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2017/04/09

14年ぶりの復帰作で落ち着いた大人の女性を演出 / 『ホープレス・ロマンティック』ミシェル・ブランチ(Album Review)

 「エヴリウェア」や「オール・ユー・ウォンテッド」などの大ヒット曲を輩出したデビュー・アルバム『ザ・スピリット・ル-ム』(2001年)、ロングヒットを記録した人気曲「アー・ユー・ハッピー・ナウ?」が収録された2ndアルバム『ホテル・ペイパー』(2003年)から、およそ14年ぶりとなるフル・アルバム『ホープレス・ロマンティック』を2017年4月7日にリリースした、ミシェル・ブランチ。

 その間には、結婚・出産を経て、2枚のEP盤『エヴリシング・カムズ・アンド・ゴーズ』(2010年)、『ザ・ラウド・ミュージック・ヒッツ』(2011年)をリリース。その2011年には、『ウエスト・コースト・タイム』というタイトルのアルバムで復帰する予定だったが、レーベルとの契約がうまくいかず、リリースされないままお蔵入りに。音楽活動がうまくいかない状況で、2015年には別居中だった夫、テディ・ランドーとの離婚を申し立てをし、プライベートでも低迷期が続いた。

 その2015年には、ザ・ブラック・キーズのメンバー、パトリック・カーニーと出会い、彼と一緒に楽曲制作をスタートさせる。さらに、ノラ・ジョーンズやベックの作品を手掛ける名プロデューサー、ガス・セイファートを迎えて、本作『ホープレス・ロマンティック』が完成した。本作は、色んな意味で彼女の復帰作ということになる。

 様々な経験を経てリリースした本作、どんな変化が感じられるのかというと、楽曲自体はあの頃のまま、聞き心地の良いポップ/ロック・アルバムに仕上がっている。ただ、デビュー曲「エヴリウェア」のような、高音を張り上げるような歌い方はせず、落ち着いた大人の女性を演じている。先行シングルとしてリリースされたタイトル曲や、「ノック・ユアセルフ・アウト」、ラストを飾る「シティ」など、ミディアム・テンポのタイトルが特に良く、アダルト・コンテンポラリーらしい傑作だ。もちろん、「リヴィング・ア・ライ」や「テンポラリー・フィーリング」、「シャドウ」など、アップテンポのタイトルも変わらず良い。

 本作のジャケットは、パープルピンクのアート・タッチなデザインで、ミシェルのシルエットがぼんやり写されているだけだが、現在もあの頃のまま、キュートなルックスは全く変わっていない。しいていえば、本作で聴かせたボーカルのように、少し優しい雰囲気になった気がする。母になったっことが、ビジュアルや歌い方にも現れ、本作に収録された14曲全ての歌詞にも反映している。歌詞の内容を理解しながら聞くと、またイメージが違うかもしれない。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ホープレス・ロマンティック』
ミシェル・ブランチ
2017/4/7 RELEASE
2,700円(tax incl.)

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