2017/02/14
2017年2月12日(現地時間)に開催された【第59回グラミー賞】授賞式は、先月のゴールデングローブ賞の授賞式同様、政治色が濃い一夜となった。
過去の【グラミー賞】でも政治的メッセージを投げかけるアーティストはいたが、今年は特にその傾向が顕著だった。
司会のジェームズ・コーデンはオープニング・トークでいきなりトランプ大統領の予測不能さをいじった。バスタ・ライムスは大統領を”エージェント・オレンジ”と呼び、”イスラム教徒の入国禁止”に激しく抗議する流れからア・トライブ・コールド・クエスト(ATCQ)の「ウィ・ザ・ピープル」へと繋ぐ圧巻のパフォーマンスを見せた。そして、新曲「チェインド・トゥ・ザ・リズム」をTVで初披露したケイティ・ペリーも、”Persist”(貫き通せ)と書かれたアームバンドをつけ、パフォーマンスの最後には白紙のプラカードで作られたスクリーンに米国憲法が大きく映し出される中、「No Hate!」(憎しみにノー)と叫んだ。
また、プレゼンターとして登場したジェニファー・ロペスは、【ノーベル文学賞】授賞作家のトニ・モリスンを引用し、「今こそアーティストが仕事に着手すべきです。絶望したり自分を哀れんでいる時ではありません。沈黙する必要もなく、恐怖の余地もありません」と語りかけ、マイケル・ジャクソンの娘パリスもザ・ウィークエンドのパフォーマンスを紹介する際、「この興奮をパイプラインの反対運動に向けてくれたらいいのに」と物議を醸しているダコタ・アクセス・パイプライン建設問題に触れた。
その他、ファッションでアピールするアーティストも目立った。シンガーで女優のジョイ・ヴィラは”Make America Great Again”(アメリカを再び偉大にしよう)と”TRUMP”と大きく書かれたドレスで登場してSNSをざわつかせた。ハード・ロック・バンド、ハイリー・サスペクトのメンバーたちはジョニー・スティーブンスが着ていた”Impeach”(弾劾しろ)と書かれたジャケットをアピール。スカイラー・グレイは、”Empowerment”(社会的地位向上)と”Equality”(平等)の言葉が点滅するデジタル・ハンドバッグを持ってレッド・カーペットを歩き、スクールボーイ・Qは、”Girl Power”(女子の活躍推進)と書かれたピンクのパーカーを着て、同じくピンクのスーツ姿の娘と出席した。チャーリーXCXは安全ピンの形をしたイヤリングをしていたが、これはおそらく米大統領選後に根付いた”安全ピン運動”(必要としている人に自分は手を差し伸べるという意味)に賛同しているとみられる。
例年は賞レースの行方に大きな関心が寄せられる【グラミー賞】だが、今年はトランプ政権発足後初の授賞式だったこともあってか、多くのアーティストがもはや黙っている場合ではないとばかりに様々な方法で自分の考えを発表する場となったようだ。
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