2016/08/10
元BiSカミヤサキを中心に5人で結成されたアイドルグループ・POPは、結成1年でGANG PARADE(通称ギャンパレ)に改名。日本武道館を目標に掲げて邁進する中、8月5日~7日 お台場・青海周辺エリアにて開催された【TOKYO IDOL FESTIVAL 2016】に出演した。
<TIFから始まった荊の道……無期限活動休止からの復活劇、そして>
昨年の【TOKYO IDOL FESTIVAL 2015】に出演したPOPは、初日(http://bit.ly/2baggue)でオーディエンスを大熱狂させるも、2日目の出演をキャンセルする事態に。そして直後の初ワンマンライブ(http://bit.ly/1lpvf6V)をもってカミヤサキは「事務所からの判断で無期限活動休止となります。イベントの禁止事項を順守できなかったこと、マネージメントの指示に従えなかったことが理由です。すみません」と離脱する事になり、POPはまだデビュー間もなかったイヌカイマアヤ、ヤママチミキ、ユメノユア、シグサワアオの新人4名で活動していくことになった。その間、いつ解散することになってもおかしくないムードの中、来る日も来る日も重圧に堪えながら4人はステージに立ち続け、カミヤサキも何をどうしたら復活できるのか分からない中で、苦悩の日々を過ごしていた事は想像に難くない。
しかし、同年12月。カミヤサキは「復帰か脱退か」決まる100kmマラソンを敢行。24時間以内に無事ゴールに辿り着けた場合は、そのままワンマンライブに出演し、活動再開。しかしタイムオーバー、もしくは途中リタイアした場合は、ワンマンライブは予定通り開始するもカミヤサキはグループから脱退となる。という厳しい条件の中ながらも「1秒でも速く復帰したい」とモンスターアイドルぶりを爆発させ、小川マネージャーと共になんと衝撃の22時間でゴールしてみせた(http://bit.ly/1QZQnM3)。これ以降のPOPのアクトは劇的に進化、ダイブやリフトといった過激なアクションを封印しながらも、その純然たるボーカル&ダンスパフォーマンスだけでも涙を誘えるほどのグループへ。
<「去年は本当にごめんなさーーーい!」目頭熱くさせる生還アクト>
そして待ち望んだ再びの【TOKYO IDOL FESTIVAL】。まず5日のDOLL FACTORY(湾岸スタジオ屋内)でのアクトでは、カミヤサキが「去年は本当にごめんなさーーーい!」と謝罪しながら、この1年間のアイドル人生で体験したすべてを叩きつけるかのようなパフォーマンスを展開。メインステージからランウェイまで5人5様に放射線状に自由にはしゃぎまわりながらも、指先の角度ひとつ取ってもズレのない息が揃ったフォーメーションダンスも展開。昨年のTIFでの一件でペナルティを喰らい、ダイブを封印してから約1年……スキルも熱量も一体感も格段にレベルアップさせた5人がそこにおり、とにかくポジティブでハッピーなムードなのに目頭を熱くさせる。
続くSMILE GARDEN(湾岸スタジオ横公園)でのアクト。POP改めGANG PARADEの前身であるプラニメが客席に飛び込んでいき、暴れ狂うオーディエンスの頭上でカミヤがエヴァンゲリオンのごとく暴走した過去を持つステージだが、その暴走劇が繰り広げられたナンバー「Plastic 2 Mercy」が鳴り響くと、その曲の歴史がエリア一体に独特の緊張感と期待感を生む。それでも「私たちの気持ちを受け取ってください!」とあくまでクリーンに、けれども全身全霊で歌い踊り続ける5人の姿にオーディエンスは魅了され、次々と駆け寄ってくる観客とエモーショナルな時間を共有していた。そのムードは翌6日のDOLL FACTORY(湾岸スタジオ屋内)でのアクトでも変わらず。
しかし最終日のSKY STAGE(湾岸スタジオ屋上)でのアクトだけは、TIFに限らず、これまでのPOP改めGANG PARADEの全ステージと異なる空気が流れていた。理由は明確。このライブが青春担当のシグサワアオにとって、5人体制のGANG PARADEにとって最後のステージだったからである。
