2017/09/30
2017年9月2日、SuGが日本武道館でのワンマンライブ【HEAVY POSITIVE ROCK】を最後に10年間の活動に終止符。武瑠(vo)、masato(g)、yuji(g)、Chiyu(b)、shinpei(dr)、何があろうと足掻きながら我が道を突き進んできた異端児たちは、この時まで何を掴もうと戦い続けていたのだろうか。そして、その戦いの果てに何を届けようとしたのだろうか? あれから28日……無謀とも言える挑戦に夢を見続けさせてもらった者として、最後のSuG総括記事をここに刻みたい。
<閉鎖的な印象のあったヴィジュアル系シーンから生まれた異端児>
SuGとの出逢いは2012年初頭。オーバーグラウンドとアンダーグラウンド、エンターテインメントとアートの狭間をサカナクションが絶妙に泳ぎ切りバンドシーンの革命児となり、中田ヤスタカとのタッグでブレイクしたきゃりーぱみゅぱみゅが斬新なアプローチで新たなポップアイコンとなり、すっかりムーヴメント化していたアイドルシーンからもありとあらゆるアイデアやクリエイティブを駆使するグループが台頭するようになり、時代は新しい波を貪欲に求めていた時代と記憶している。個人的にも各ジャンルからシーンを根底から覆してくれるような存在を探しており、その中で伝統を重んじているせいか依然閉鎖的な印象のあったヴィジュアル系シーンから、サウンドもアートワークも衣装もメイクも宣伝アプローチもバックボーンも何もかもがV系のようであってそうでない、一組の異端児を僕は見つけ出した。ファーストコンタクトは『不完全Beautyfool Days』発売時の武瑠への単独インタビュー。「清春(黒夢/SADS)さんと峯田(銀杏BOYZ)さんに同じものを見ている感覚がある」と語り、フォーマット化されたもので良しとするV系シーンに対しての苛立ちを隠さず、楽曲もMVもファッションも小説も何もかも同期させてすべてで勝負していく革命の意思を掲げ、でも実はめちゃくちゃ暗い引きこもりだったことも話してくれたりして、だからこそのHeavy Positive Rock(=“無理やり前向き”なロック)を作っていきたいんだと彼は意気込んだ。
<アクロバティック過ぎる展開「今までで最大の賭けをやろうとしています」>
事前に楽曲やMVからも匂っていた異質さ。蔓延った概念にしっかり中指を立てられる気概。音楽シーンに革命を起こさんとする覚悟。そんな存在と出逢えてしまった喜び。SuGの戦いを記録しながら応援していくことはこの瞬間から自分のライフワークとなった。また、同年よりSuGは閉鎖的なV系シーンから音楽や言葉だけでなく現実的なアクションとしても飛び出すようになり、当時リアルロックと称されていた骨太なライブバンドシーンやももクロやBABYMETALといったアイドルシーンの猛者たちとも積極的に対バンを繰り広げるようになり、プログレッシヴなコンセプチュアルアルバムをまんま再現するツアーにも挑戦。明らかに難易度の高いチャレンジを連発していく。その果てには「次は根こそぎヴィジュアル系バンドという概念から外れたことをやると思うんで。……もう今までで最大の賭けをやろうとしています」と言い出し、その発言通りV系の大手プロダクションから離れ、活動休止に入って「復活できたら復活します」という前代未聞の大博打までやってのけ、実際にV系じゃないバンドとして1年後にシーンに戻って……今振り返りながらテキスト化していて思ったが、このバンド、アクロバティック過ぎるでしょ(笑)! でもそこまでしてでも彼らが変化を求め続けた理由は「誰も展開したことのないようなクリエイティブや音楽で驚かせたい」「ファンに今まで見たことのない景色を見せてあげたい」といったピュアな想いであった。その為にもSuGはあらゆる部分でジャンルや固定概念をぶち壊していく必要があった。
そんな彼らの奇跡の復活劇直後の2014年。メンバーがしばらく「あのライブを超えられない」と苦悩するほどの、でもそれだけ「SuGはあらゆる部分でジャンルや固定概念をぶち壊していく必要があった」その現実に応えられたイベントがあった。と書くのは、自分が主催していたゆえ手前味噌で恥ずかしくもあるのだが、それはV系シーンの異端児として孤軍奮闘してきたSuGと、アイドルシーンの異端児として同じく孤軍奮闘してきたBiSのツーマンライブ【異端児フェス】。蟲ふるう夜にの命懸けのオープニングアクトを強烈な燃料として双方が全身全霊で大狂乱した同イベントは、バンギャとドルヲタが交じり合って巨大なサークルモッシュの渦を創造するという、まさしくジャンルの壁や音楽シーンの概念を崩壊する奇跡を起こした。以降、SuGはこれまで以上に異種格闘技戦を各地で繰り広げ、どんな現場でもどんな対バン相手でも折れることのない、必ず熱狂を生み出して帰っていく屈強なライブバンドへと進化。音楽/エンタメシーン全体にSuGという異端児の存在を印象付けていく。
