2016/11/11 17:30
前作『ザ・ラスト・シップ』(2013年)から3年ぶり、通算12枚目のスタジオ・アルバム『ニューヨーク9番街57丁目』を2016年11月11日にリリースした、ロック・シーンの生きる伝説、スティング。ポリス時代から数えると、来年でデビュー40周年を迎えるわけだが、その長いキャリアの“原点回帰”ともいえる内容になったと、スティング本人がインタビューで話している。
2016年の春からレコーディングをスタートし、かなり短期間で仕上げたという、本作『ニューヨーク9番街57丁目』。スティングのキャリアを振り返ると、ラテンを取り入れた「デザート・ローズ」(2000年)や、R&Bシンガーのメアリー・J・ブライジとデュエットした「ウェネバー・アイ・セイ・ユア・ネーム」(2003年)、クラシック・ミュージックの要素も取り入れたアルバム『ラビリンス』(2006年)など、ロックというジャンルからクロスオーバーしたタイトルやアルバムを成功させてきたわけだが、本作は、スタジオでバンド・メンバーとプレイしながら作ったというだけあり、2000年以降にリリースされた、繊細な音作りが印象的なアルバムとは対照的な、スタンダードなロック・アルバムに仕上がっている。
このアルバムの制作期間である、2016年初頭から現在に至るまで、世界で起きた様々な問題をテーマにしていると話す、スティング。難民問題や環境破壊、そして、スティングと同時期にミュージック・シーンで話題となった、デヴィッド・ボウイ(1月)やプリンス(4月)が死去したことについても、思いにしたナンバーが収録されている。
アルバム・プロデューサーとしてクレジットされたマーティン・キーゼンバウムは、マドンナやレディー・ガガ、「ストーリー」の大ヒットでも知られる、日本の女性シンガー、AIなどを手掛けた人物で、同時にスティングの現・マネージャーでもあるという。本作がすばらしいアルバムに仕上がった理由として、彼との相性の良さも挙げられるだろう。
先行シングル「アイ・キャント・ストップ・シンキング・アバウト・ユー」や「ペトロール・ヘッド」など、ライブで聴きたいナンバーも目白押しで、往年のポリス、スティング・ファンがが聴きたかったであろう、ロック・アルバムに仕上がった、『ニューヨーク9番街57丁目』。御年65歳とは思えない、このパワフルなボーカルとサウンドに、ただ、ひたすら圧倒される。
Text:本家一成
◎リリース情報
『ニューヨーク9番街57丁目』
2016/11/11 RELEASE
SHM-CD: 2,600円(tax incl.)
SHM-CD+DVD:3,400円(tax incl.)
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