2017/11/17
11月5日、若手実力派女優として各方面で活躍を見せている真野恵里菜が、シンガーソングライターの瀧川ありさと合同イベント【ありえりの会】を新宿BLAZEにて開催した。
このイベントは、同い年で、ハロー!プロジェクトが好きで、プライベートでも一緒にご飯に行く仲良しのふたりが、「2人でイベントやろーよ!」と、Twitter上でやり取りをしたことがきっかけ。ふたりの歌いたい曲を歌って、話したいことを話すというコンセプト(?)で、真野と瀧川のプライベート感を存分に盛り込んだイベントとなった。
場内が暗転し、大きな拍手とともに双子コーデに身を包んだふたりがステージに迎えられる。【ありえりの会】の幕開けを飾ったのは「赤いフリージア」。真野とともに歩んできた生粋のマノフレにとってはメロン記念日の名曲。ここ数年でハロプロを好きなった人たちには、道重さゆみがモーニング娘。になるきっかけとなった曲であり、そして卒業の際に歌った曲、と言った方がいいかもしれない。真野と瀧川、ふたりの声が息ピッタリにユニゾンで重なれば、この曲に親しみあるマノフレ(真野恵里菜ファンの総称)が率先して「えーりな!」「あーりさ!」と、コールを入れていく。
さらに松浦亜弥のヒットシングル「The 美学」のカップリング曲として世に発表された「I know」が続くなど、冒頭からなかなかにハロプロマニアックな選曲。加えて、小学生の頃からハロプロ漬けの日々を送ってきた瀧川が、真野の横で「音楽って素晴らしい! つんく♂さんって素晴らしい!」と、目を輝かせている姿は、どこからどう見ても“たどり着いた女戦士”ならぬ、単なる“(現場に)たどり着いた女ハロヲタ”である。
ゆるっとふわっとなMCコーナーのあとには、誕生して20周年を迎えているモーニング娘。のメジャーデビュー曲「モーニングコーヒー」が披露される。驚くべきは瀧川ありさ。幼い頃に相当聴き込んだのであろう、歌割りをあらためて確認するまでもなく、歌い方、声の出し方を聴いているだけで、「今歌っているのは石黒彩のパートだ」とか「飯田圭織のパートだ」と、手に取るようにわかってしまうほど。「ハロプロエッグだった娘は、先輩の歌い方を真似るところから入る。」とは、一時期、ハロプロエッグのメンバーとして真野とともに活動したこともある吉川友の過去の発言だが、幼い頃の瀧川もエッグが辿るやり方で、無意識のうちにボーカルを鍛えていたのかもしれない。
昼公演では、ここで森高千里の「雨」と「渡良瀬橋」が歌われる。「雨」といえば、“ハロー!プロジェクトで双璧をなす雨女” “ハロプロの雨女二大巨頭のひとり”と謳われた矢島舞美(当時は℃-ute)もカバーした楽曲。そんな曲を本イベントでは瀧川ありさと一緒に真野恵里菜が歌う。ご存知のとおり、当時、矢島にも匹敵するハロプロ最強クラスの雨女と呼ばれたのは、他でもない真野である。
晴天だったからと油断していたマノフレの動揺を前に、真野と瀧川はしっとりと歌い始める。元々アイドルというジャンルで活動していたということもあり、ソロ曲では元気な曲が多い印象の真野だが、むしろ情景が思い浮かぶようなバラードを耳にすると、ハロー!プロジェクト卒業後、彼女が女優としてキャリアを積み重ねる中での努力の跡が見えてくる。まるで演じるように歌い、歌うように演じる姿。確実に曲の魅力を何倍にも増幅させる表現者・真野恵里菜の姿がそこにあった。
ふたりのソロコーナーをはさんで、終盤は昼公演が「BE HAPPY 恋のやじろべえ」(オリジナルはたんぽぽ)、夜公演では「笑顔に涙~THANK YOU! DEAR MY FRIENDS~」(松浦亜弥)を歌ったのち、赤羽橋ファンク全開な「インスピレーション!」(モーニング娘。)で会場をダンスフロアに変える。そして本編最後の曲は「Never Forget」。多くの先輩・仲間を卒業公演で見送ってきた真野にとって、やはりこの曲には特別な思い入れがあるのだろう。曲中に瞳を潤ませては、気づかれないよう、さり気なく“唇を噛み締めて空を見上げるクセ”を見せていた。
アンコール代わりの「ありさ、えりな」コールを受けて、ハロプロファンにはおなじみ、漫画家のナカG 氏が、並々ならぬ熱量でビジュアルを描いたという「ありえりTシャツ」姿に着替えてふたりが再びステージに登場。冒頭に紹介したとおり、ふたりが歌いたい曲、コアなハロプロ縛りと言っても過言ではない楽曲とともに展開された合同イベント【ありえりの会】について、瀧川は「でもね、根源だと思うのよ。音楽の。本人たちが楽しんでいるのって一番大事じゃない?」と語る。真野も「結構、みなさん目線というか……。(ふたりとも)根がハロヲタなんで、『この曲を安易に歌っちゃダメだろ』とか『ここで持ってきていいのかな?』とかいろいろ考えて、いろいろ考えすぎた結果、候補曲が出すぎたんですよ。だから結局“自分たちが歌いたい曲を”と。」と、“自分たちのエゴが詰まったセットリスト”が生まれた背景を紹介した。
「いろいろ考えちゃうんだけどさ、なかなか“やりたい!”って言ってもできないことって多いじゃない? “やれること”と、“やりたいこと”と、“やらなきゃいけないこと”って違うと思っていて。でもこうやってお互いがお互いの道の仕事をしつつも、今日集まって仕事できたっていうのは、ひとつのことをやってきてよかったなって思った。もちろん今までのライブもすごい楽しかったの。でも、実際、(ありさちゃんと)友達になって、お互いハロー!プロジェクトの曲が好きで、昔のハロプロ……もう「プラチナ期、最高!」とか言ってたり、「やっぱ『ベスト!モーニング娘。1』だよね、とか。それでこうやってイベントができて、来てくれるみなさんがいて幸せです。」── 真野恵里菜
真野が代表して今の想いを語って、いよいよ本イベントラストの曲へ。ふたりが選曲したのは、モーニング娘。の作品から「いいことある記念の瞬間」。もちろんふたりが振り付きでパフォーマンスすれば、オーディエンスも手を上げて応える。中にはこの曲を知らなかった人もいたかもしれないが、今、この瞬間、確実に真野恵里菜と瀧川ありさ、そして集まったふたりのファンたちは一体となって<自分を信じて 強く生きよう>と歌っている。思うに、きっとこの曲は、ステージ上のふたりにとって、上手くいかないことや葛藤だらけの毎日の中で、何かあるごとに背中を押してくれた楽曲でもあったのだろう。そして、ふたりにとって、これからも背中を押し続けてくれる楽曲なのだろう。
そんなことを感じさせながら、【ありえりの会】は再開の約束を交わし、明日からのそれぞれの毎日に向けて幕を閉じたのだった。
真野恵里菜は、出演する映画『覆面系ノイズ』が11月25日より全国公開。また、女性ファッション誌『JJ』ではレギュラーモデルを務めているほか、J-WAVE『AVALON』は週替りでパーソナリティーにも挑戦中。一方、瀧川ありさは、ワンマンライブツアー【ワンマンライブツアー2017-2018 “A Song For Your Heart”】を12月13日の福岡INSAよりスタートさせる。
text and photo by Yosuke Tsuji
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