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2017/10/17

ツンデレ? 都合の良い女? 劇団ひとりさながらの寸劇も! キュートな多重人格系SSW“ましのみ”メジャーデビュー「絶対ビッグになる」

 ポップに見えて歪、歪に見えてポップ、あらゆるベクトルに突っ走れる素養を持つ現役女子大生シンガーソングライター・ましのみ。インディーズシーンで注目を集めていた彼女が10月14日 渋谷WWWでフリーワンマンライブを開催し、満員のオーディエンスの前でメジャーデビューを発表した。

<2リットルの水をがぶ飲み。おっぱいなくても肩こりはする>

 まだ彼女を知らない人の為に、ましのみがどんな女の子でありアーティストなのか。同公演の冒頭に披露されたフリースタイルラップから得た情報で紹介すると、現在二十歳の女性シンガーソングライター。言葉遊びとポップなメロディーが好き。ピアノのペダルの上で足踏みしながら歌えているならほぼほぼハッピー。2リットルの水をがぶ飲み。ギターとラップもときどきする。おっぱいなくても肩こりはする。

<見た目はキュート。劇団ひとりさながらの寸劇をいきなり始める>

 また、このフリースタイルラップで紹介し切れなかった特徴を伝えると、見た目はキュート。人によっては若干のあざとさも感じるかもしれない。が、彼女のイメージは一箇所に留まる事を知らない。その音楽性と同様にキャラクターもめくるめく変化していくカメレオンタイプというか、この日のライブを観ている限りでは多重人格? さっきまでゴキゲンに歌い踊っていたかと思えば、劇団ひとりさながらの一人ニ役の寸劇をいきなり始めてしまう。

タミコ:ねぇねぇ! タクヤくん。
タクヤ:なんだよ、タミコ。
タミコ:私ね、ずっと前からタクヤくんのことが大好きだったの! よかったら付き合ってください!
タクヤ:あー、分かってたよ。
タミコ:え?
タクヤ:いやー、おまえ、分かりやすいからさ。大体俺のこと好きなんだろうなっていうのは、なんとなく感付いてたよ。
タミコ:えぇ? 嘘でしょ! あー、もうヤダ、私ったら。すごい恥ずかしいじゃない。あー、でも、そんな風にすぐ人の気持ちを汲み取れるようなところも全部含めて、私、やっぱりタクヤくんのこと好きだなぁ~。
タクヤ:おまえ、大丈夫か? ひとりでブツブツ言ってるけど……
タミコ:あ! ごめんごめん! ごめんごめんごめん! ご、ごめんごです!
タクヤ:落ち着けって、大丈夫だからさぁ。それで、さっきの答えなんだけど、あの、俺もタミコのこと好きだよ。
タミコ:えぇー! ほんと? ほんとに!? ほ、ほ、ほ、ほ、ほ、ほ、ほ、ほー! ホッケッキョー!
タクヤ:おまえ、ビックリしすぎてウグイスみたいになるのやめろよ(笑)。ビックリするじゃん。
タミコ:あー、ごめん。だって……あ! でも、てことは、もしかして! 今日から私たちカップルになったってこと……
タクヤ:あ、わりぃ。それはキツいかなぁ。なんかさ、俺、他に本命でさ、好きな人がいるんだよ。だから付き合うのはちょっとキツいと思うけど……ま、水曜日だけデートとかなら出来るよ? その、俺の今狙ってる子が水曜日バイトがあるらしいの。だから水曜日だけ一緒にご飯食べるとかなら、まぁ出来るけど~。どうする? タミコ。水曜日デート、する?
タミコ:え? …………うん。する~。

 そんな純愛から都合の良い女になってしまう切ない寸劇の後、彼女はピアノの前に腰掛けて深く息を吸い込み、「ハッピーエンドが見えませーん! ハッピーエンドが見えませーん 見えませーんたら見えませーん」と切なさを軽快なビートに乗せて歌い出していく。かつて「惨めじゃない日はありません」とハイトーンで切々と歌い上げた伝説のシンガーソングライター・倉橋ヨエコをも彷彿とさせる、それでいて圧倒的にポップな世界観で歌うもんだから笑顔を誘ってしまうという、妙に面白い現象を巻き起していた。

<来年2月にポニーキャニオンよりメジャーデビュー!>

 また、後半では「私の名前は?」「ましのみ!」のコール&レスポンスを繰り返し、どんなに観客が大声を出し続けても「そんなもんなの?」とSっ気を惜しみなく露わにしながら、最後の最後に「ふふん」と満足気な表情を浮かべるツンデレぶり。そこから「エゴサーチで幸あれエブリデイ」「プチョヘンザしちゃだめ」などタイトルからしてインパクト大のリリカルなダンスミュージックを展開し、やがては水曜日のカンパネラとの邂逅も有り得そうな、ソリッドかつフリーダムな世界を創出。冒頭に「あらゆるベクトルに突っ走れる素養を持つ」と記したが、まさしくその通り、何でもアリのライブをこの日も堪能させてくれた。

 そして「ラップでもしようかなと思います」とライトに重大発表のコーナーへ突入するのだが、パッパパー♪ とベタな効果音付きでスクリーンに映し出されたワードは「太腿の筋肉がめっちゃついた」や「中国語のテストで95点獲得」といったツイッターでやれやwwwと誰もがツッコまずにいられない、単なる日常の報告。しかし三度目の正直、最後の最後に発表されたのは「来年2月7日にアルバムリリース」そして今作でもっての「ポニーキャニオンよりメジャーデビュー決定!」会場は拍手喝采に包まれる。

<私が言うと都市伝説になっちゃう……見たこともないような世界に>

 「音楽活動を始めて2年半ちょっと、3年経ってないくらい。私は初めてのライブに出たときから「ずっと音楽を生業にして生きていこう」と心に決めていて。で、もっと多くの人に知ってもらわなくちゃいけない。簡単に言うと、もっと売れなくちゃいけない。その為にはまず手段としてメジャーデビューを。いろんなプロフェッショナルな人に力を貸してもらえるようになって、もっともっと活動の幅、知ってもらう間口も広げていかなくちゃいけない。だから今嬉しい気持ちも大きいんですけど、いちばん率直な感想としては、変な意味ではなくて、その為に立たなければならなかった最低限のフィールドにやっと立つことが出来たなという感覚です。私が言うと都市伝説になっちゃうと思うので、聞き流したい人は聞き流してもらっていいんですけど……(中略)絶対にビッグになる。もっと広くて、面白くて、見たこともないような世界に皆さんを連れて行くので、これからも変わらずましのみをどうぞよろしくお願いします!」

 こうしてもう後戻りの出来ないメジャーのステージへ突き進むことが決定した、あらゆる可能性に満ち溢れている多重人格系シンガーソングライター・ましのみ。果たして彼女はどんな世界へ我々を連れて行ってくれるのか、大いに注目してほしい。

取材&テキスト:平賀哲雄
カメラマン:木村智軌

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