<夏の夕暮れ、シグサワアオと立った最後のステージ「後悔させたい」>
屋上からお台場の綺麗な景色を一望できるSKY STAGE。しかも夏の夕暮れということもあって、切なくも美しい世界が眼前に広がっていた。そこへ登場したGANG PARADEの5人が「忘れられない15分間にしたいと思います!」と歌い出したのは、最新シングルにして最もエモーショナルなバラード曲「WE ARE the IDOL」。オレンジ色の光に染められながら、優しい風に吹かれながら5人5様の想いが乗ったフレーズを届けていくのだが、誰もがその声を震わさずにはいられない。もう叶わないことを知りながらも「君とずっと共に生きよう これからも」と歌う、このステージを下りたらアイドルではなくなることを知りながら「歩き続けるよ 光り瞬くIDOL」と歌うのはどんな気持ちだったのだろう。
ただ、5人はとにかく真っ直ぐに前を見つめながら歌い続けた。シグサワアオも「これが5人のGANG PARADE、ラストのステージになります! 今日を忘れられない最高の日にしましょう!」と叫び、客席に背中を向けた瞬間に涙が溢れてしまったとしても、再び我々と目を合わせる瞬間には笑顔でいた。ここにいるメンバー全員が大好きで、ここで一緒に歌って踊ってくれるファンのことが大好きで、自分のことより周りのことを考えてしまう女の子で、お披露目の場となったBiSHとの駅伝企画(http://bit.ly/1fvlXTF)から今日までずっと、どんなに苦しくてもずっと笑顔で走り続けてきた彼女らしい姿だった。
そんなシグサワの肩をグッと抱き寄せたカミヤ。「今日、このSKY STAGEを持ちましてメンバー・シグサワアオが脱退します。私は正直、シグサワアオの辞める理由である、親の応援が十分に得られなかったということを全くもって、ごめんなさい、理解できません。こんなことで辞めてしまうのかって許せない気持ちでいっぱいです。すみません。私は今も、そしてこの後の活動でも、アオに辞めた事を後悔させたいと思います」(涙ぐみながら黙って頷くシグサワ)「皆さんも今日この場所でアオに辞めることを後悔させようじゃないですか! 最高にハッピーなところを見せつけて後悔させてやりましょー!!!」
そして5人は今日までのステージで最も振り切れた笑顔と動きと歌声で「Happy Lucky Kirakira Lucky」をお届け。陽の暮れたSKY STAGEでそれはもうバカみたいに「ハッピー! ハッピー!」「ラッキー! ラッキー!」と叫び続けていた。この世界には泣けて泣けてしょうがないバカ騒ぎもあることを改めて知った夏。シグサワが「以上、私たち!」と叫び、5人で「GANG PARADEでした!」といつものポーズを決めると、不恰好ながらも愛らしくて優しかったひとつの青春は幕を閉じた。
<私を「好きだ」って言ってくれた人みんなにしあわせになってほしい>
◎GANG PARADE【TOKYO IDOL FESTIVAL 2015】終演直後インタビュー
--POP改めGANG PARADE、5人体制での活動を終えた今の心境を聞かせて下さい。
ヤママチミキ:アオちゃんと一緒にいる時間が終わったんだなって。ライブをやっているときは、最初の「WE ARE the IDOL」ですでにヤバくて、アオちゃんが……(涙を溢れさせる)サビの前半部分を歌ってるんですけど、そこから私に交換するときに「これで交換することもなくなるし、あぁ本当に終わりなんだ」って思ったし、それで歌いながらお客さんを見たら「アオちゃんのことを大好きなんだな」って思うぐらい凄い顔をしてて……そういうのを見たときに、本当にこれで5人体制が終わるんだって実感しました。でも、悲しいけど、ここからが私たち4人のスタートだから、泣いてばかりじゃいられないなって……思いますけど、涙出ます!