<崖から飛び降りる覚悟で日本武道館という夢に飛び込むしかなかった>
しかし2016年、SuGは事件とも言える大きな転機を迎えることになった。5月5日 東京はEX THEATER ROPPONGIでのツアーファイナル公演【SuG LIVE「VIRGIN」】。アンコールで「teenAge dream」を歌い終えた武瑠は、「今、音楽はどんどんどんどん縮小していくとか、特に俺たちのジャンルはもう「我慢の時代」とか「終わった」って言われまくってます。俺たちでも思うぐらいです。だけど、だけど……俺たちは9年前、たった3人、動員3人、だけど、その1年後に300人のワンマンをソールドアウトできました。その奇跡は起こせました」と語り、そして、いつでも生意気なほどに堂々としているイメージとは裏腹に、その目を赤く染めながら、珍しくマイクを持つ手も震わせながら、呼吸するその音まで震わせながら「こんな逆境だからこそ、逆境だからこそ! 来年10周年に……挑戦します。やります、日本武道館!!!!!!」と叫んだ。それはまさしく夢の実現。しかし、これは後に分かることなのだが、この時点でSuGは限界を迎えていたのである。
同年秋『SHUDDUP』リリース時のインタビューで武瑠は、「もうマネージャーが辞めることも知ってたし、いろんな意味で「やります、日本武道館!」って言わないと終わってたんです。だからあれは言いたいから言ったというよりは、言わなきゃいけなかった。包み隠さず言えば……武道館が挑戦であることには変わりないんですけど、武道館がその先の“希望”になるのか、ただの“延命”で終わるのか、もうどっちかなんですよ。おそらくその危機感はファンに伝わってない。俺らって変に大丈夫そうに見えるみたいで。でも普通に“希望”か“延命”のどっちかしかない。そういう覚悟であの日「やります、日本武道館」って言ったんです。で、多分あれがなかったらそのままやんわりと終わっていた可能性もあった」と発言。要するにこのバンドの活動を機能させる為には、強引にでも日本武道館という目標を掲げる必要があり、その過程の中で“希望”を見出せる状況にならなければ、継続は不可能になるということ。だからもう向かうしかなかった。今まで発表/開催してきた音楽やライブ、発言、みんなに夢を抱かせたそのすべてのモノに対してひとつの決着をつける為にも、いまだかつて観た事がない世界をみんなにお届けする為にも、崖から飛び降りる覚悟で日本武道館という夢に飛び込むしかなかったのである。
<「望んでいた未来ではない。続けていくことが一番良かった。けど……」>
そして、忘れもしない2017年7月31日。10周年イヤーの夏に「SuG 無期限活動休止のお知らせ」が発表された。無期限活動休止と記されていたものの、そこにはもう音楽は辞める旨を明らかにしているメンバーのコメントもあった。そして武瑠のスタイルブック『VISION -Life Style Book-』発売に伴う囲み取材にて「今日の話を聞いていると事実上の解散と受け取れますが、それでも「無期限活動休止」という言葉を選んだのは?」と問いかけると、彼は「10年間やってきて良くも悪くもバンドはメンバーだけのものじゃなくなった。メンバー5人だけの意思では発表の言葉を決められなくなった」と答えた。「望んでいた未来ではないですよね?」という問いには「望んでいた未来ではない。続けていくことが一番良かった。けど……全て出来ることはやれたな」と、「そうなると日本武道館で何が残せるかなおさら重要になる。どんな公演にしたい?」という問いには「4年前に一度活動休止してるんですけど、そのときはすぐ「これが作りたい」というものがあったが、今回は人生で初めてヴィジョンが見えない。それだけSuGが大事だった」と、そして「(日本武道館は)自分含めメンバー含めファン含め「SuGとの出逢い」をプラスに捉えられるような気持ちになって帰れるようにしたい」と語った。
