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2017/08/09

BURGER NUDS『Act 2 或いは Act 3』リリース・ツアー、そのときの終わりは、これからの始まり

 2017年8月5日、BURGER NUDSが約14年ぶりのオリジナルアルバム『Act 2 或いは Act 3』を携え、リリース・ツアーのファイナル公演を東京・新代田FEVERで開催。ここで門田匡陽(vo,g)は恥じることなく言い切った。「最初で最後の中二病は俺だよ。ほかのバンドなんて中ニにもなってないからね」。自分の好きなことを好きなようにやることを選んできた彼の本質が見えた瞬間だった。これこそが今もなおBURGER NUDSを“生きる伝説”とする理由かもしれない。

 2014年に復活を果たすまで、BURGER NUDSは“今はなき伝説のバンド”として語り継がれてきた。1999年に結成、BUMP OF CHICKEN、syrup16g、ART-SCHOOLなどと時期を同じくして下北沢を中心に活動し、巧みなコード展開や転調を駆使したギターロック、文学性の高い散文的なリリックで絶大な人気を誇りながらも、活動の終止符は僅か5年で打たれることになる。その間に出していた唯一のオリジナルアルバム『symphony』を含め、全5タイトルはすべて廃盤。インターネットに上がっている動画も多くはない。それでも忘れ去られることがなかったのは、中二病と言えばキャッチーだが、つまりは独自の自己分析を行うことにより、刹那の儚い共感ではなく、深い思考の機会を与えるような音楽を紡いできた結果だと思われる。

●いつまでも丸くならない、尖った優しさ

 ファンの年齢層は幅広く、ソールドアウトとなったファイナル公演にも、BURGER NUDSに繋がるルーツをそれぞれ持っているのだろう人たちが集まった。彼らに暖かい拍手で迎えられたメンバーは、左から門田匡陽(vo,g)、丸山潤(b)、内田武瑠(dr)と並び、まずはギターのフィードバックから『Act 2 或いは Act 3』でも出だしを飾る「コミュニティー」を演奏。シューゲイザー調のこの楽曲や、次に披露されたグルーヴィなベースラインが軸となっている「Methods Of Dance」など新曲の数々が示すように、表現手法は格段に増えている。長いブランクが奇しくもプラスに働いているようだ。

 BURGER NUDSの解散後、丸山は会社員となり、門田と内田は共にファンタジックな世界観とストーリー性を持つGood Dog Happy Menを結成。内田はその後脱退し、バンド自体も2010年に活動休止。内田はロックから離れアコースティック基調のショピンというバンドに加入し、門田は本名名義とPoet-type.M名義でコンセプチュアルなソロ作品をリリースしている。このそれぞれの経験は再びBURGER NUDSへと結びつき、自身2作目の彩り豊かなサウンドを奏でる『Act 2 或いは Act 3』として昇華されることとなった。

 それよりも以前、解散前の楽曲群からはまず、潔い四つ打ちの「BRAVE GIRL IN HELL」を披露。この<あぁもう赫く染まって何も言わない何も聞こえない>という部分に合わせて赤いライトが輝くなど、演出効果もあり会場に熱が帯びてくると、代表曲のひとつ「ANALYZE」の疾走感溢れるイントロでは歓声が。その後は再び最新アルバムより、否定的な<NO>という言葉を繰り返す「記号化(NONONO)」や、タイトルからして理解されることを拒んでいるように感じられる「絶滅危惧種のペンギンたちが可哀想」へと続き、新旧をバランス良く織り交ぜたセットリストが展開されていく。

 現在まで一貫して変わらない部分のひとつにある、いつまでも丸くならない、尖った優しさ。得意の転調が利いているスローテンポのナンバー「Lesson」にもこんな言葉が並ぶ。<何も感じないで良い/何も信じないで良い/無駄にはしゃがないで良い/無理に喋らないで良い/君は独りで良い>。今の時代、今の情勢、鼓舞するでも、説教するでも、嘆くでもなく、誰とも分かり合う必要はないと、ある意味切り捨てるようなことを歌う人はあまりいないが、なにに流されることなく己の考えを突き通し続ける姿は、ただ純粋に、美しい。

