2016/10/05
無料で楽しめるインターネットテレビ局・AbemaTVにて放送されている音楽番組『TK MUSIC FRESH! by AWA』。小室哲哉がMCを務めるこの番組に今注目が集まっている。
<数々の伝説的対談を実現した『TK MUSIC CLAMP』から約20年>
稀代の音楽プロデューサーであり、あらゆる音楽を表現/制作してきたミュージシャンである小室哲哉。もはや説明不要、その存在を知らない者はいないであろう大物だが、そんな彼がお昼の原宿駅前にあるHARAJUKU Abema Studioから音楽番組を公開生放送している。しかも1回こっきりの特番ではなく、定期的に。かつて小室哲哉はフジテレビ系『TK MUSIC CLAMP』なる音楽番組でMCを務めており、TM NETWORKや小室ファミリーの面々はもちろん、小林武史、小沢健二、桑田佳祐、坂本龍一、稲葉浩志(B'z)、吉田拓郎、泉谷しげる、小山田圭吾、忌野清志郎、井上陽水、つんく♂、YOSHIKI、福山雅治、岡村靖幸、電気グルーヴ、松山千春、高見沢俊彦などなど今パッと思い出せるだけでも錚々たるビッグネームとの対談を実現し、そのすべてのトーク内容が双方のファンの中で伝説化されるほどのインパクトを残した。あれから約20年、彼が今度はお昼の番組に、しかも公開生放送、原宿の駅前というシチュエーション下で音楽情報を配信しているという事実だけでも衝撃的だが、この番組は中身も画期的な内容となっている。
<小室哲哉「声が涙腺を潤ませる」と涙……森山直太朗との刺激的な対談>
当編集部は、9月30日放送分の現場を潜入取材させて頂いたのだが、当日のゲストは15周年記念オールタイムベストアルバム『大傑作撰』をリリースしたばかりの森山直太朗。これまでもZEEBRAやMIYAVI、MAN WITH A MISSIONのジャン・ケン・ジョニー、SCANDALなどを招いており、そのいずれもが「小室哲哉と対話する」その事実だけでニュースになる顔ぶれであり、この日も小室哲哉×森山直太朗という異色の組み合わせに視聴者はもちろん、スタジオまで駆け付けた大勢のファンも興奮気味であった。そして、その場で繰り広げられる会話が凄い。森山直太朗が「物心ついた時には小室さんの音楽があって、小室さんの音楽を浴びに浴びて、もう小室さんに洗脳されています」と語れば、小室哲哉は「声が涙腺を潤ませる」と森山が弾き語りで生披露した「どこもかしこも駐車場」に涙ぐみながらコメント。お互いにリスペクトの念を素直に伝え合いながら、同時にお互いの作詞作曲方法やニール・ヤングなど海外アーティストの歴史や魅力などについても語り合うという、もう純粋に音楽ファンからしたら為になる話を次々と繰り広げていく。
<ざわちんや松本愛も視聴者に近い視線で音楽トークに参戦>
この番組の妙は、そんなザッツ・アーティストであり、ザッツ・ミュージシャンの音楽トークにものまねメイクでお馴染みの人気タレントのざわちん、人気ファッションモデルである松本愛といった面々もゲストとして参加しているところにある。若い女の子を中心に絶大な支持を得る彼女たちが、小室哲哉と森山直太朗が繰り広げる話にあくまで視聴者に近い視線で加わり、どんな人でもあらゆる音楽の話題に興味を持てるようにしている構成はお見事。音楽がマニアの嗜好品になりがちな昨今において、音楽の様々な楽しみ方をちゃんと一般層にまでナチュラルな形で伝えているのは実に意味深い。また、各々にAWAでプレイリストを作成、小室哲哉であれば洋邦の歌声が印象的な楽曲たち、ざわちんであれば自分がものまねメイクしてきたアーティストたち、松本愛であれば大好きなジャパニーズロックバンドたちを楽しげに紹介していき、老若男女に今の時代の音楽の遊び方をさりげなく伝えているところも注目すべき点だ。
<音楽について語れる番組が少ない中、120分も語れる音楽番組の価値>
そんな充実した音楽番組を120分にわたってお届け。前述の『TK MUSIC CLAMP』に比べると約4倍の時間を使ってゲストと共に音楽の魅力を伝えていく。小室哲哉もこれだけ時間があれば話し切れると述べていたが、音楽について語れる音楽番組が少ない時代、TK自らMCを務めて森山直太朗のようなザッツ・アーティストと音楽を存分に語り合い、ざわちんや松本愛のような若い女の子ともソレを共有し、幅広い層に届ける。こんなにも音楽的価値の高い音楽番組が今他にあるだろうか。今後も定期的に放送されていく予定なので、まだ観たことがない人はぜひともチェックしてみてほしい。最後に、この日の放送終了後、楽屋で行った小室哲哉へのインタビューを掲載する。
◎小室哲哉 放送終了後インタビュー
--今の時代、こんなにも有意義な音楽番組は他にないなと思いました。小室さん自身はどんな番組にしていきたいと思っているんでしょうか?
小室哲哉:元々憧れがあったんですよ、小林克也さんの『ベストヒットUSA』に。渡された資料を読みながらやるんじゃなくて、自分の知っている限りの音楽の知識で成立させる番組をいずれやりたいと思っていたんですよね。それでゲストを呼んで、今回だったらニール・ヤングの話で盛り上がりましたけど、「この人は何の話で引っ掛かってくれるのかな?」みたいなところも含めて、そういう番組をやりたいと思っていて。あとは「小室哲哉が音楽番組やってるの?」っていうところで、音楽の話をしたい人が「じゃあ、出たい。行く行く」ってなるような形が見えやすいものに出来ればいいなって思ってます。
--かつては『TK MUSIC CLAMP』という音楽番組もありました。
小室哲哉:あのときは僕もまだ探り探りだったし、ゲストで来て下さる皆さんも僕に対してそこまでの認知がなかったと思うんですよね。面識も含めてね。だからお互いがお互いを探り合うような感じだったんですけど、今は僕自身も小室哲哉を俯瞰で見れるようになってるぐらいなので、純粋に「音楽の話をしたい!」と思って来てくれる人と音楽の話が楽しめるようになってる。
--今日もそうでしたもんね。意外と音楽について語れる音楽番組って少ないので……
小室哲哉:少ないんですよね。やっぱり「番組を盛り上げよう」っていう意思がどうしても見えちゃうから。それで「もう一歩踏み込もう」っていうことが出来ないままに次のコーナーへ行ってしまう。でもこういう番組が世に広まってくれると、また音楽の聴き方とか何かが変わってくるかもしれないですよね。
--では、最後に、今後の小室哲哉に注目している人たちへメッセージをお願いします。
小室哲哉:TM NETWORKとかglobeとか周年系のプロジェクトがここ5年ぐらい続いていたので、今はソロアルバムの構想を練り始めていて、プロデュースものの話とかもあるんですけど、自分のソロ活動にも力を入れていきたいなと思ってます。僕のソロ活動と言えば、=エレクトロになってしまいますけど、まずそれを形にしたい。なので、そちらも楽しみにしてて下さい。
取材&テキスト:平賀哲雄
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