今だから記すが、泣きそうだった。いつの時も「こうすれば売れるのに」「こうすればもっとラクにやれるのに」という世間の声に興味を持たず、自らが求める作品や光景や世界へのアプローチにだけ全身全霊を注いできたバンドだから、いつの時も綱渡りで茨の道だった。たくさん誤解もされた。受け入れてもらうことが困難だった。そもそも10年間継続できたことが奇跡だったとも言える。でもSuGは戦い続けてきた。自分の知る限り、SuGは諦めないバンドだった。どんなに不恰好でもボロボロでも中指を立て続けるアティチュードこそがSuGだったとも言える。だから泣きそうだった。でも不思議と「裏切られた」とか「こんなもんか」とか「これがSuGの限界か」とかその手のネガティブな感情は湧かなかった。何故なら彼らはバカが付くほどHeavy Positive Rock(=“無理やり前向き”なロック)なバンドだと知っていたから。
<決壊するように溢れた5人の想い「強がって! 誰も逃げずに! 無謀な! 武道館を! 挑戦したこのメンバー5人を本当に誇りに思います!」>
そんな未だかつてない想いで迎えた2017年9月2日、日本武道館。まずは「一瞬一瞬が…………愛おしくて……堪らないです。武道館、ありがとう。10周年、そして初の日本武道館、そしていろんな意味を含んでるライブ【HEAVY POSITIVE ROCK】です。ひとりひとりの声、メンバーの心のこもった声をひとりひとり聞いてきたいなと思います。じゃあ、ドラム、ぺーさん」という武瑠の振りから始まり、メンバー5人の想いが決壊するように溢れたアンコールでのMCを振り返りたい。
shinpei「ツイッターにも書いたんだけど、前に活休したときは結構考えて喋ったんだけど、今回は本当に何にも考えてなくて、この武道館でのMCを迎えてます。本当にね、あの、正直実感が湧かなくて。みんなも結構そうでしょ? 実感湧かないよね(笑)。そう、でも、まぁ、本当にね、今日のライブをもって俺らは、動きが、止まって、この5人でステージに立つのは、本当に最後だと俺は思っています。だから、本当にね、今日すごく不安だったんですよ。やっぱし、武道館やるって言ったらさ、格好悪い景色では出来ないじゃん。みんなもそうだし、俺らもそうだし、やっぱしいっぱいお客さんが入った状態で最高のライブを見せたいなとずっと思っていて。で、今日を迎えて……蓋を開けたらこの景色ですよ! 前の人とか後ろ見てごらん? めっちゃ入ってる。(拍手や歓声が巻き起こる)でもね、この景色は俺ら5人だけじゃ作れなくて、携わってくれてる関係者の皆さんとか、スタッフとか、何よりもいつもライブに来てくれたみんなが頑張ってくれたからこその! この景色だと思ってます。今日ね、俺の後輩とか先輩とかね、親族も含めみんな……関係者の人もたくさん観に来てくれて、こういう場を迎えられて本当に、本当にしあわせ。感謝しかないです。本当に…………この人生、今まで生きてきた中で、本当に今日が……(涙を溢れさせるshinpeiの名を叫ぶファンの声)いやいやいや、本当にしあわせなんだよ! 今日! まぁね、俺、ちょっと涙もろいからさ、泣いちゃったけど! 本当にしあわせです。本当にこんなにしあわせな場所をくれたみんな……本当にありがとうございました。以上です」
Chiyu「こう見えて意外と口ベタなんで……(客席からエーイング)「え?」じゃねーよ(笑)。でも結局ここの場所に立ったら言いたいことって結構飛んじゃったりとかしちゃうから、だから最近ツイッターで自分のそのとき思った気持ちをすごく書いてて。で、あの、本当にこの10年間、ファンに支えられて、あと、関係者の皆さん、メンバー、全員、本当に感謝してもしきれないぐらいなんですけれども、こういう形、無期限活動休止という形を迎えましたけれども……「ごめんなさい」じゃなくて「ありがとう」をすごく大事に伝えたい、ということを常に言ってたんですけど……ちょっと口ベタやから、支離滅裂かもしれないけど、言いたいことだけ言わせてね。活休が決まったときに、いろんな先輩とか関係者の皆さんに、発表前に「こうなることになりました」っていう連絡をすごくたくさんの人にしたんですけど、それで「これからどうするの?」という話がすごくあって……一時は本当に音楽から離れようかと思ったんですけど、「おまえには絶対に立ち続けてほしい」と言ってくれる人がいたりとか、ファンの皆さんもそうですけど、そうやって言ってもらえることに「すごく有難いな」という気持ちが出てきて。で、考えた結果なんですけど、SuGは無期限活動休止なんですけれども……自分は、とにかく、止まらずに、ずっと表に出続けて、ベースを弾き続けたいなっていう結論に至りました。俺がサポートしようが、いろんな何をしようがなんですけど、SuGのベースのChiyuとしてこれからもずっと一生やっていきたいと思いますんで、SuGという名前を守っていきたいと思いますんで! よろしくお願いします!」
