2017/01/31
2017年は10周年イヤーとなり、3月8日にベストアルバム『MIXTAPE』をリリース、その直後から全国ツアー【39 LIVE ADDICT chapter1 THE BEST TOUR】をスタート、そして9月2日にはバンド史上最大の勝負となる日本武道館ワンマンライブを開催するSuG。このタイミングでフロントマンである武瑠(vo)の連載インタビュー第3弾を公開する。
<2017年9月2日、日本武道館! 10年のすべてをもって挑みたいと思います>
2016年12月30日 東京・豊洲PITにて行われた【SuG VersuS 2016 EXTRA FINAL「COUNTDOWN」】。ダークでゴシックな“極悪SuG”vsポップでカラフルな“極彩SuG”の対決スタイルで全身全霊のアクトを繰り広げた後、武瑠より「ずっと逃げてきた挑戦に、今こそ立ち向かいたいと思います。2017年9月2日、日本武道館! その10年のすべてをもって挑みたいと思います」と、バンド生命を懸けた武道館公演の日程が発表された。「俺達にもう逃げ道はないです。あとは進むのみ。どんな2017年、10周年が待っているか、俺達自身にすら分からないけど、この覚悟を持てたのはSuGの10周年を支えてくれた、その一部になってくれた全ての人たちのおかげだと思ってます。本当にありがとう」と最後に語っていた彼が、どんな想いを持ってこの日のステージに立ったのか。そして未来へと立ち向かっていくのか。以下の連載インタビュー最終回から感じ取ってほしい。
<連載 第1回>SuG武瑠インタビュー:「やります、日本武道館!」宣言の真相……「言わないと終わってたんです」希望か延命か(http://bit.ly/2hhmBFz">http://bit.ly/2hhmBFz)
<連載 第2回>SuG武瑠インタビュー:イエモンやKREVAに見出した戦い方「10年目で最高にSuGらしい武道館を」(http://bit.ly/2khbvCw)
<ファンとは「一緒に夢を見たい」と思ったんですよね>
--2017年は約束の日本武道館に立つ年ですが、自身でも「“希望”になるのか“延命”になるのか」と言っていた通り(http://bit.ly/2hhmBFz">http://bit.ly/2hhmBFz)、武道館が崖になる可能性もある訳じゃないですか。完全なる綱渡りですよね?
武瑠:本当にそうです。その綱の先が分からないし、どこまで繋がっているのかも分からない。完全に博打ですよね。だからなかなか決められずにいたんですよ、武道館は。崖から落ちる可能性があることを全員分かっていたから決められなかった。そこで終わるかもしれないから。でもそれを乗り越えられるかどうか挑戦しようと思って「やります、日本武道館!」って言ったんですよね。これはもうみんなを巻き込まないと出来ないこと。その辺の感覚は他のメンバーも同じだと思います。全員が「武道館に挑戦するというのはどういうことなのか」分かった上で、覚悟を決めた上で立ち向かっている。「10周年、わーい!」で武道館をやるわけじゃないから。
--「10周年、わーい!」じゃない10周年迎えたアーティストってそんなにいないと思いますよ。10周年がお祝いじゃなく、バンドが生きるか死ぬかの戦いっていう……
武瑠:すべてを懸けて、自分たちの存在意義を見つけながら10周年ツアーを廻って、日本武道館で答えを出す。その先のSuGの希望をつくる為に。俺たちはそういう勝負を選んだ。思いつきで決めた訳でも言った訳でもないんで。言わなきゃいけなかったし、やらなきゃいけなかったんです。
--バンド側の想いや内情的にもここで武道館はやらなきゃいけないし、もっと言えば同じ夢を抱かせてきたファンの為にも武道館は立たなきゃいけない訳ですよね。ひとつの決着をつけなればいけない。
武瑠:ファンとは「一緒に夢を見たい」と思ったんですよね。それはいちばんデカい。みんなも思っていたと思うんです、「いつか武道館やろう」って。でもそれを「いつか」じゃなく「10周年でやろう」って決めたことで何が変えられるのか? 変わっていくのか? それを一緒に見たいと思ったし、全部見せてあげたいなって思ったんですよね。
--SuGって一度活動休止もしてますし、ヴィジュアル系の枠を飛び越えていったバンドですし、どんなジャンルとも対バンするし、枠に収まらない音楽や在り方を発信し続けている訳で、ファンからしたら理解の範疇を超えることも少なくなかったでしょうし、追い続けるのが簡単じゃないバンドだと思うんですよ。それでもついてきてくれている要因って何なんでしょうね?
