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2017/01/23

田村芽実(アンジュルムOG)×野沢トオル【minako-太陽になった歌姫-】対談 vol.1「いちばん最初に田村芽実の顔が浮かんだ」

 2016年5月30日 日本武道館にて「時間はかかっても、必ず大きく深みのある人間になってステージに戻ってくる」と約束し、アンジュルムを卒業した田村芽実。2017年5月17日~上演される舞台【minako-太陽になった歌姫-】の主演として芸能活動をいよいよ再開する。これに伴い、同舞台の脚本・演出を手掛ける野沢トオルとの対談が実現。今回はその第一弾をお届けする。

<田村芽実×野沢トオルの出逢い「構成作家とタレントさんという接点」>

--本田美奈子.さんの生き様を描いた舞台【minako-太陽になった歌姫-】の上演決定に伴い、その脚本・演出を手掛ける野沢トオルさん、そしてなんと主演を務める田村芽実さんのお二人に今日はお話を伺えればと思っているんですが、まず2人の接点、出逢ったきっかけから教えていただけますか?

野沢トオル:今回の対談に向けて調べてみたんですけど、どうやら2011年に初めて出逢ってるんですよ。僕が構成作家としてハロー!プロジェクトのコンサートやイベントのお手伝いをさせて頂いていて、その中でスマイレージ(現アンジュルム)のイベントのお仕事もさせて頂いて……

田村芽実:前田憂佳さん(スマイレージ初期メンバー/2011年12月31日卒業)の最後じゃないですか? 大晦日のイベント。それが7人(和田彩花/前田憂佳/福田花音/中西香菜/竹内朱莉/勝田里奈/田村芽実)で行った最初で最後のファンクラブイベントだったんですよ。

野沢トオル:おそらくそこで「新しいメンバーです」って紹介されたのが最初の出会いですね。構成作家とタレントさんという接点。

田村芽実:そこから6人のスマイレージになったときに【スマイレージ女子学園】っていうファンクラブイベントをやったんですけど、そのイベントにちょっとしたお芝居が入っていて、そこでお芝居をつけて頂いたのが印象に残ってます。

野沢トオル:学園もののショート演劇。コントみたいな感じだったよね?

田村芽実:私が一番年下だったんですけど、学級委員長っていう設定でやらせて頂いたのはよく憶えてます。和田さんが番長キャラで(笑)。

--野沢さんは、1994年から99年までのKANさんのツアーサポートメンバーとして、コーラスと振り付けで参加。2002年からハロー!プロジェクトのMC演出も多く手掛けられていますが、福田花音や田村芽実の卒業スペシャル含む全ての日本武道館公演に携わってきたアンジュルムには、どんな印象を抱かれていたんでしょう?

野沢トオル:すごく言葉がたくさん出てくる。特にアンジュルムになってからの彼女たちは説明するのに時間がかかるんですよね。まず個性がすごく強い。個々が強いグループって「面白いグループ」とか「格好良いグループ」とかたくさん言葉が出てくるんですけど、その中でもいちばんの印象は「荒削りですごく面白い」。1足せば必ず2になって返ってくるし、そういう意味ではすごく魅力的ですよ、アンジュルムは。

<「本田美奈子.さんの舞台をやる」いちばん最初に田村芽実の顔が浮かんだ>

--では、そのメンバーのひとりであった田村芽実にはどんな印象を?

野沢トオル:昔も今もそうなんですけど「すごくしたたかな子だなぁ~」って。

田村芽実:えぇ~! ウソだぁ~! 昔から「キャーキャーピーピー!」言ってたじゃないですか(笑)?

野沢トオル:多分、こうやって「キャーキャーピーピー!」言いながらもいろんなことを考えているんですよ。「1に対して100ぐらいのこと考えてるんじゃないか」っていつも思ってました。本田美奈子.さんもいろんな方を“見て”こられて「この方と自分はどう関わっていけるか?」ってすごくよく考えていた。彼女の本を読んでいても感じるんですが、それが本田さんが亡くなられた後もずーっと語り継がれている要因になってると思うんです。田村もどちらかと言うと「あ、この人は力になってもらえるかもしれない」とかね、いろんなことを頭の中で考えてると思うんです。そういう意味でしたたか。それってこの仕事をしていく上で必要なものなんですよ。アイドルをやっていれば、自分が思っていることと違うことが起きてしまったりして、イラっとすることもあっただろうし、でもそれを爆発させる前に頭の中で咀嚼して、そこでいろんなことを考えたりしながら活動してきたと思うんです。っていう勝手な想像なんですけど。

--実際のところはどうなんですか?