yuji「今日は三っつ、言いたいことがありまーす。ひとーつ!(ひとーつ!)みんな、ありがとうございました。(武瑠「それ、普通、三つ目じゃない(笑)」)メンバーもね、10年間ありがとうございました。ぺーさんは8年目、ありがとうございました。下っ端だぞ(笑)! ふたーつ!(ふたーつ!)なんかあのー、活休のときよりもね、なんか自分的にはしんみり来てなくて、たぶん俺的にはもうやり残したことはないのかなっていう風な感覚です。って思いました、今やってて。なんで、そうです。もう……そうッスね。思い残すことはないです、僕は。っていう感じですね。みっつ!(みっつ!)特にありませーん(笑)って言いたいんですけど! 今日ね、やってて思ったことがあります。10年やってきて、こんなにいっぱい集まってくれて、SuGがあったから出来た繋がりとかあるでしょ? そういうものがね……楽曲とか作ってきたけど、そういうのよりみんながそれぞれSuGを通して出来た繋がりみたいなものが、いちばんSuGをやってた意味なのかなって思ったので、これからもね、SuGで出逢った人たちみんなの繋がりをね、これからも大事にしていってほしいと思いました。以上です!(武瑠「10年でいちばんまともなことを言ってくれました(笑)」
masato「正直、いろんな感情が自分の中にあって、いちばんデカいのは、うーん……悔しい。本当にたくさんの今日ここにいる人たち、来れなかった人たち、俺たちのことを支えてくれたスタッフ、関係者の人たち。そんないろんな(人たちの)想いがあって………………ここを超えられなかったことがめちゃくちゃ悔しいです! この武道館が止まる場所になるのは、自分的にはもう腹立たしいレベルで悔しくて。……だけど、SuGにとっては、SuGがいちばん綺麗で居られるところを選んだのがこの武道館なので、いろんな人の気持ちに応えられないことはめちゃめちゃ悔しいんですけど、だからこそここで、この10年でやってきたすべての気持ちだったりとか想いとか……ぶつけて、全部やりきって、ここで終わったことを(声を震わせながら)一生悔しみたいと思ってます。まだまだこのバンドで見たい景色がたくさんあったので。…………10年やって本当に物凄いたくさんの人に愛されたんだなっていうのが痛いほど伝わりました! ぺーさんも言っていた通り、そこはめちゃくちゃしあわせです! 感謝してもしきれないほどに! 自分がバンドを始めて、日本だけじゃなく今日も海外の人が来てくれたり、世界中の人がこうやって応援してくれて、本当に……しあわせでいっぱいです! 本当に思うところはたくさんあるんですけど(笑)、みんなのことが本当に大好きで! 愛してますし! いちばんみんなに感謝を伝えたいです。本当に来てくれてありがとうございました!」
武瑠「重ね重ね何度も言うけど、10年間の歴史が作れて(みんなが)来てくれたこの最高な景色、ありがとうございます。本当に出来ることはすべて、出来ないこと、苦手なこともすべて注いで、その上でSuGを守れなかったこと……心から申し訳なく思っています。でもね、その上で、もう、EXシアター、5月に(武道館を)発表するかどうかのとき、物凄い賭けに出て、その中で賭けに負けて! 状況が悪化して悪化して、音楽をやる為には音楽だけじゃないことを頑張ったりとか、苦手なこともメンバー全員で協力し合ってやっていかないとバンドが続けられないような状況になって、もうとっくに諦めても……しょうがないような状況になりながら! でもそれでもファンにはバレないように(涙を溢れさせながら)5人で強がって! ……ごめんね。感情を……いや! 泣かないなんて無理だなって思ったんですけど(それは)弱いんじゃなくて、大事だから泣くんだと思います! 強がって! 誰も逃げずに! 無謀な! 武道館を! 挑戦したこのメンバー5人を本当に誇りに思います! ありがとうございます! ……自分たちの言葉だけじゃまだ伝えきれない部分があるし、みんなもね、5人全員、みんなと同じようにちょっと実感が出来ていない部分もあるんだけど、本当にこの時間を愛おしく思います。
