2017/06/09 04:00
2016年後半の代表曲となった星野源「恋」が、勢い止まらず、2位以下に圧倒的大差を付けて上半期JAPAN HOT100首位を獲得した。しかもシングル以外のダウンロード、ストリーミング、ラジオ、Twitter、ルックアップ、動画再生の6指標で首位となっており、2位以下に大差をつけた文句無しの結果だ。
唯一逃したシングル・セールスでの1位は、AKB48「シュートサイン」で、発売以来累計で135万2270枚を売り上げている。一方、星野源「恋」はシングルでは発売以来累計で29万9574枚の売上に留まるものの、ダウンロードではこれを遥かに上回るセールスとなっていて、一旦ヒットのサイクルに入るとデジタル領域での爆発的な広がりが長期間続くという、10年代のコンテンツ・マーケティングの典型ともいえる展開となった。
もう一方で注目すべきは欅坂46の躍進だ。昨年末の大型歌番組でコアファン以外のグレー層に大きく訴求して動画再生での上位をキープ、「二人セゾン」総合2位、「不協和音」総合4位、「サイレントマジョリティー」総合7位と、3曲をトップ10に送り込む躍進ぶりをみせた。アイドルの定石として、シングル・セールスが強いのはもちろんだが、ルックアップ、Twitter、動画再生の強さも目立ち、次いでダウンロードとストリーミングが続く。メディア露出によりグレー層を取り込み、ファン層の拡大に至ったことが良く分かる結果だ。
昨年と今年の上半期において、毎週のHOT100の各指標の合計ポイントのシェアの平均を比較してみると、興味深いことが分かってくる。昨年よりも今年のほうが、ストリーミングが62.49%と一番の伸びを示し、次いでルックアップが51.68%、動画45.05%と続き、ダウンロードは8.33%と横ばいだ。ここで、同期間におけるサウンドスキャンによるシングルの100位合計で比較すると、シングルも20.37%と増加していることが分かった。
昨年の上半期と今年の上半期の違いは何か。「恋」「PPAP」「前前前世」に代表されるコアファンの枠を越えて訴求した“ヒット曲”の有無、ということに疑問はないだろう。つまり、これらの楽曲が牽引して、潜在ユーザーの掘り起しが起き、音楽接触の行為自体が各指標において増加傾向にある、ということだ。まだまだ発展途上にあるストリーミングがダウンロードやパッケージのセールスに影響を与えるかの判断についてはまだまだ早いだろうが、前述の市場活性化は紛れもなく事実であり、今後もグレー層を取り込むであろうまだ見ぬ“ヒット曲”の登場もまた確実だ。そしてヒット・チャートを愛するファンとして最後に一言付け加えさせて頂くならば、その“ヒット曲”が今年の下半期にも新たに登場して、圧倒的首位に立つ「恋」を脅かすことを願うばかりだ。
【2017年上半期JAPAN HOT100】
1位:「恋」星野源
2位:「二人セゾン」欅坂46
3位:「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」ピコ太郎
4位:「不協和音」欅坂46
5位:「インフルエンサー」乃木坂46
6位:「前前前世」RADWIMPS
7位:「サイレントマジョリティー」欅坂46
8位:「TOKYO GIRL」Perfume
9位:「シュートサイン」AKB48
10位:「ダーティ・ワーク」オースティン・マホーン
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