるミックステープで、自身のレーベル「ヤング・マネー」所属のニッキー・ミナージュやフーディ・ベイビー、2013年のヒット作『アイ・アム・ノット・ア・ヒューマン・ビーイングII』にも参加したコーリー・ガンズなどがフィーチャリング・アーティストにクレジットされている。おなじみDJドラマがバックを務めた「Dedicationシリーズ」の6作目で、これまでの作品と同様、本作も人気アーティストのナンバーを使用したタイトルが全15曲収録されている。
今年最大のヒット作、ケンドリック・ラマーの『DAMN.』から「DNA.」を使用した「Fly Away」にはじまり、通算8週の全米No.1ヒットとなった、ポスト・マローンの「ロックスター」をニッキーが歌う「5 Star」、ミーゴズの「Bad and Boujee」でブレイクしたリル・ウージー・ヴァートの「XO Tour Llif3」使いの「XO Tour Life」など、選曲もしっかりおさえていて、ヒット曲好きのリスナーには楽しめる内容になっている。
リル・ウェインっぽさが活かされた、21サヴェージの「Bank Account」のカバーや、Gイージーの「No Limit」をアレンジした「Young」など、ベテランとしての意地をみせつけたナンバーも完成度が高い。アトランタの新星・6LACKやリル・ベイビーなど、若手の楽曲も積極的に取り入れる一方、リル・ウェインの移籍が噂された、ロック・ネイションの代表=ジェイ・Zの「The Story of O.J.」(12曲目のBlackin Out)も使われたりしている。ということは、彼らの関係は悪化していない……(?)。
企画としては面白いし、オリジナル曲の使い方も「さすが」と唸らす上手さだが、さすがに6作目となるとマンネリ化も否めず、ほぼ“カバー・アルバム”に近い内容に、ウンザリしているファンもいるのではないだろうか。となると、やはりオリジナル・アルバムの発売が望まれる。その期待の新作『Tha Carter V』のリリースは間近ではないかと報じられているが、移籍や金銭問題、体調面など、問題はまだまだ山積み。
Text: 本家 一成
◎リリース情報
『Dedication 6』
リル・ウェイン
2017/12/25 RELEASE
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