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2017/06/06

名プロデューサーとなったJ・アントノフが放つ、傑作ポップ・アルバム / 『ゴーン・ナウ』ブリーチャーズ

 2011年リリースのシングル「伝説のヤングマン ~ウィー・アー・ヤング~」 が全世界で大ヒットを記録したロックバンド、fun.(ファン)のギタリスト、ジャック・アントノフのソロ・プロジェクト、ブリーチャーズの新作『ゴーン・ナウ』が、2017年6月2日にリリースされた。本作は、「アイ・ワナ・ゲット・ベター」などのヒット曲を輩出した、2014年リリースのデビュー作『ストレンジ・デザイア』から3年ぶり、2作目のスタジオ・アルバムとなる。

 制作はジャックを中心に、ブルーノマーズの「ロックド・アウト・オブ・ヘヴン」(2012年)や「ヤング・ガールズ」などを手掛けたエミール・ヘイニー、TLCやアン・ヴォーグなど90年代を代表する女性R&Bグループを担当した、アトランタのR&B/ヒップホップ・プロダクション・チームのオーガナイズド・ノイズ、ケリー・クラークソンの「ストロンガー」(2012年)やアデルの「ハロー」(2015年)などの全米No.1ヒットを生み出したグレッグ・カースティン、昨年10週の全米ソング・チャート首位を獲得した、ドレイクの「ワン・ダンス」のプロデューサー、ナインティーン85などが参加している。

 ジャック自身もプロデュース能力に長けていて、fun.(ファン)の大ヒット曲以外にも、カーリー・レイ・ジェプセンやフィフス・ハーモニー、レイチェル・プラッテン、シーアなど人気シンガーのヒット曲を多数手掛けている。今年初めに全米最高位2位を記録した、テイラー・スウィフトとゼイン・マリクのデュエット曲「アイ・ドント・ワナ・リブ・フォーエバー」をプロデュースしたのもジャックだ。また、今年はロードの新作『メロドラマ』からの先行シングル「グリーン・ライト」もヒットさせている。

 そのロードと共作した、本作からのリード・シングル「ドント・テイク・ザ・マネー」は、80年代を彷彿させるニューウェイブ調のポップ・チューンで、本作にはインディー・ロックやパワー・ポップなど、エイティーズを意識したナンバーが目白押し。「オール・マイ・ヒーローズ」や「レッツ・ゲット・マリード」などは特に80年代っぽさが強調されていて、過去のヒット曲を聴いているかのような感覚になる。

 UKオルタナティヴ・ロックの「ドリーム・オブ・ミッキー・マントル」、ヨハン・パッヘルベルの「カノン」を下敷きにしたような「グッドモーニング」、トークを絡ませながら歌う、シンセ・ポップの「ヘイト・ザット・ユー・ノウ・ミー」、ゴスペル調のコーラスがインパクト絶大の「エヴリバディ・ロスト・サムバディ」、ピアノ音を上手くアクセントにした「グッドバイ」、おもちゃ箱をひっくり返したような音が飛び交う「アイム・レディー・トゥ・ムーヴ・オン / ミッキー・マントル・リプライズ」、ファンの楽曲を彷彿させる壮大なナンバー「フォーリン・ガールズ」など、どの曲にも一切の妥協が感じられない。ジャックの独特の世界観が表現された、名曲揃いの傑作といえる。


Text:本家一成

◎リリース情報
『ゴーン・ナウ』
ブリーチャーズ
2017/6/2 RELEASE

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