田村芽実:うーん……でも小さいときから人のことをいろんな意味で“見る”クセがあって。小さいときは本当におかしな子で、初対面で足の匂いを嗅がせたりしていたんですよ!

一同:(笑)

田村芽実:それで嫌な顔をした人にはもう一切近寄らなかったんですけど、面白がってくれた人とは今でもお父さんとかお母さんみたいな感じで付き合っていたりするんです。小さい頃、姉が何でも出来る天才タイプで、何にも勉強しなくても絶対に学年でTOP10に入る成績だったり、何をするにも私より上で憧れだったんですけど、私も目立ちたい精神があったので、逆を行ったんですよね。それが足の匂いを嗅がせるとかになっちゃったんです(笑)。でもそうやって人を“見る”子供だったので、スマイレージに入ってからもメンバーが「あの人ってこういう人なんじゃないかな? って最近思い始めたんだよね」って言ったりすると、「え、なんで今まで分からなかったの? 私は初めて見たときからなんとなく分かってたよ」って思うことがすごく多くて。それは小さい頃から人をよく“見て”いたからなんですよね、きっと。なので、野沢さんが言ってることは当たってるかもしれないです。

野沢トオル:足の匂いを嗅がせたていたエピソード、凄いね(笑)。

田村芽実:本当におかしな子だったんです!

野沢トオル:僕もすごくおかしな子だったんだよ。

田村芽実:本当ですか?

野沢トオル:ウチは両親が飲食店をやっていたので、小学生の頃はひとりで寝ていたんですけど、お客さんが宴会していたりすると、親が夜中に起こしに来るんですよ。自宅とくっついていたので「おい、起きろ」って。それで「宴会が盛り下がってきたからなんかやれ」って言われるんです。まだ小学生ですから「イヤだ、人前に出るの絶対イヤだ!」って泣くんですけど、でも強引に障子の後ろにスタンバイさせられて「皆さん、当店の息子がチャップリンのモノマネを披露します! どうぞ!」って言われたら、ストーンって出て行くわけ。で、チャップリンのモノマネをやりながら大人の顔色を“見て”いたんですよね。だから今でも人の顔色は見る。お客さんの反応もすごく気になるし、アンジュルムの仕事をやっているときもメンバーを見て「俺がつけた演出、気に入ってくれてるかな?」とか「このリハーサル、退屈じゃないかな?」とかそういうメンバーのコンディションばかり気にしてますね。今、芝居を作っていてもそう。僕が演出家しかしてなかったら「ちゃんとやれ!」ってなるんでしょうけど、僕も役者だから「もう2週間も稽古続いてるから休み欲しいよな」って思っちゃうんです(笑)。

田村芽実:へぇー!

野沢トオル:なので、僕も小さい頃からそういうところがあったから、田村には前から親近感をすごく持ってた。

田村芽実:似てるかもしれないです!

野沢トオル:似てると思うよ。だから「あ、今、こういうこと考えてるんだろうな?」って分かっちゃうんですよね。それが後に「本田美奈子.さんの舞台をやる」ってなったとき、いちばん最初に田村芽実の顔が浮かんだ。っていう話にも繋がっていくんですけど、どうしても演出家って自分に近しい人を求めたりするんです。精神的にだったり、価値観だったり……それはあくまで自分の感覚でしかないんですけど、田村にはそういう意味での近さを感じていたから、いちばん最初に頭に浮かんだんだと思います。

田村芽実:ありがとうございます!

<アンジュルムの夢を見ると、朝起きたときに「あ、もう違うんだ」って>

--田村さんは昨年5月まで「アンジュルムが自分の生活のすべて」と仰っていましたが、そのすべてだったアンジュルム卒業直後はどんな心境だったんですか?