武瑠:なんなんすかね?
--戦友感覚みたいなものもあるんですかね?
武瑠:それも出てきてると思いますね、今のファンを見てると。「一緒につくっていこう」っていう気持ちも強く持ってくれているなって思うし。
<ルーツへの挑戦。先輩とかに向かっていくような対バンも出来たら>
--その支えもあってか、音楽的にも精神的にもすごく強いバンドになりましたよね。それは最新作『SHUDDUP』を聴いて感じました。
武瑠:たしかに。出来上がってから純粋に思ったのは、重いのにドロドロしてなくて……良い意味でファッション的。オシャレになってるなって。いろいろ溢れ出ちゃってるんだけど、泥臭くない。「自分たちのやりたいラウドってこれかな?」って思いました。ラウドって言うとまたシーンがアレになってきちゃうんですけど、重い音楽。10年前にやりたかった、なんかただシャウトしているだけの周りのバンドとは違う、でもなんだかよく分かんない感じ。それが『SHUDDUP』なのかなって思いましたね。SuGにおける重い音楽。「BLOODY MARY」とか特にそうだと思うんですけど。あとは、折れてる中指を立ててるアイコン(アートワーク)。折れてるけど折れてない、SuGが武道館に向かう姿勢と一緒だなと思いました。もう足掻きでしかない。だから人によっては悪足掻きにしか見えないかもしれないし、でもその「足掻いてでも挑戦する」っていう姿勢がこの中指のアイコンにすべて詰まってると思います。ただの強がりみたいなもんなんですけどね。絶対痛いんですよ。だって折れてるんだから(笑)。
--腕が折れても殴り続ける、昔の不良マンガの精神性ですよね。
武瑠:『特攻の拓』みたいな(笑)。でもそういう精神性がこのアイコンには現れていると思うし、俺はそれなんだろうなって。純粋に音楽だけではできない。アイコンがあって、そこから連動して音楽も何もかもがある。SuGが初めてインディーズの中で火が付いたときも、そういうやり方だったんです。ミニアルバム『I SCREAM PARTY』で初めて火が付いたんですけど、そのときもアイスのイラストがジャケットになってて、それに曲含め全部が連動している形。そういう手法、アンディ・ウォーホルみたいな感覚が自分の中ではいちばん好きなんで、それが『SHUDDUP』には特に反映されてると思います。すべてをアイコン一発で表す感じ。これぞSuGって感じがします。
--そんなSuGが日本武道館に向けてどんな2017年を歩んでいくのか楽しみです。
武瑠:武道館の日程が決まったらそこから一気に「ツアーをどう切る?」とかいろいろ走り出すと思うんですけど、ルーツを辿る対バンもやりたいなと思ってます。はじめましての人との対バンというよりかは、ルーツへの挑戦。先輩とかに向かっていくような対バンも出来たらいいなって。このタイミングでそれをやるのはすごく意味がありますよね。
<衝動の美しさみたいなものを出し続けるバンド……総合パンクみたいな>
--難しい戦いに敢えて挑み続けて早10年。その歩み方にもう後悔はない?
