2017/08/02
2017年8月2日、People In The BoxのLIVE DVD『Cut Five』がリリースとなった。この『Cut』シリーズは、2012年リリースのミニアルバム『Citizen Soul』初回限定盤に収録されたライブ映像「Cut One」から始まり、今回の『Cut Five』が単体DVDとしては4作目。今年1月27日にめぐろパーシモンホールで開催された【空から降ってくる vol.9 劇場編】を収録したもので、アコースティック編成の第一部とバンド編成の第二部構成の全演奏曲に加え、当日上映された映像「ダイゴマンが行く! ~空から蕎麦から降ってくる~」が収録されている。
リリースに先駆け、7月31日には渋谷・ユーロライブで先行上映会&トークショーを実施。初の単体DVD『Cut Two』のオーディオコメンタリーCDでは「これを聴く人はなにが面白くて聴くんだろう?」「まあたぶん、脳みそが壊れているんでしょうね(笑)」と冗談交じりに話していた彼ら。今回も波多野裕文(vo,g)は「“トークショー”ってなっててぞっとしたんですよ」と笑っていたが、抽選で参加権を手にした“脳みそが壊れている”ファンの前で本作の見所やライブの裏側を語ってみせた。なお、ここではBillboard JAPANに掲載されているライブレポート(http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/47016)を引用しながら、その内容を紹介したい。
●(ライブレポートより)
会場が暗転し、ステージ上に吊るされていたペンダントライト型の照明が暖かな光を発すると、波多野裕文が制作したというSEと共にメンバーが登場。ステージ向って左側の波多野裕文は愛用の「Nord Electro 3」を含めキーボード2台とアコースティックギター、正面の福井健太(b)はフレットレスベースをメインに珍しい形のアップライトベース、右側の山口大吾(dr)はコンガに加え、ドラムセットにぶら下がっていたニワトリ型のおもちゃも操りながら第一部の全10曲を演奏することとなる。
まず『Cut Five』の特徴としては、非常に映画的であるということが挙げられるだろう。フィルム映画のような映像の質感もさることながら、波多野が「演奏もどんどん柔らかくなって。ライブ一本まるっと入ってるのって、そういうのが分かるからいいですよね」と語った通り、最初から最後まで滞りなく流れを追うことが出来る。それほど動きのないバンドのライブは長い映像になると間延びしがちだが、多数のカメラで撮影された映像が細かくエディットされているため、画面にも飽きがこない。アコースティック編成ならではの機材に加え、波多野と福井の指使いや山口の手さばきなど、メンバーのテクニカルな部分もしっかり収められている。
●(ライブレポートより)
……バンドを取り巻く雰囲気も非常に穏やかである。最初のMCでもまずは山口大吾が「第一仕事、終わった」とのんびり口を開き、その後、彼から白シャツ姿を褒められた波多野裕文は「僕たちの中の紳士性みたいなものが表に出てくる。もともと持ち合わせている紳士としての資質……」と軽いジョークを飛ばしたりと、ライブの合間には会場に笑顔の溢れることが多かった。
彼らの持つユーモアは常に魅力的だが、『Cut Five』には純粋に音楽だけが詰め込まれており、簡単な挨拶を除いてMCはほぼ全カット。福井は自分の映像を観ると恥ずかしくなると話していたが、波多野曰く「僕のMCは全部カットしてくださいって言って。あと気持ちの悪いニヤけがあったんで、秒数まで指定してカットしてもらった(笑)」とのこと。山口の「細かいよね? 自分の笑顔に対して厳しい」という指摘に対しては、「笑顔ってやってるときはすごい楽しいんですよ。でも、そのときにイメージしてる自分の笑顔と、あとで見た自分の笑顔があまりに違うから。そのギャップを解消したいんです」と屈託のない笑顔を浮かべた。
●(ライブレポートより)
……「昏睡クラブ」ではおそらく誰もが気になっていたあのニワトリ型のおもちゃを活躍させるなど、その幅広いアレンジ方法を提示。某総合ディスカウントストアで購入したというこのおもちゃ、体を押すことで鳴き声のような音が出るのだが、山口大吾はこれを両手に持ってウィットに富んだリズムを刻んでみせたのだった。
