ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、そして監督のロン・ハワードが、2016年9月22日に日本公開される『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK‐The Touring Years』について、米ビルボード誌のインタビューに答えた。
ザ・ビートルズの驚異的な初期のキャリアを描いた本作は、1970年の『レット・イット・ビー』以来46年ぶり、『ザ・ビートルズ・アンソロジー』から実に21年ぶりのアップル公式作品。バンド公認の長編ドキュメンタリー映画で、15か国90都市166公演に及ぶツアーの様子と世界中の熱狂の様子に加え、ファンにとって伝説となっている、1965年8月15日の“シェイ・スタジアム”のライブ映像が4Kリマスターされている。同コンサートは、56,000人以上の観衆を前に野球場で行われた最初のロック・コンサートで、14台の35mmカメラを使って撮影されており、4Kリマスターの編集はアビー・ロード・スタジオで施されている。
また、予告編には50年前の来日時に4人がハッピをきてタラップを降りてくる有名なシーンも使われていて、本編にも日本のシーンが登場することを示唆させる、ファン必見の作品となっている。監督は、『ビューティフル・マインド』で【アカデミー賞】を受賞したロン・ハワードが手掛けている。
なお、映画とリンクするザ・ビートルズ唯一の公式ライヴ・アルバム『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』が本日9月9日世界同時リリースとなっている。
◎初めて出会ったのは?
リンゴ・スター:僕は70年代だと思うね。お互いまだ若かった頃。
ロン・ハワード:リンゴとキース・ムーンが『Happy Days』の撮影現場にふらりとやってきたんだ。嘘じゃなくて。
リンゴ:あわよくば、出演できるかと思って!
ロン:すべてがストップしたんだ。アシスタント・ディレクターはリハを続行しようとしていたけれど、(共演者の)ヘンリー・ウィンクラーと私が(ADに向かって)「うせろ!話は後にしてくれ!」って。そしてリンゴとキースに向かって「で、調子はどうだい?」って感じだった。
リンゴ:実のところ、あの時迷子になってたんだ。
◎映画の中で、まったく記憶に残っていなかったシーンはありますか?
ポール・マッカートニー:結構多いよ。
リンゴ:先週のことすら憶えてない。
ポール:一つ面白かったのが、ビートルズのメンバーとしての自分が見れたこと。映画が終わる頃にはファンになってるんだ―「おい、あいつら最高じゃないか!」ってぐあいに。そして改めてそれが自分だと思いだす。中々飲み込むのが難しいことだ。
◎そのように局外からみるのと実際に体験することの違いは?
リンゴ:まぁ、所詮映画だからね。僕らが歩んだ人生の映画。今となってはリラックスして観れるからいいよね。たくさんの時が過ぎ、たくさんの思い出がある。
◎コンサートにおいてのサウンドのクオリティの低さについての話が、劇中で何度が出てきますが、どのように対処したのですか?
ロン:このプロジェクトを受ける上で、エキサイティングだったのがそこなんだ。デジタル・テクノロジーでどれだけ観客の体験を拡張できるのか、ということ。映像を修復し、よりディテールを注入できることはわかっていた。コンサートを可能な限りエキサイティングで、観る価値のある作品にしたかった。
◎映画を制作するにあたって、一番驚いたことは?
ポール:制作中に明らかになったこと。たとえば、僕らはブラック・ミュージックやアーティストが大好きだったから、人種分離のない会場でしか演奏しなかった(1960年代のアメリカ南部には人種分離されているコンサート会場がまだ存在していた)。でもそれが契約書に記載されていたのには驚いたね。
◎ビートルズの歴史を辿るプロジェクトは、他にも予定されているのですか?
ポール:このプロジェクトに関しても、予定していなかった。そこがいいんだよね。常に何か起こってる。昔ロンドからリヴァプールに向かっているときに、道が全く見えないほどの酷い吹雪に遭遇したことがあったんだけど、その時ヴァンが土手からスリップしてしまって、車道へ戻れなくなってしまった。4人で立ち往生していた時に、誰かが「きっと何か起こるよ。」と言ったんだ。今となっては、それが僕のマントラだ。そして案の定、通りかかった誰かの車に乗せてもらったんだ。
このインタビューの原文は、9月17日号の米ビルボード誌と同誌
ウェブサイトに掲載されている。
Photo: (C)Apple Corps Limited. All Rights Reserved.
◎公開情報
『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK‐The Touring Years』
出演:ザ・ビートルズ 監督:ロン・ハワード
2016年9月22日(木・祝)全国ロードショー