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2017/11/06

カイゴの新たな挑戦がたくさん詰まった最新アルバム『キッズ・イン・ラヴ』(Album Review)

 ジャスティン・ビーバーの「ホワット・ドゥ・ユー・ミーン」ドレイクの「ワン・ダンス」など、2015年頃から大ブームを巻き起こした“トロピカル・ハウス”の第一人者、カイゴ。DJ業やプロデュースのみならず、母国ノルウェーでNo.1を獲得した「ファイアーストーンfeat.コンラッド・スーウェル」や「ストール・ザ・ショウfeat.パーソン・ジェームズ」など、自身の楽曲もヒットさせ、今年2月にはセレーナ・ゴメスとデュエットした「イッツ・エイント・ミー」が、全米ソング・チャートで初のTOP10入りを果たしたのも記憶に新しい。

 その「イッツ・エイント・ミー」や、ヒット曲「ファースト・タイムfeat.エリー・ゴールディング」含む5曲入りEP盤『スターゲイジング』を9月22日にリリースしたばかりだが、間髪入れず2作目のスタジオ・アルバム『キッズ・イン・ラヴ』を11月3日に急遽発表。尚、3日にリリースされたのは配信アルバムで、正式なアルバム・リリースは11月15日となる。

 本作からは、米マサチューセッツ州のポップユニット、ザ・ナイト・ゲームをフォーチャーしたタイトル曲が、先行シングルとして10月にリリースされた。カイゴらしい、キラキラしたエレクトロ・ポップではあるが、トロピカル・ハウス的要素は大分薄まっている。近年のコールドプレイあたりに近い感じか。

 オープニングの「ネバー・レット・ユー・ゴー」でボーカルを担当したのは、カルヴィン・ハリスの「ブレイム」にフィーチャリング・ゲストとして参加し大注目された英国の人気シンガー、ジョン・ニューマン。「ブレイム」以上に力強く歌うジョン・ニューマンのボーカルが、ライトな曲調をヘヴィに仕上げている。続く「サンライズ」には、ニュージーランドのシンガー・ソングライター、ジェイソン・ウォーカーがフィーチャーされている。この曲も「ネバー・レット・ユー・ゴー」同様、ジェイソン・ウォーカーの突き抜けるようなボーカルが曲の良さを際立てた、男気溢れるダンス・トラックだ。

 3曲目の「ライディング・ショットガン」は、カイゴの本領ともいえるトロピカル・ハウス調のナンバー。ゲストのボニー・マッキーは、米ワシントン州出身の女性シンガー・ソングライターで、自身の楽曲よりもケイティ・ペリーの「カリフォルニア・ガールズ」や「ロアー」、ブリトニー・スピアーズの「ホールド・イット・アゲインスト・ミー」などの全米No.1ソングを手掛けたことで注目された人物。彼女とのコラボらしい、キュートなエレポップに癒される。

 ワンリパブリックがフィーチャリング・ゲストの「ストレンジャー・シングス」や、アフロジャックやマシュメロとのコラボで注目された、ニューヨーク出身のシンガー・ソングライター、レイベル参加の「ウィズ・ユー」など、ザ・チェインスモーカーズの「クローサー」を意識したような、哀愁系エレポップ・チューンもすばらしい出来栄え。アヴィーチーの「ユー・ビー・ラブ」でユニークな歌声を披露した、ビリー・ラフォールとのコラボ「アイ・シー・ユー」は、単にエレクトロ・ミュージックでは表せない様々なジャンルが入り混じっている。脱トロピカル・ハウス…とまでは言えないが、本作にはこれまでになかった、カイゴの新たな挑戦がたくさん詰まっている。

 11月15日にリリースされる国内盤には、ボーナス・トラックも収録される予定。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『キッズ・イン・ラヴ』
カイゴ
2017/11/3 RELEASE

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