田村芽実:次の日から普通だったんです! 一週間は抜け殻になることを覚悟していたんですけど、卒業コンサート(http://bit.ly/1sKdhPx)が終わって、おばあちゃんと母と姉と新幹線で群馬に帰って、次の日の朝にはもうすごく元気で! そんな感じで元気に地元の友達と遊んだり、家でいっぱいご飯食べたり、そういう生活が2週間ぐらい続いて。その後からちょっとずつレッスンを始めていった感じですね。なので、意外と元気で寂しさとかはなかったんですけど、寝ているときは、3回に2回はアンジュルムの夢を見てました(笑)。アンジュルムにいるときは毎日アンジュルムの夢ばかり見てて、寝ても覚めてもアンジュルムっていう。

野沢トオル:24時間営業じゃん。

田村芽実:そうだったんですよ! でも卒業してからアンジュルムの夢を見ると、朝起きたときに「あ、もう違うんだ」ってなるから、それはちょっと寂しかったですね。「ヤバい、ヤバい、振り覚えてない! もう本番だ!」と思って起きるんですよ(笑)。卒業コンサートのリハーサルとかの夢はよく見ましたね。もう卒業したのに!

野沢トオル:あのコンサートは泣いたなぁー。田村の卒業コンサートがいちばん泣きましたね。

田村芽実:うれしい!

--野沢さんはその公演のディレクションも手掛けられていた訳ですが、どんな卒業コンサートを創りたいと思って臨まれたんでしょうか?

野沢トオル:今勢いのあるアンジュルムというグループの武道館公演ということで、まずアンジュルムがいちばん格好良く見えるコンサートを目指しました。メンバーそれぞれがどうすれば格好良く見えるか、すごく考えましたね。正直言ってお金を使えば最新テクノロジーでいろんな凄いことが出来るんですけど、僕は演劇畑の人間なので、どうやってメンバーが表現すれば、ステージの中心にいるメンバーをどういうモチベーションにすれば「やっぱり凄いグループだな」って思ってもらえるか。そればかり考えてました。その上で、田村の卒業コンサートでもあったので、どう演出するか? それは僕もですけど、舞台監督さんやコンサート制作のチーフ、振り付け師、一緒に考えてくれてるチームのスタッフの皆さんが、それはもう本当に愛情をもっていろんな意見を出し合っていて、それが日に日に出てくる訳ですよね。すごく愛情をもって作られた卒業コンサートだったので「これは絶対に失敗できないな」って。この仕事をやってきて14年、あの公演は僕にとっていちばんピークだったと思ってます。それだけ責任があったので。映像も撮ったり、それを編集したり、みんなである意味手作りで形にした大きいコンサートだったので、すごく成長させてもらいましたし、大きな自信になりました。

--野沢さんにとっても特別な公演だった訳ですね。

野沢トオル:その中で田村が卒業していく。スマイレージの舞台【S/mileage's JUKEBOX MUSICAL SMILE FANTASY】を観させもらったときから「この子はちょっと違うな。演劇、上手だなぁ」とは思って、マネージャーさんに「田村芽実はハロー!プロジェクトの至宝ですよ。手離しちゃいけないですよ!」って話したぐらいだったんですけど、その子が卒業していくということで「この先が楽しみだなぁ、どんな大女優になるんだろうな」と思いながら卒業コンサート当日は彼女のパフォーマンスを観ていたんですよ。でもその時点ではまさか一緒に舞台をやるなんて思っていなかったから、今こうして対談しているのが不思議で仕方ないです(笑)。

vol.2へつづく―――

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada

◎舞台情報【minako-太陽になった歌姫-】
2017年05月17日(水)~21日(日)CBGKシブゲキ!!(東京都渋谷区)
チケット:スペシャルチケット”minakoシート”2/25先行発売決定
概要:2005年に急性骨髄性白血病で逝去した、歌手「本田美奈子.」。日本の歌姫と呼ばれた彼女の軌跡を描く。愛と夢と希望の物語。2017年春・野沢トオルの脚本・演出、株式会社BMIエグゼクティブプロデューサー・高杉敬二氏の総合監修により遂に舞台化が決定した。
http://stage-minako.com/

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