2017/02/13
今年でデビュー45周年を迎える熊本出身の石川さゆりが、昨日11日昼夜2回、熊本・水俣市の水俣市文化会館でコンサートを開いた。
水俣でのコンサートは、39年ぶり。1978年、20代になったばかりの胎児性水俣病患者の人たちが「若い患者の会」という団体を作り、『成人の証』として「大人として人に認められることを成し遂げたい」と「石川さゆりコンサート」を自ら企画・運営。そして今回、還暦前後になった患者の人たちから「もう一度、石川さゆりさんのコンサートを開催して、あのころの元気を取り戻したい」という声が上がり、「若かった患者の会」を発足。その趣旨とメンバーたちの熱意に感銘を受けた石川が快諾して実現することになったもので、全チケットは完売した。
約1000席の会場は昼夜ともに満席の中、「若かった患者の会」の会長・滝下昌文氏が「これからも私たちの人生は続いていきます。石川さんの歌、そして力を貸してくれる皆さんの思いが私たちのこれからの生きる活力になると思っています」とあいさつし、同公演がスタート。「転がる石」をはじめ、「ウイスキーが、お好きでしょ」「滝の白糸」「だいこんの花」「恋しゅうて」「津軽海峡・冬景色」「波止場しぐれ」「能登半島」「天城越え」など全19曲を熱唱した。
その中でプレゼントコーナーがあり、「若かった患者の会」のメンバーの一人、車いすに乗った坂本しのぶ氏から花束を贈られ喜んだ石川は、そのお礼にと、大リーグで活躍中のイチロー選手から預かったサイン入りバットをサプライズでプレゼントし、坂本氏は大感激していた。今回のサプライズは「イチロー選手とはとても仲良しで、先日お会いしたときに今回の水俣でのコンサートのお話をさせていただき、よかったら何か協力していただけませんかとお願いしたところ、今年のオフシーズン中に練習でお使いになった黒いバットを提供してくださり、『このバットを見ながら、僕も頑張っているから皆さんも頑張ってという思いを伝えてください』とおっしゃっていました」。また、水俣病について「歴史の一つの出来事で終わってしまうのではなくて、こんなにも皆さんが一生懸命頑張って生きていらっしゃるということをもっともっと皆さんに伝えたいなと思います」。
そして、「(水俣病患者の)皆さんがとてもすてきな還暦を迎えられていて、うれしかったです。今日は、皆さんからいろんなエネルギーをいただき、これからもしっかりと歌っていかなければと教えられました」と話していた。
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