2017/06/19 18:00
6月19日より【東京パフォーマンスドール 4th Anniversary ダンスサミット】と題した東名阪ツアーを開催する東京パフォーマンスドール。そのタイトルからも分かる通り気付けば新生TPDも4周年を迎える訳だが、果たして彼女たちは目まぐるしいアイドルシーンにおいてどんな立ち位置に今いるのか。結成当初から取材させて頂いている著者独自の視点ではあるが、今のTPDを観てない人に知ってもらう為にも記したい。
<国民的アイドルグループが絶望や幻滅を感じさせている現在のシーン>
2017年6月現在、日本のアイドルシーンは(あまりポジティブな意味じゃなく)実に賑わしい。本来、夢とか希望とか勇気とか……ま、今の時代、そこまで綺麗事だけで成立させられる存在で在り続けるのは難しいとしても、それでもアイドルは観ていて聴いていて元気をもらえたり、明日への糧となる存在であってほしいとファンであれば思うはず。けれども今は、国民的アイドルグループが現実や絶望や幻滅を感じさせる出来事も多発していて、どれも一般的には話題と云う名のネタとして利用価値のあるものなのかもしれないが、そのアイドルのファンからすると笑えないし、苦しいし、場合によっては「信じていたものが粉々に砕け散った」「裏切られた」ぐらいのことを思っても仕方ないし、そのアイドルとの出会い自体を否定しかねない。もちろんそのアイドル自身もファンにそんな想いをさせたくなかったかもしれないし、何とかまた期待に応えられる存在になろうと奮起しているかもしれないし、そう思っていなかったとしても一重にそのアイドルだけの責任とは言えないだろうし、でもそう考えたら考えたでなおさら悲しくて切ない気持ちになるし、いずれにしてもファンは疲弊する一方である。
<それでも夢とか希望とか勇気とかそういうものを体現するアイドル>
いきなりネガティブな現状を重苦しく説明してしまったが、そんな状況下においてもアイドル本来の役割を日々笑顔で担っている者たちはたくさんいる。先ほど「夢とか希望とか勇気とか……ま、今の時代、そこまで綺麗事だけで成立させられる存在で在り続けるのは難しいとしても」と記したが、それでも夢とか希望とか勇気とかそういうものを体現して届けたいと奔走しているアイドルだっている。
ひとつ例を挙げれば、6月12日にさいたまスーパーアリーナでのラストコンサートを実現して解散した℃-ute。下積み時代を入れると実に15年にもわたってアイドルとして生きてきた彼女たちだって、その長いキャリアの中でファンを戸惑わしてしまう瞬間はもちろんあった。このままの状態では継続していくことは困難と思われた時期だってある。それでも彼女たちが15年にもわたってアイドル活動を続けることが出来て、最後にファンと共に夢を叶える瞬間まで辿り着けたのは、どんな状況下においても夢とか希望とか勇気とかそういうものを体現する自分、そして解散するタイミングも含めてアイドルとして全うする人生を諦めなかったからだ。また、アイドルらしからぬセンセーションに傾倒していった近年のシーンにおいて彼女たちは、ひらすらに歌にダンスに表情にチームワークとパフォーマンススキルを高め続け、同時にアイドルとしての自分を見つめ続け、一般的に「アイドルなんて」と卑下されやすかったジャンルを「アイドルって格好良いんだね。凄いんだね」と思わせるイメージの大変換にも大きな役割を担った。
ゆえに℃-uteのラストコンサート(http://bit.ly/2shz83Z)には、AKB48グループやももいろクローバーZなどハロプロとは日頃ライバル関係にある国民的アイドルたちも駆け付け、アイドルが本来持っていた爆発的な輝きに感動し、自らのブログ等を通して一斉に「眩しかった」とその姿を絶賛したんだろうし、アイドルフリークたちも「これぞアイドルの教科書」と今一度原点に立ち返ることが出来たのだと思う。
<今後のアイドルシーンに新しい風を吹かせることができるアイドル>
そんな℃-uteが15年の歳月をかけて解き放った光。もちろんまだその次元には辿り着かないまでも、それこそアイドルシーンがアイドルらしからぬ方向へ傾倒していた頃、2013年の結成当初からステージに立つ度に涙が出るほどの輝きを放っていたアイドルグループが、新生・東京パフォーマンスドールである。おそらくこの文脈で名前を出されたらメンバーたちは「やめてください、恐れ多いです!」と焦り出すかと思うが、彼女たちはそもそも横浜アリーナや日本武道館で伝説を刻んだ初代・東京パフォーマンスドールの意思を継ぐ者たちであり、同時に純粋無垢な幼い頃からアイドルとしてステージに立つ為の、そして先代以上に大きな夢を叶えていく為の訓練に明け暮れてきた者たちでもある。認知レベルはたしかに前述したグループたちと比べれば「恐縮です!」となってしまってもまだ仕方ない段階ではあるが、そもそものポテンシャルや想いの強さはどこにも引けを取ってはいないと断言できる。先代から継承しているダンスサミットなるノンストップライブで鍛え上げられたパフォーマンススキル、ドラマやCMやファッション誌等でも活躍できるレベルのビジュアル、いくつになっても天真爛漫でちょっと抜けている(笑)アイドル然とした天然キャラクターと、どこを取ってもファンが自慢できるアイドルグループだ。
そして今述べたそもそもの性格もあってか、その活動から一切の闇や澱みを感じさせないという、2017年現在のアイドルシーンにおいては稀有な存在でもある。無論、9人もの年頃の女の子が4年もメンバー変更なしで一緒に活動しているのだから、舞台裏ではぶつかり合いもあっただろうし(でなれけば、あの息の揃ったパフォーマンスは実現できない)、険悪なムードになる瞬間だってあるだろうし、心が折れかけることだってあるだろう。しかし彼女たちはそれをステージで一切見せないどころか、感じさせない。ま、タイト過ぎるノンストップライブゆえそんな隙間もないのかもしれないが、それぐらい彼女たちはいつだってステージ上では懸命だし、ひとたびパフォーマンスの時間を終えればいつでも屈託のない笑顔をナチュラルに覗かせる。そして夢を語り続ける。追い続ける。暗闇の出番を一切与えない爆発的な輝きをもって夢を歌い踊り続ける。ゆえに東京パフォーマンスドールのライブは観ていて元気になるし、笑顔にもなるし、涙も溢れるし、共に夢を描き続けることもできる。大袈裟だと笑われるかもしれないが、今後のアイドルシーンに新しい風を吹かせることができるアイドルは、彼女たちのような存在なのではないだろうか。
<綺麗事をただの綺麗事に終わらせないアイドルの台頭は不可欠>
ま、それはすっかり東京パフォーマンスドールに魅了されてしまったゆえの願望かもしれないが、そうだとしても笑えないアイドル関連のニュースが飛び交い続ける昨今、いずれにしても夢とか希望とか勇気とか……そんな綺麗事をただの綺麗事に終わらせないアイドルの台頭は不可欠。最近はメンバー自ら公演をプロデュースすることもあり、どのアイドルグループにも出来ない、負けないスタイルを追求したりとまだまだ進化の一途を辿ろうしている様子が見て伺えるし、とにかく日々キラキラ輝きを増していく……というか爆発させていく東京パフォーマンスドール。今再び「アイドルなんて」とネガティブなイメージを抱いてしまっている人は、ぜひ一度彼女たちのステージに足を運んでみてほしい。
取材&テキスト:平賀哲雄
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