 陰鬱な前半から最終的に開放的なギターロックへと様相を変える名曲「AM 4:00」では会場全体が高揚感で満たされ、オーソドックスな展開でアンサンブルの魅力が引き立つこちらも名曲「自己暗示の日」では門田も叫び声を上げる。そして「“中二病”って言葉、ご存知ですか?」と口を開き、冒頭の発言に繋がるわけだが、続いて“最初で最後の中二病”具合が充分に発揮される「冷たい水」を柔らかに歌い上げ、最新アルバムの1曲目でスタートさせたライブ本編を、そのラストと同じ「言葉と心」できれいに締めくくった。

●そのときの終わりは、これからの始まり

 拍手に応えて再び姿を現したBURGER NUDSは、今回のツアーグッズや当日昼に開催が発表された自主企画【Pure vol.1】をのんびりと宣伝。男性客の「武瑠ー!」というコールに、当の内田は「そういう風に言われることないからドキドキする」と照れくさそうな様子だったが、門田はこれに便乗して「俺も武瑠のこと好きだけどね。マルジュンも好きだよ」と呟いた。何気ない一言だが、かつて門田と丸山の間には溝があり、再結成の話が出るまでは連絡も取っていなかったことを考えると、なんとも胸を打つ一言である。

 そこからのアンコールとダブルアンコールでは、アルバム『symphony』に収録されている「boys in blue」「遺失物取り扱い係」を含め、解散前の4曲を奏でたBURGER NUDS。もしバンドがずっと活動し続けていたら、門田と丸山はお互いを嫌ったままだったかもしれない。そうなれば内田との関係にも多少なりひびが入るだろう。だが一度、遠くに離れ、時を経たことにより、彼らは許し合い、笑いながら同じステージに立てたのだ。そのときの終わりは、これからの始まりにもなり得るらしい。BURGER NUDSはまだ、始まったばかりである。

TEXT:佐藤悠香
PHOTO:野田雅之

◎セットリスト
【BURGER NUDS tour 2017"Act 2 或いは Act 3"】
2017年8月5日(土)東京・新代田FEVER
01. コミュニティー
02. Methods Of Dance
03. 歪み
04. BRAVE GIRL IN HELL
05. ANALYZE
06. 記号化(NONONO)
07. 絶滅危惧種のペンギンたちが可哀想
08. NERD
09. 逆光
10. エコー
11. Lesson
12. 感想文
13. 酸素
14. タネリ
15. AM 4:00
16. 自己暗示の日
17. 冷たい水
18. 言葉と心
EN1. boys in blue
EN2. ミナソコ
WEN1. 遺失物取扱い係
WEN2. Cold Burn

◎リリース情報
アルバム『Act 2 或いは Act 3』
2017/06/07 RELEASE
<CD>UKCD-1167 / 2,600円(tax out.)

◎イベント情報
【Pure vol.1】
2017年11月19日(日)東京・新代田FEVER
OPEN 17:30/START 18:00
<出演>
BURGER NUDS/ART-SCHOOL/カフカ
<チケット>
料金:前売3,000円 / 当日3,500円(tax in.)
※ドリンク代別途 オールスタンディング
先行:8月5日(土)22:00~8月20日(日)18:00
URL:http://eplus.jp/pure-1-hp/
一般:9月30日(土)~
チケットぴあ 0570-02-9999[Pコード341-030]
ローソンチケット 0570-063-003[Lコード70443]
イープラス http://eplus.jp
新代田FEVER店頭

◎映像
「ANALYZE」http://youtu.be/K3jrjA4-6UY
「ミナソコ」http://youtu.be/FOxRCRhkep4
「自己暗示の日」http://youtu.be/UFAu7MkANTo

◎BURGER NUDS Official Site
URL:http://burgernuds.jp/

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