2017/03/25 12:00
移り変わりの激しいチャートにおいて、たいていの楽曲は初動で最高位に達し、徐々に下降していくというパターンが多い。これは当然といえば当然だろう。ユーザーの多く、とくにコアなファンは発売と同時に購入したり、ダウンロードするわけだし、それ以外のグレーユーザーも、リリースに近いタイミングでYouTubeを検索したり、つぶやいたりすることが多いからだ。しかし、それとはまた違う動きをしているとなると、要チェック楽曲ということにある。
そういう意味では、Hot100で8位を記録したAnly+スキマスイッチ=の「この闇を照らす光のむこうに」は注目に値する一曲だろう(【表1】)。沖縄出身の新進シンガーが、ビッグ・アーティストとコラボレーションしたというだけあって話題性も高いが、ラジオのオンエア回数だけを見てみると発売週とその翌週のみ上位にランクインしたのみで、3週目の今週は圏外となっている(緑のグラフ)。通常ならば、これでチャートも下降していってもおかしくないのだが、なぜか逆に上昇。その要因の大きなもののひとつには、ルックアップ(CDの読み取り数)の急上昇が挙げられる(オレンジのグラフ)。これはおそらくレンタル解禁のタイミングなのだろうが、それだけグレーユーザーにはまだまだ訴求するということ。ラジオでの盛り上がりはなくとも、何らかの形でコア・ファン以外の層をくすぐって掘り起こせば、もっと上位にランクインされる可能性はある。
同じように、Hot100で今週10位を記録したエド・シーランの「シェイプ・オブ・ユー」もユニークな動きをしている(【表2】)。こちらは逆に、ラジオのオンエア回数がじわじわと伸びている(緑のグラフ)。ラジオのディレクターなど選曲者にとっては、こういったキャッチーな洋楽曲はオンエアをしやすい。おそらくそういった理由だろうが、手垢のついたビッグ・アーティストではなく、ネクストブレイク的存在だからこそプッシュしたいということもあるのだろう。もちろん、ラジオだけでなくセールスポイントや動画の閲覧数なども加味しての話ではあるが、このような予想外のチャートアクションを見せてくれるのは、やはり話題性の高い旬な楽曲だからなのだ。text by 栗本斉
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