そしてね、個人的にも、13年前にちょうど、ハッキリ覚えてないんですけど、いちばん後ろのほうの、そこらへんかな? 人生で初めてプロのライブを、HYDEさんのライブを観に来て、今でもこんだけね、感情の波が激しいんで、そりゃあ10代のときはもう世の中が……今で言うどメンヘラだったんですよ。もう人がね、簡単に乗り越えられることをね、全然乗り越えられなくて、本当にくだらないことで「死にたい」とか毎日思っていて、まさに自分が歌っている現代病、無気力病の少年だったんですけど、友達がチケットをくれて、ライブを観に来て。全く夢がなかったんですけど、でも俺はこの景色とかこのステージ上からの景色を知らないなと思いました。だからね、マンガとか映画みたいにビビビ!って「これがやりたい」ってその日から変わった訳じゃなくて、やりたいこととか夢を探していく第一歩を、13年前にね、この場所で踏み出せました。そして! その曖昧な一歩目がだんだんだんだんいろんな人に出逢って目標になって、大切な仲間とかファンが増えてきて夢になって、そしてその夢を今日叶えられました。これは映画とかマンガとかの主人公の話じゃなくて、ただ! 無気力病の何も持ってない少年が! ただ踏み出して! 夢になって叶えられた……話です! だからね、きっと今ここにいる人たちも絶対出来ると思います! その気持ちを最後に思いっ切り届けたいと思います! 届いてますか? 武道館!(大歓声と拍手のレスポンス)
俺、終わりでも、きっと前向きにメッセージ伝えられるんじゃないかなと思って、その答えがコレだったなと思ってます。次にやる曲は、そんな踏み出した一歩が夢に変わって、みんなの夢になって、この場所に立って、その13年前の自分と一緒に歌うイメージをして書いた曲です。この場所で過去の自分と、そしてみんなと歌えてしあわせです。歌ってください……TeenAge dream」
<最後の最後までHeavy Positive Rock(=“無理やり前向き”なロック)>
叶わなくても 叶えてやるのさ
掴めなくても 掴んでやるのさ
ハロー この声が聴こえますか?
こっちの景色は最高だぜ
やっぱりSuGは最後の最後までHeavy Positive Rock(=“無理やり前向き”なロック)を体現するバンドだった。とめどなく溢れる悔しさや情けなさや不甲斐なさに押しつぶされそうになっても、この場でバンド人生を終えることになったとしても、かつて描いた未来とは違う未来に辿り着いてしまったとしても、子供みたいに泣きじゃくりながら「こっちの景色は最高だぜ」と歌い切ってみせる。その姿勢はオープニングナンバーの「AGAKU」から最後まで一貫されていた。SuGは正直言って歌唱力や演奏に定評のあるバンドではないし、最後のMCも感情丸出しで人によっては「プロじゃない」と言われるようなものだったと思うし、masatoが言うようにまだまだ見せたかった光景にも辿り着けなかったし、そういった意味では成長半ば、夢半ばで終わることになったバンド。でも彼らはいつでも足りないものを必死に何かで補って補って、SuGの音楽もライブもストーリーも最高にドキドキするものへと昇華してきたバンドだ。シーンの王道を練り歩くことができない異端児だったけれど、だからこそ他のどこでも体感することのできない音楽と光景を日本武道館で生み出してみせた。
この日、もう失ってしまうと分かりながらも「ひとりひとりいびつなこころで 支えあう此の場所が 失くせない失くしたくはない たったひとつの場所なんだ」と笑顔で泣き叫んだ「39GalaxyZ」も、ここまで辿り着けた喜びもここまでしか辿り着けなかった悔しさも、そこにいる全員で全身全霊で歌い叫んだ「Smells Like Virgin Spirit」も、誰も踏み入れようともしなかった超難解な道程を突き進んできたバンドと、何があろうとその旅路に必死に付いてきた者たちだけが奏でられた音楽だ。その一点においては、誰が何と言おうと「ファンに今まで見たことのない景色を見せてあげたい」その夢を叶えた瞬間と断言できる。メンバーからしたら想像とはちょっと違う景色だったかもしれないけど、少なくとも自分にとっては今まで見たことのない、想像以上の景色だったし、音楽だった。
<SuGの物語を無理やり継続させていく唯一の方法>
「不器用な奴らが集まって、こんな曲をラストに選びました!」
ときどきすてきなこのせかいで 僕ら詩を唄うんだ
君に会えなくなっちゃうのなら ぶっちゃけ 死ぬ甲斐がねーだろ
Whatever happens to us, I'm just just LOVE'IN YOU!!
