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2016/11/21

半野喜弘初の監督作品、映画『雨にゆれる女』公開

 国内外で多彩な活動を続ける音楽家・半野喜弘の映画監督デビュー作『雨にゆれる女』が11月19日からテアトル新宿でレイトロードショー公開された。

 公開初日には、主演の青木崇高、大野いととともに舞台挨拶に立ち、「コツコツと作った小さな船が、ようやくお客さんを乗せて海に出ます。胸を張って好きと言える映画ができました」と語った。「もっと人間を表現したい、もっと人の人生を表現したい」という気持ちが、映画制作に行き着いたという半野はこれまで、ホウ・シャオシェン監督の『フラワーズ・オブ・シャンハイ』、ジャ・ジャンクー監督『四川のうた』『山河ノスタルジア』、ユー・リクウァイ監督『プラスティック・シティ』、行定勲監督『真夜中の五分前』など、国内外の多くの映画音楽を手掛けており、本作と同日公開された森義隆監督『聖の青春』でも音楽を担当している。世界的にも評価の高い日本人音楽家として知られる一方で、中谷美紀、UA、大橋トリオらのプロデュース、スイスやスウェーデンで世界各国からの依頼を受けて作られたオーケストラ作品など、音楽家としても多彩な活動をみせている。

 本作は、14年前にパリで半野が、当時バックパッカーだった青木と出会ったことをきっかけに誕生。濃厚な色彩、張り詰めた緊張感、人間の息づかいまでもが細部に同居する濃密な世界が繰り広げられている。半野は、「「生きることの不公平さ」がこの物語の題材としてある。僕たちが「抗えない力」、僕たちに「コントロールできない力」というものが、すべての不公平の根源にあるからこそ、それにどう立ち向かって僕たちは生きて行くのだろうか、ということを映像、音楽を含めた全てで構築したかった」とコメントした。独自のセンスで音楽家だけでなく、監督、脚本、編集、音楽をすべて自身で手がけた初の映画作品は、各界から注目を集め、映画と音楽の枠を越えた著名人らから絶賛するコメントが届いている。



◎坂本龍一 コメント全文
大島渚や吉田喜重、僕の映画のルーツである60年代の日本の独立系の監督たちの映画の匂いがする。現代の日本映画でそういう感覚を持つ映画に初めて出会った。

◎ジャ・ジャンクー コメント全文
『プラットホーム』、『四川のうた』、『山河ノスタルジア』、作曲家として、半野喜弘は私と3本の映画で仕事をし、彼の音楽は正確に映画の核心を表現する手助けをしてくれた。映画監督として、半野喜弘の『雨にゆれる女』はまた、私に彼の精神世界の核心に触れるチャンスをくれた。骨身に沁みるような孤独と優しさ、激しい心の内と悠然とした語り口の対比が、拭い去れない感動をもたらしてくれる。

◎吉本ばなな コメント全文
ハードボイルドな設定なのに、いろんなことがえらくかわいいおかしなふたりだった。
映像のすばらしさは考えられないほど!
ただ 流してずっと眺めていたい。

◎田中フミヤ コメント全文
半野さん自身の音楽で実践され、その中から感じとれる実験性や普遍性は、映画制作の中でも表現されていました。生と死について行き着く愛の物語は淡々とロマンチックに、繊細な描写や独白のような言葉は危ういバランスで均衡が取れ、突然の美しい映像や健次と謎の女の言葉に、不意に涙が出て狼狽しました。今回の作品が今後どのように扱われるか楽しみです。まだ気が早いですが、半野さんが次回作に取り組まれることも期待しています。

◎斎藤工 コメント全文
そこにある生々しいリアルなのに何処か幻想的な人間達
半野さんが遂には映像で奏でた見事過ぎる人間の心の襞
気付いたらその本質的な旋律に、切なく包まれている
劇場で浸らない手はない。

◎中村達也 コメント全文
雨にゆれる女をみはじめると、10年後に、もう一回見たいと途中で思った。僕の精神がこのハナシを見届けられるほど、逞しくないと思ったし耐えられるだろうか?と、ビビってしまった。青木崇高と、この女のせいだ。
その思いもいつの間にやら失せて、困った、困った、困ったぞと、心が俺に訴えかけてきた。
この映画の中には、俺もいる気がしてきた。本当にこわい。青木と、この雨のせいだ。

◎行定勲 コメント全文
官能的な雨音に誘われ、孤独な二つの魂が運命的な邂逅を遂げる。
男と女の間にある匂い立つ空気を見事に捉えたラブストーリーである。
そして、映画の中で記憶に残る土砂降りの雨の場面に私は嫉妬した。

◎コトリンゴ コメント全文
湿度の高い空気感と、緊張感がラストまで。
主人公のふたりの複雑なこころの動きをそのまま採譜したかのような最後の音楽も、本当に美しかった。

◎公開情報 『雨にゆれる女』
予告映像:https://youtu.be/YrkvmBbzu8k
監督・脚本・編集・音楽:半野喜弘
出演:青木崇高、大野いと、岡山天音、水澤紳吾、伊藤佳範、中野順二、杉田吉平、吉本想一郎、森岡龍、地曵豪、十貫寺梅軒
企画・製作プロダクション:オフィス・シロウズ 
配給:ビターズ・エンド
(c)「雨にゆれる女」members

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