2016/12/31
可愛い顔してセンセーション。京都出身のシンガーソングライター・白波多カミンが結成し、百々和宏(MO'SOME TONEBENDER/geek sleep sheep)プロデュースでメジャーデビューしたバンド 白波多カミン with Placebo Foxes。12月13日、2016年最後のライブが渋谷TSUTAYA O-Nestにて開催された。
<「完全に殴り込みたい」メジャーデビューを果たした2016年>
白波多カミンは、大好きな女の子に振り向いてほしくて、その娘が書いた詩にメロディーを乗せたところから音楽家になった稀有なシンガーソングライター。昨年12月2日【白波多カミン with Placebo Foxes presents 「涅槃」 vol.3】なる自主企画イベントを開催し、その場でメジャーデビューを発表(http://bit.ly/299BM1s)し、メジャー1stアルバム『空席のサーカス』を、百々和宏(MO'SOME TONEBENDER/geek sleep sheep)をプロデューサーに迎えてリリース。その際のインタビュー(http://bit.ly/299Pcyb)では「完全に殴り込みたい」「「ここに快感があることをおまえらは知っていたか!?」というところを知らしめる。「好き、嫌い、好き、嫌い」とか言ってるだけじゃないから、女の子は」と音楽シーンに宣戦布告した。
<2016年最後のライブ「溺れて見えても飛び出せバラフライ」>
そんな自らの意思やアイデンティティを爆発させた2016年。その最後を飾るライブが12月13日、渋谷TSUTAYA O-nestにて行われた。本人も自身のダイアリー(http://bit.ly/2hWa7n6)で「人生最後のライブという気持ちだった。明日にはわたしはいないと思った。ライブ中きょうわたし死ぬのかなと思った。いや、死んでるのかな。何かがきっと終わると思った。やり切るということを初めて経験したのかもしれない」と後日綴っていたが、彼女はどこかすべてを達観したかのようにも、必死に生き急いでいるようにも感じさせる面持ちで熱唱。「さよなら、すきだよ言えずにバラフライ 君はいま何してるだろう 溺れて見えても飛び出せバラフライ 泣いてもバレないさ」例えばそんな「バラフライ」のフレーズも、そこに鳴り響くバンドの一音一音もこの夜はやたら涙腺を刺激する。
「なんとなくこのメンバーでライブするのは最後かもしれないと思っていた。メンバーの音が全部はっきり聴こえた。メンバー同士の音が戦うのではなく、ひとつの生き物になれた気がした」「音楽は音楽として、歌は歌としてあり、わたしはそれらの媒介として存在したいと思った」このダイアリーを読んで全て理解できた気がした。彼女はこの日すべてを終えようとしていたのかもしれない。せっかく念願のメジャーデビューも果たして、憧れていたバンドも組むことが出来て、そのバンドでのライブがどんどん評価されていく中でも、やっぱり彼女はどこまでも音楽の人で、本当のところでは他人の評価とか売れるか売れないかとかどうでもよくて、何かを終えてしまうぐらいのギリギリなところで自分(もしくは自分たち)が音楽になれるかどうかの戦いをしていたい人。そこに快楽、もっと格好良く言えば生き様を感じられる人なんじゃないか。白波多カミンが殴りこみたいのは音楽シーンじゃなく音楽そのものだったんじゃないか。
<「さよなら、さよなら、さよなら!」それでも続いていく日々=2017年>
僕の妄想に過ぎなかったら大変申し訳ないので、年明けに本人に久々に直接インタビューでもしたいと思っているが、そんなことを痛感させるライブが2016年の年の瀬にあった。世間が国民的アイドルグループが解散するとかしないとか、忘年会が連日続いて死にそうとか死にたくないとかで忙しくしている中、都会の片隅でまだまだ限られた人にしか知られていない女の子が自らの音楽に生きるとか死ぬとか感じながら、何度も何度も「さよなら、さよなら、さよなら!」と叫びながら歌っていた。それでも続いていく日々=2017年へ向けて音楽に身も心も投じていたことは忘れないでいたい。
「2016年も白波多カミン、応援して頂いてありがとうございます。2017年…………やっていきます」
取材&テキスト:平賀哲雄
Photo by 熊谷直子
◎ライブ【白波多カミン with Placebo Foxes presents「涅槃」vol.5】
12月13日(火)渋谷TSUTAYA O-nest セットリスト:
01.すきだよ
02.姉弟
03.サンセットガール
04.あたまいたい
05.おかえり
06.嫉妬
07.ハロースター
08.ランドセルカバー
09.バタフライ
10.なくしもの
En1.生命線
En2.くだもの
En3.いますぐ消えたい
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