2017/10/11 09:00
カントリー・シンガー、シャナイア・トゥエインの復帰作『ナウ』が初登場1位に輝いた、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
全米だけで1100万枚を売り上げた前作『アップ』(2002年)から、15年振り、5作目となるスタジオ・アルバム『ナウ』。本作は、全英、オーストラリアでも首位デビューを果たし、本国カナダでも3作連続のNo.1獲得が確実視されている。
シャナイア・トゥエインは、1993年にアルバム『シャナイア・トゥエイン』でデビュー。当初の売上は鳴かず飛ばずだったが、後のヒットを受け、累計100万枚のセールスを獲得した。1995年リリースの2ndアルバム『ウーマン・イン・ミー』(全米5位/全英7位)がアメリカの売上だけで1200万枚を突破し、大ブレイクを果たす。そして、1997年リリースの3rdアルバム『カム・オン・オーヴァー』が2000万枚のビッグヒットとなり、女性アーティストのアルバムとして歴史上最高の売り上げを記録した。スタジオ・アルバムが3作連続でダイヤモンド・アルバムに認定されたアーティストは、シャナイア以外にいない。
本作『ナウ』の初動ユニット数は137,000で、アルバムの純粋な売上は134,000枚だった。つまり、ストリーミングによるポイントは極僅かだったことになる。アルバムが売れなくなった昨今、週間セールスだけで13万枚を突破したのは快挙といえるが、ストリーミングの弱いアーティストにとっては、非常に不利な集計になっている。2015年11月にリリースしたアデルの3rdアルバム『25』のように、ストリーミングを除く売上が1000万枚を突破するケースもあるが、稀だろう。4作連続のダイヤモンド・アルバムとはならないかもしれないが、15年ものブランクを感じさせないアルバムのクオリティと、衰えない人気の高さを証明した。
2位には、10月2日に死去したトム・ペティ率いるトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのベスト・アルバム『グレイテイスト・ヒッツ』が登場。訃報を受けて急上昇し、週末の集計期間を含んでいないにも関わらず、84,000枚を売り上げた。32位には『アンソロジー』、122位には1979年リリースの3rdアルバム『破壊』がリエントリーを果たしている。次週も、その他のアルバムがランクインすることが予想される。
3位には、デミ・ロヴァートの6thアルバム『テル・ミー・ユー・ラブ・ミー』がデビュー。週間ユニット数は75,000で、アルバムの売り上げは48,000枚、ストリーミングによるポイントが27,000、どちらも安定したポイントを獲得した。本作からは、今週のソング・チャートで8位にランクインしている先行シングル「ソーリー・ノット・ソーリー」がヒットし、アルバムのプロモーションに繋げた。2009年の2ndアルバム『ヒア・ウィー・ゴー・アゲイン』が初の全米1位に輝き、前作『コンフィデント』(2015年)は最高2位だった。2作目となる首位獲得は逃したものの、2008年のデビュー作『ドント・フォーゲット』(最高2位)から、6作連続でTOP10入りを果たしている。
続いて4位には、米ニューヨーク州ブロンクス出身の新人ラッパー、ア・ブギー・ウィット・ダ・フーディのデビュー作『ザ・ビガー・アーティスト』が初登場。これまでに、2作のミックステープとEP盤を1枚、10曲以上のシングルをリリースしてきたが、正式なスタジオ・アルバムは本作が初となる。初動ユニット数は67,000で、アルバムの売り上げは1万枚程度、ストリーミングによるポイントが大半を占めた。本作のヒットに繋げたのが、今年3月にリリースしたシングル「ドロウイング」。「トンネル・ヴィジョン」が大ヒット中だったラッパー、コダック・ブラックをゲストに招いたこの曲は、ポップ38位/ラップチャート11位のスマッシュ・ヒットを記録した。
TOP5は全て初登場作品で、5位にはマイリー・サイラスの4年振りとなる新作『ヤンガー・ナウ』がデビューした。アイドル・シンガーとしてデビューした2007年の1stアルバム『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ2』、翌年リリースの2ndアルバム『ブレイクアウト』、そして「ウィ・キャント・ストップ」や「レッキング・ボール」などのヒット曲を輩出した前作『バンガーズ』(2013年)に続く、4作目の全米No.1獲得とはならなかったが、これまでのイメージを一新した、カントリーやブルースなどを取り入れた意欲作として、評論家から高い評価を得ている。
14位には、R&Bシンガーのテイマー・ブラクストンが「最後のアルバムになる」と発表した『ブルーバード・オブ・ハピネス』がデビュー。24位には、米ワシントンD.C.出身のR&Bシンガー、タンクの8作目となるスタジオ・アルバム『サベージ』が初登場した。
Text:本家一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートの掲載は、10月11日22時以降予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『ナウ』シャナイア・トゥエイン
2位『グレイテイスト・ヒッツ』トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
3位『テル・ミー・ユー・ラブ・ミー』デミ・ロヴァート
4位『ザ・ビガー・アーティスト』ア・ブギー・ウィット・ダ・フーディ
5位『ヤンガー・ナウ』マイリー・サイラス
6位『ストーニー』ポスト・マローン
7位『Luv Is Rage 2』リル・ウージー・ヴァート
8位『エヴォルヴ』イマジン・ドラゴンズ
9位『DAMN.』ケンドリック・ラマー
10位『÷(ディバイド)』エド・シーラン
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
1
【ビルボード 2025年 年間Top Lyricists】大森元貴が史上初となる3年連続1位 前年に続き5指標を制する(コメントあり)
2
【ビルボード 2025年 年間Artist 100】Mrs. GREEN APPLEが史上初の2連覇を達成(コメントあり)
3
【ビルボード 2025年 年間Top Albums Sales】Snow Manがミリオンを2作叩き出し、1位&2位を独占(コメントあり)
4
【ビルボード 2025年 年間Top Singles Sales】初週120万枚突破の快挙、INI『THE WINTER MAGIC』が自身初の年間首位(コメントあり)
5
<年間チャート首位記念インタビュー>Mrs. GREEN APPLEと振り返る、感謝と愛に溢れた濃厚な2025年 「ライラック」から始まった“思い出の宝庫”
インタビュー・タイムマシン







注目の画像



10月21日付 Billboard 200 全米アルバムチャート
実に15年振りの新作からうかがえる、シャナイア・トゥエインの“今”とは?(Album Review)
世界の歌姫シャナイア・トゥエイン、15年ぶり待望のニュー・アルバムが9月発売
シャナイア・トゥエインが病気のため2公演中止、“最後のツアー”短縮の可能性も