波多野が「なんでも楽器になる、音があれば音楽になる、っていう発想が好きなんですよ」と語るに至ったニワトリ型のおもちゃ。これは映像でも大きな存在感を発揮し、上映会では笑い声も上がった。福井もステージ上で笑いを堪えていたとのことだが、『Cut Five』ではその表情を確認することが出来る。一方、山口は至って真剣に「“あいつ”の一番いい見え方」を考え、吊し方や角度にもこだわっていたらしく、『東京喰種』の著者で知られる石田スイの描いたアーティスト写真に“あいつ”の仲間入りを願う場面も。なお、映像化されるライブのときは鏡を気にする波多野に対し、「あんまり見ないですね」と漏らした福井だが、山口は「でも角度は気にするじゃん。見てください、このアー写」と飾られていたパネルを指差した。本当に素敵なアーティスト写真である。
●(ライブレポートより)
……まだタイトルもついていないという最新曲2曲を演奏。14曲目にあたる新曲は、繰り返される1小節のベース・フレーズとたまに道を反れながらメロディを追うギターが印象的で、その次の15曲目にあたる新曲は、基本6拍子で進行しながらも、その区切りを無視するかのごとく流れるメロディと複雑なアレンジで型から抜け出し、さらに途中で4拍子に変化したりと、People In The Boxにしか体現できそうにない入り組んだ構成の楽曲に仕上がっていた。
波多野は『Cut Five』のポイントとして、“ダイゴマン”こと山口をフィーチャーした特典映像に加え、まだ音源化されていない新曲が入っていることを挙げている。それも今ではかなりアレンジが変わっているとのことで、正に本作でしか聴くことが出来ない楽曲と言えるだろう。ちなみに福井は見所について「やっぱり角度……」とここでも角度について触れ、山口は楽曲の切り替わりが早い点を口にし「飽きないでしょ? 何回も観てください」と語った。
この日集まったファンは九割方ライブにも足を運んだ人たちだったが、実際に訪れた人も、訪れていない人も、何度も楽しめる。それが『Cut Five』の最大の魅力ではないだろうか。現在公開されている2本のトレーラー映像からもその芸術性と娯楽性は充分に伝わってくるものの、全編を通して観ると臨場感は段違い。真剣に鑑賞するのもいいが、それこそ垂れ流しているだけでも生活に彩りが添えられるはずである。
TEXT&PHOTO:佐藤悠香
◎イベント情報
【People In The Box、LIVE DVD「Cut Five」先行上映会&トークショー】
2017年7月31日(月)東京・ユーロライブ
◎映像
LIVE DVD『Cut Five』トレーラー映像1:https://youtu.be/var6Kj77ktk
LIVE DVD『Cut Five』トレーラー映像2:https://youtu.be/wXc7ZdPJsyw
◎リリース情報
LIVE DVD『Cut Five』
2017/08/02 RELEASE
<DVD>CRBP-10059 / 3,704円(tax out.)
●収録内容【空から降ってくる vol.9 ~劇場編~】2017.01.27@めぐろパーシモンホール
<live movie>
一部
01. 野蛮へ
02. 見えない警察のための
02. 時計回りの人々
04. 数秒前の果物
05. さまよう
06. 空は機械仕掛け
07. ニコラとテスラ
08. きみは考えを変えた
09. 昏睡クラブ
10. ダンス、ダンス、ダンス
二部
11. 木洩れ陽、果物、機関車
12. 球体
13. She Hates December
14. New Song 01
15. New Song 02
16. 動物になりたい
17. 冷血と作法
18. 金曜日 / 集中治療室
19. 逆光
20. 汽笛
<other movie>
「ダイゴマンが行く! ~空から蕎麦から降ってくる~」
◎ツアー情報
【People In The Box「Tour N A Z O」】
2017年10月18日(水)東京・恵比寿 LIQUIDROOM
イベントタイトル:「Tour N A Z O」~激歪~
OPEN 18:00 / START 19:00
2017年10月24日(火)大阪・梅田 CLUB QUATTRO
イベントタイトル : 「Tour N A Z O」~三覚~
OPEN 18:15 / START 19:00
2017年10月25日(水)愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
イベントタイトル : 「Tour N A Z O」~共宴~
OPEN 18:15 / START 19:00
ゲスト: POLYSICS
<全会場チケット>
料金:4,000円(D代別)
オフィシャルサイト先行:8/2(水)19:00~8/15(火)23:00
チケット一般発売日:9/10(日)~
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