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2017/05/27

“多様性の受け入れ”がサウンドにも表れた完成度の高いデビューAL / 『ティーンエイジ・エモーションズ』リル・ヨッティ(Album Review)

 2016年夏、D.R.A.M.(ドラム)の大ヒット曲「ブロッコリー」(最高位5位)にフィーチャリング・ゲストとして参加し、ブレイクを果たした、米ジョージア州アトランタ出身の新星ラッパー、リル・ヨッティ。2017年は、その「ブロッコリー」をそっくり真似た、カイルの「アイスパイ」(最高位4位)にもゲストとして参加し、この曲も続けて大ヒット。チャンス・ザ・ラッパーやポスト・マローンなどの作品にも参加するなど、大活躍をみせている。そんな絶妙のタイミングで、デビュー・アルバム『ティーンエイジ・エモーションズ』がリリースされ、発売前から話題を呼んでいる。

 というのも、リリース直前に公開されたアルバム・ジャケットには、様々な人種や容姿、マイノリティの方たちが映っていて、「多様性の受け入れ」をリル・ヨッティ自身がアプローチしているからだ。特に、ゲイのカップルがキスする姿が、ラッパーのアートワークに取り入れられるというのは異例。先行シングルとしてリリースされた「ピーク・ア・ブー」のゲスト、ミーゴズのクエヴォは、過去にゲイ批判をしているが、そういった「アンチ」も含めた多様性の受け入れと、とっていいのだろう。

 そのミーゴズの他には、マライア・キャリーの新曲「アイ・ドント」で共演したカリフォルニア出身のラッパーYG、オークランド出身の女性フィーメールラッパーのカマイヤー、オーストラリア出身のシンガー・ソングライターのグレイス、ニュージャージー州出身のソニアエ・イリースなど、若手注目アーティストがゲストとして参加。メジャー・レイザーの活動でも知られるヒットメイカー、ディプロもクレジットされている。

 ミーゴズの大ヒット曲「バッド・アンド・ブージー」を下敷きにしたトラップ・ソング「ピーク・ア・ブー」、ブルーノ・マーズやカルヴィン・ハリスなどが取り入れたことで、ここ最近ジワジワきているエイティーズ・ディスコ風の「ブリング・イット・バック」、「ブロッコリー」や「アイスパイ」の要素を取り入れた、ユルめのヒップホップ「ハーレー」など、バラエティ豊かなサウンドにも「多様性の受け入れ」が現れている。全21曲、およそ70分という大ボリュームだが、詰め込んだ感はなく、1曲1曲の完成度も高い。

 プロデュースは、昨年リリースしたミックステープ『リル・ボート』、EP盤『ロスト・ファイルズ』を担当したデジタル・ナス、2016年リリースのミックステープ『サマー・ソングス2』にも参加したD33J、クリス・ブラウンやリアーナ、ニッキー・ミナージュなどのヒット曲を手掛けたフリー・スクール等、10人以上のプロデューサーが担当。若者向けの内容ではあるが、アラフォー以降のヒップホップ世代が聴いても、違和感なく楽しめるアルバムだ。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ティーンエイジ・エモーションズ』
リル・ヨッティ
2017/5/26 RELEASE

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