2016/11/30
今年で齢、75歳!しかし、鉄壁のファンク・マナー。
ファンク・マスターのジョージ・クリントンがパーラメント/ファンカデリック名義で、再び『ビルボードライブ東京』のステージに降臨し、思う存分、観客を煽った。前日は大阪でオーディエンスが度肝を潰すような、凄まじいステージを展開したクリントン御一行。
「ソウル・パワー! みんな、歌え! 叫べ! 立ち上がれ!」開演と同時にステージの上にひしめく15人以上のメンバーが、観客を強烈にアジテートする。くどいほどコール&レスポンスを繰り返し、会場は一気に興奮の坩堝に。ヴィジュアルも声も飛び切りセクシーな女性コーラス、ギラギラしたフレイズを繰り出してくるホーン・セクション、歪んだ音を豪快にドライヴさせるギター、ドープなリズムを刻むベース…。メンバー全員の音が巨大な塊になって、観客席に押し寄せてくる。
1970年代からジェイムズ・ブラウンやスライ・ストーンがクリエイトしてきたファンク・ミュージックをラジカルに進化させ、黒人音楽としての“ファンク”を確立してきたジョージ・クリントン。全米でスペクタクルなパフォーマンスを繰り広げ、ライブした土地を“チョコレイト・シティ”に染め上げてきた彼らの足跡は、ブラック・ミュージックの歴史に燦然と輝いている。ブラック・コミュニティに向けられたマッシヴなサウンドとメッセージを持ちながらも、同時に肌の色を越えた“団結の音楽”としても機能し、多くのファンを獲得してきたクリントン軍団。名曲「ワン・ネイション・アンダー・ア・グルーヴ」などに代表されるメッセージは、21世紀の今もまったく色褪せていない。
そのメッセージを体現するかのようなライブは、たくさんのミュージシャンがステージの上を所狭しと動き回り、まるで人類の団結を表現しているかのよう。リアリズム溢れるフィジカルな演奏とパフォーマンスは、聴き手にポジティヴなエネルギーをチャージしてくれる。今のようなシビアな時代だからこそ、改めて体験したいステージだ。
めくるめくグルーヴが続く濃密なステージ。いつ果てることのない錯覚に陥るような演奏は、とても中毒性が高く、聴き手の身体を麻痺させる媚薬のようだ。ヘヴィなリズムに導かれたタフなサウンドが炸裂する。絶えず煽られ続けるオーディエンスは、みんな席を立ち、必死に身体をくねらせ、手と足を鳴らしている。後半には先述した「ワン・ネイション・アンダー・ア・グルーヴ」や「フラッシュライト」といったファンには馴染みのナンバーが畳みかけるように繰り出され、会場はさながら饗宴の様相に――。
紛うことなき濃密な85分。彼らがステージを降りるころには、背中に汗が流れるのを感じ、足が棒のようになったリアルな疲労感が身体に染み込んでいた。すべてがピークに振り切った怒涛のライブ・パフォーマンスは、今日(30日)も体験することができる。
さぁ、ポジティヴなパワーに満ち溢れたクリントン軍団の“狂乱の宴”を目撃できる絶好のチャンス。ぜひ、ご参加を!
◎ジョージ・クリントン&PARLIAMENT/FUNKADELIC公演情報
ビルボードライブ大阪 2016年11月28日(月)
公演詳細:https://goo.gl/pFVhK9
ビルボードライブ東京 2016年11月29日(火)~30日(水)
公演詳細:https://goo.gl/WnMV8b
Photo: Ayaka Matsui
Text:安斎明定(あんざい・あきさだ) 編集者/ライター
東京生まれ、東京育ちの音楽フリーク。蒸し暑かった夏から秋とは打って変わって、急激に寒くなってきたこのごろ。これからの季節はグリュー・ワイン=ホット・ワインがオススメ。ワインに袋詰めしたスパイスを浮かべながら鍋で温めると、やわらかい果実味とスパイシーな風味が溶け合って、身体が暖まる飲み物に変身!芯からほっこりと暖まるので、夜もぐっすり眠れる。食後にストーブにでも当たりながら飲むグリュー・ワインは、この季節のご馳走な“デザート”。ドイツやオーストリア、スイスなどで親しまれているホット・ワインを気軽に楽しんでみて!
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像