「命の限りに 幸せにするぜ。」
この詩のシンガロングを最後に「最後までただ格好付けて終われない、ぐちゃぐちゃで、ダサくて、弱くて、それでも前を見て進んできた俺たち」=武瑠(vo)、masato(g)、yuji(g)、Chiyu(b)、shinpei(dr)+共に戦ってきた仲間たち=SuGのラストライブ【HEAVY POSITIVE ROCK】は終幕。それぞれの道へ歩き出すことになった。音楽を続ける者もいれば、音楽以外の道へ進む者もいるし、SuGの名を守り続けようとする者もいれば、SuGをバックボーンとして生きていく者もいる。離れ離れになってしまうのは切ないけれども、いまだに時折泣いちゃうファンもいると思うけれども、SuGが気付かせてくれた「ときどきすてきなこのせかい」での人生はまだまだ続いていく訳で、そこで何があっても“無理やり前向き”に生きていくこと。それこそがSuGの物語を無理やり継続させていく唯一の方法だと思う。この異端児の10年間を敗者でなく勝者の歴史にする戦いは、ここからが本番。Heavy Positive Rockはまだまだ鳴り止まない。
取材&テキスト:平賀哲雄
◎ラストライブ【HEAVY POSITIVE ROCK】
2017年09月02日(土)日本武道館 セットリスト:
01.AGAKU
02.HELLYEAH
03.不完全Beautyfool Days
04.Toy Soldier
05.小悪魔Sparkling
06.B.A.B.Y.
07.無限Styles
08.桜雨
09.無条件幸福論
10.Howling Magic
11.セッション
12.sweeToxic
13.契約彼女、生贄彼氏
14.FRIDAY!!
15.gr8 story
16.☆ギミギミ☆
17.SICK'S
18.mad$hip
19.10th ANNIVERSARY MEDLEY(Alterna、俺式 Continue、R.P.G.~Rockin' Playing Game、Vi-Vi-Vi、武士道-bushido-FREAKY、Fast Food Hunters、Crazy Bunny Coaster)
20.39GalaxyZ
En1.dot.0
En2.teenAge dream
En3.CRY OUT
En4.Smells Like Virgin Spirit
WEn1.LOVE SCREAM PARTY
WEn2.ときどきすてきなこのせかい
◎リリース情報
LIVE DVD&Blu-ray『HEAVY POSITIVE ROCK FINAL LIVE AT NIPPON BUDOKAN』
<初回限定盤(DVD2枚組+ブックレット(全48ページ予定))
PCBP-53221 / 9,300円(tax in.)
[DVD 収録内容]
・DISC1:HEAVY POSITIVE ROCK LIVE AT NIPPON BUDOKAN本編映像
・DISC2:SuG 10th ANNIVERSARY PROJECT Special Movie(仮)
<通常盤(DVD)>
PCBP.53222 / 5,000円(tax in.)
【DVD】
・DISC1:HEAVY POSITIVE ROCK LIVE AT NIPPON BUDOKAN本編映像
<SuG SHOP限定盤(Blu-ray2枚組+特典映像DVD+武瑠デザイン・オリジナル・グッズ)>
SCXP.00067 / 15,000(tax in.)
※LPサイズ豪華BOX仕様
【BD】
・DISC1:HEAVY POSITIVE ROCK LIVE AT NIPPON BUDOKAN本編映像
・DISC2:SuG 10th ANNIVERSARY PROJECT Special Movie(仮)
【特典DVD】
撮り下ろしオリジナル映像(予定)
発売特設サイト:http://bit.ly/2x0Gv23
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