武瑠:まだ分かんないですね! 後悔しないように10周年、武道館には挑戦したいと思ってますけど、挑戦に向かう姿勢というか、バンドを動かしていく機能的な部分では今最もボロボロなんで。いわゆるマネージメントとか動き方とか指示できる人がいない状態で模索しながら、ただ手作りでやっている状態に10周年のタイミングで戻ったっていう。それもまた凄い運命だなって思います。普通は「10周年で武道館やる」ってなったら新たに手助けしてくれる人が増えそうなもんですけど、減ってるんで(笑)。逆に凄い運命辿ってるなって思いますよ。でもそれも自分たちのせいと言えばせいなんで。連れて来れなかった。それは時間とかもあるんでしょうし、もっと早くやってたら違ったかもしれない。俺達がね、優柔不断だったから……まぁ結婚みたいなもんなんじゃないですか。「そんなに結婚するって決断してくれないなら、私もう他に行っちゃうよ」的な。そういうのも含めて自分に悔しかったし……でもそういう意味でも「挑戦したいな」って思った。だからあんまり悪くは思っていない。すべては自分たちの責任だと思うので。
--とは言え、ボロボロの状態にはなっているという。
武瑠:そうですね。嫁が出て行った状態で10周年を迎えるという(笑)。
--「どこに何があるかよくわかんねぇ!」みたいな状態ですよね(笑)。
武瑠:マジでそういう状態です! そういう意味では、今いちばんヤバい。音楽だけやってちゃバンドは出来ないんだなって改めて思いました。でも「それでもやろう」っていう決意があるから出来る。昔だったら「なんでこんな足場がない状態でジャンプしなきゃいけないんだろう?」って逃げていたと思いますけど、10年間積み重ねてきた覚悟があるので。その覚悟が出来たのは、今までのSuGのファンの力があったからだなと思います。
--では、最後に。日本武道館のステージに立つとき、SuGはどんなバンドになっていると思いますか? もしくはどんなバンドになっていてほしいと思いますか?
武瑠:やっぱりこの中指(『SHUDDUP』のアイコン)みたいなバンドになっていたい。音楽性としてどうかは分からないですけど、パンキッシュなバンドでは在りたいなって思いますね。そつないとか文学的とかストレートとか音楽だけとかいろんなものが在ると思うし、いろんな魅力があると思うんです。だけど、俺たちは衝動で始まったバンドなので、衝動の美しさみたいなものを出し続けるバンドでいたいなと思ってます。で、俺はピストルズみたいにマルコム・マクラーレンの服とか全部くっついて駆け上がっていったあのカルチャーが好きなんで、だから音楽だけじゃなくPVとか服とかも同期させて創ってるんだろうなって思うので……総合パンクみたいな。裏方とかクリエーションって冷静に見えるかもしれないですけど、曲作るのも文章書くのもアートワーク考えるのも結局は熱量じゃないですか。パンキッシュな熱量でやってる。だから反骨精神や衝動を燃料に生きるバンドで在りたいです。
取材&テキスト:平賀哲雄
◎リリース情報
ベストアルバム『MIXTAPE』
2017/03/08 RELEASE
◎公演情報【3/9 SuGの日 FROM PSC】
2017年03月09日(木)恵比寿LIQUIDROOM
◎ツアー情報【39 LIVE ADDICT chapter1 THE BEST TOUR】
2017年03月11日(土)松本ALECX
2017年03月12日(日)新潟CLUB RIVERST
2017年03月17日(金)柏Thumb Up
2017年03月19日(日)DUCE Sapporo
2017年03月20日(月)DUCE Sapporo
2017年03月25日(土)仙台darwin
2017年03月26日(日)山形ミュージック昭和Session
2017年04月14日(金)新横浜NEW SIDE BEACH!!
2017年04月16日(日)静岡Sunash
2017年04月22日(土)松阪M'AXA(三重)
2017年04月23日(日)名古屋CLUB QUATTRO
2017年04月29日(土)岡山IMAGE
2017年04月30日(日)高松DIME
2017年05月03日(水)宮崎SR BOX
2017年05月05日(金)福岡DRUM Be-1
2017年05月06日(土)大分DRUM Be-0
2017年05月11日(木)渋谷TSUTAYA O-WEST
2017年05月14日(日)umeda AKASO
◎日本武道館公演
2017年09月02日(土)日本武道館
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