Billboard JAPAN


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2017/05/17

チキパ 島崎莉乃生誕&レア曲だらけの追加定期公演、次回はチケット即完

 Cheeky Paradeの追加定期公演【LIVE LIVE LIVE! Vol.4】が、5月12日にWOMBLIVEにて開催された。

 6月9日開催のvol.5とセットになる今回の追加公演では、チキパの持ち曲を全曲披露することがコンセプト。過去にチキパの全曲披露といえば、ノンストップ90分で披露した、2016年の【地獄の黙示録】公演が思い出されるが、7人体制での実施は今回が初めて。つまり、ただでさえ全曲披露という曲数の多い(=準備も本番も大変な)公演であることに加えて、ライブイベント定番曲および最新曲以外の楽曲に関しては、あらためての確認が必要。加えて7人になってから披露していない楽曲については歌割りやポジションから新しく覚え直さないといけないという、メンバーにとっては相当な負担のかかるライブとなっている。もっともファン目線で言えば、新規はもとより、昔から応援している、9人バージョンを知っているファンもまた、新しい気持ちで、新旧バージョンを比較しながら楽しめる公演とも言えるかもしれない。

 さらにこの日は、5月15日に21歳になる島崎莉乃の生誕サプライズも実施された。


 「1曲目からいつもと違う」というメンバーからの予告があったように、幕開けを飾ったのは「キズナPUNKY ROCK!!」。ライブの始まりが7人体制での初披露曲ということで、フロアを埋めた観客から大きなどよめきが巻き起こる。チキパがステージへと姿を見せると、その声は歓声へと変化。7人は“熱くなれ 行くぜファイター”とフロアに訴えかけながら、“負けちゃいけない キズナPUNKY ROCK!!”と、熱い想いが込められたこの応援歌を歌い上げる。それはリスナー側へのメッセージであると同時に、絆によって結ばれた者たちの魂を鼓舞するかのように、会場へと響き渡った。

 「シェケナ」では、イギリスのDJ Magが発表している『TOP100CLUBS』にもランクインし続け、アジアを代表するクラブとして夜な夜なアシッドな空間を作り出しているWOBMのライティングが幻想的な世界を生み出す。そして再度の驚きの声をもって迎えられた7人体制初披露の「PiNPON MUSIC」でキュートなダンスとウインクをフロアに振りまけば、「Lost+Found」「Fly Higher」とスピード感溢れるステージを展開していく。


 「今日はいつも着ているパーカーも脱ぎまして、なるべく軽く、なるべく暑くなくやっております。」と、リーダーの鈴木友梨耶が衣装について触れると、関根優那が「制服っぽいよね?」と続ける。「Shout along!」で着ていたパーカーを脱いで、インナーのビッグサイズのシャツにミニスカートと、確かに制服を彷彿とさせる格好だったが(にしては、関根にせよ溝呂木世蘭にせよ、ボタンをちゃんと留めていないため、動くたびに素肌が見え隠れするという、“なかなか刺激も強めな制服”ではあるのだが)、MCを挟んでの次のパートでは、そんな“制服スタイル”が効果的な演出として加わる。

 「Happy Fancy Music」「片想いファクトリー」「宇宙飛行センセーション」「年上コイモヨヲ」「恋テレポーテーション」などなど、最近のひたすらに攻撃的で完全ライブ仕様の尖ったチキパとは違う、あどけなさと可愛らしさが小生意気だった頃の曲が用意されていたのだ(なお、「宇宙飛行センセーション」では小鷹狩百花が歌の入りを間違えるという“あどけなさ”付き)。


 ところで、鈴木友梨耶と永井日菜による「LEFT or RIGHT…?」。本来は山本真凜を加えたチキパのボーカルの要を担っていた3人が歌ったこの曲だが、言うまでもなく真凜はLA留学中。もがき苦しみながらも未来を信じ、日本に残されたふたりがこの曲を“約束の日”まで繋いでいく。

 もがき苦しむといえば、一時期、永井日菜はステージ上でもがき苦しみ、歌と格闘していたようだった。今もなお戦いの途中であることは変わりないのかもしれないが、それでもどこかのタイミングで彼女は自分なりの何かを掴んだのだろう。昨今の彼女のパフォーマンスには以前にも増して磨きがかかっている。一方、昔に比べて声と感情をコントロールをしようという姿勢が見え隠れする友梨耶は、まさに今、歌と格闘している最中なのだろう。歌うということと届けるということ。表現者における表現の本質。それでも友梨耶は、ボーカリスト誰しもが直面する高い壁を前にして、必ずや自分だからこその自分にしかできない何かを見つけることになる。いや、本当に彼女はそれを見つけることができるのか。根拠はない。が、ファンは誰もが彼女のことを信じている。

 「自信」とは、チキパファンが絶対の信頼を置く友梨耶が、自らを信じて突き進むところから生まれるのである。


 MCを挟んで後半戦。「放課後カタルシス」の冒頭で、関根優那が“ひらひらひらり 揺れるリボン その手で外してよ”と語りかければ、男性ファンの多くが、いや男性でなくても、むしろファンでなくても「やっぱ優那だなー!」と言わずにはいられない。それは人間の持つ本能というもの。もしくはロック系のライブレポや評論で多用される“初期衝動”たるもの。フロイト的に表現するなら、それがリビドーなのである。

 「CANDY POP GALAXY BOMB !!」では、寄せては返す波のようなフロアからのコールを受けて、ステージ上でめくるめくチキパ劇場が展開される。いつもと違う動きや余計なことをしているのは当たり前、島崎莉乃が友梨耶からの“ねぇこっち向いて。”ラブコールに、照明が当たらない下手側のステージ端まで逃げて爆笑をさらっても、それがチキパなのである。

 そしてここからは「Challenger」「Hungry」「カラフルスターライト」とWOMBは手を上げて声を出してのお祭り騒ぎ。気がつけば、あっという間の本編ラストの曲に辿り着いてしまう。


 流れてきたのは「faith」。発表から1年ちょっとしか経過していないながらも、メンバーにとって、ファンにとって、実に多くの思い出と、様々なシーンが刻み込まれたこの曲。【5周年記念LIVE】では感情が溢れすぎてしまった友梨耶も、今回は上手く抑えながら歌唱する。しかしほかのメンバーに目をやると、メンバーの中でも感受性豊かな溝呂木世蘭が瞳を潤ませながら視線を遠くにやっている姿あり、関係者スペースからの視線を感じて笑顔を作る小鷹狩百花あり。歌いながら、そして聴きながら、この日、一体どんな景色を思い浮かべたのだろうか。

 本編を締めくくる“鈴木友梨耶のスベるしかないMC”を挟んで、公演はいよいよアンコールへと突入する。開場時に配布されていた水色のサイリウムに光が灯り、最前列には、映画好きな島崎莉乃のために、ファン有志が用意した、映画『ラ・ラ・ランド』をモチーフにした横断幕が掲げられて、主演を迎え入れる準備は万端だ。


 「Let's Party!」のイントロに合わせて勢いよく入ってくるチキパの7人。そして溝呂木世蘭の「今日は莉乃の生誕祭!」というマイクパフォーマンスに、当然のことながら驚いて声を上げる島崎莉乃。なお、出だしで小鷹狩百花が<行くぜ! もっともっともっと莉乃>と歌ったが、確かにその瞬間は島崎の名前を上手く歌詞に乗せたように思った人もいるかもしれない。が、しかし、よくよく考えたら唐突過ぎて不自然さ極まりない。半面、関根優那がこの日、少し瞳を閉じて教える秘密の魔法は<莉乃だけにしか見せないサイン>。文句なく「やっぱ優那だなー!」と言わざるを得ない。それはもう誕生日ガールに譲られたソロパートで、島崎の足に渡辺亜紗美が笑顔でしがみついてしまうというものである。

 「ステージに出た時に、生誕してくれてるって思って、去年の生誕を思い出してたんです。1年来るのあっという間だなって思うんですよね。20歳になってから大人の自覚とか自分の中で考えるようになって、今、目の前にあることは当たり前じゃないんだなっていうことをあらためて実感した1年でした。だから、目の前にいてくださるファンの方もそうですし、支えてくださるスタッフのみなさんもそうですし、周りにもっともっと感謝して、21歳は過ごしていけたらと思います。21歳の島崎莉乃もよろしくお願いします。」

 最後にチキパ全員で声を合わせて挨拶を終えると、まるでヒロインの意中の相手が目の前に現れたから気を利かせてどこかに消えていく女友達 役のような仕草で、島崎をひとり押し出してステージから消える6人。島崎は、“意中の人たち”を前に「もっともっとチキパの活動を頑張る」とあらためて宣言するのだった。


 なお、6月9日に開催される次回の定期公演。今回やらなかった曲が披露されるということで、すでにファンの間では楽曲予想(予想というか、ほぼ確定なのだが)も回っている。そのラインナップを見ても、ライブアイドル・Cheeky Paradeを支えてきた錚々たる楽曲のオンパレードなのは言うまでもない。しかも会場は熱量をぐっと抱え込み、今にも暴発しそうなほどの盛り上がりを起こせるWOMB。これは必見のライブとなる。

 ということで、チケットの先行販売がこの日の公演終了後に開始となったわけだが、販売から1時間も経たずにソールドアウトという、想像を超えた事態にもなっている(現在、チケット追加販売を調整中)。


◎公演情報
【Cheeky Parade「LIVE LIVE LIVE!」追加公演】
6月9日(金) 渋谷WOMBLIVE

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