ユメノユア:5人での活動が終わったんだなって……これからはアオがいなくなって4人でやっていかなきゃいけないから、また4人で再スタートって切り替えていかなきゃいけないってすごく思いました。最後のライブは始まる前から「5人でステージに立てるのは、あと15分しかないのか」と思って、そしたらPOPが始まってからいっぱいライブしてきたこととか今までのことを思い出しちゃって、なんか泣いちゃったけど(涙を溢れさせる)……何を言おうとしたのか分からなくなっちゃった(笑)。うーん……自分が出来ることは全部出せたなって思ったから、今の感情を全部ぶつけられたから、そういう意味では良かったのかなって思いました。
カミヤサキ:MCでも言ったように「絶対後悔させてやる」って気持ちでいたし、それはもうアオの脱退が決まったときからずっと思ってました。だから今日のライブも「これで最後なんだな」とは思ったけど、その悲しい気持ちに絶対負けないでいようと思ってライブしてたし、絶対に他のメンバーは泣いちゃうだろうなと思っていたので、そこをちゃんとサポートじゃないけど、ちゃんと引っ張っていける人間にならなきゃなと思ってました。ギャンパレって別にリーダー決めてないんですけど、引っ張っていく立場にあるのはやっぱり自分なのかなって思ったので。あと、何よりギャンパレは止まれないので、武道館に立つっていう夢も絶対叶えたいし、ここからまた頑張りたい気持ちでいっぱいです。
イヌカイマアヤ:言ってしまえばアオと一番仲が良かったし……、歳が近かったし、ひとつの心の支えであったから、アオが抜けてしまうことは寂しいけど、今日のSKY STAGEは別にアオの為のステージではなかったし、私たち5人の、GANG PARADEのステージだから、アオの為だけのステージにはしたくなくて、それはずっと思ってて。今もステージが寂しかったとか全然思ってないし、後悔してないし、5人体制のGANG PARADEとしてやれることはやったと思ってます。もちろん辞めてしまう事はどんな理由であれ寂しいんですけど、アオちゃんは……GANG PARADEを捨ててしまう事を選んだから、それに私は別に理解はしてないし、「アオの背中を押してあげてね」みたいなことをすごく言われたんですけど、私は背中を押すつもりは全然なくて、どっちかと言うと「なんでだよ?」って理解はしていなくて…………私は進むから! アオは後悔すればいいって思ってます。
--今、4人の話を聞いて感じたこと、素直な想いを聞かせて下さい。
シグサワアオ:……知らないあいだに、気付かないうちに、自分の中でシグサワアオっていうもうひとりの人格が出来ていた。こうして終わってみると、そんな気がしていて。それが死んだ感じ(笑)。消えたなって思う。でも最後のライブは泣いて終わるのがイヤだったから、ポロポロこぼれたけど……こぼれちゃったんですけど、笑っていたかった、すごく。私がわんわん泣きながらライブするのは違うから、ステージの上では涙がこぼれても笑ってはいたくて。でもやっぱりみんな泣いてるから! 好きだった人たちが(涙を溢れさせる)。「あ、もう会えないんだなぁ」って。よく言うじゃないですか。「芸能界から居なくなっても道歩いてたら会えるかもね。地球上では生きてるから」みたいな。でもそうかもしれないけど、シグサワアオはここで死ぬから……もしも私に道で会ったとしてもそれはシグサワアオではないから、もう二度と会えないんだなって。会えない……から寂しいなって。寂しい想いさせてごめんねって。そういう想いが一番大きかった。
--これからどんな風に生きていきたいなと思いますか?
シグサワアオ:やりたいこととかまだ全然決めてないし、強いて言えば、夏のあいだにカレーを作るとか(笑)。カレーを完璧に作れるようになるっていう目標があるんですけど……なんだろう? これからの人生で、みんなは「後悔させたい」って言ってくれたけど、その後悔をするんだったら辞めない。辞めたことに後悔はしてない。これからどんどんGANG PARADEが大きくなって、それこそ日本武道館でのライブを観に行きたい。チケット取って観に行きたい…………(涙を溢れさせながら)ずっと応援する。
--では、最後に、ファンのみんなにメッセージを。
シグサワアオ:人生の中で……私とみんなが一緒にいた時間は、本当にちょっとのあいだだったかもしれないけど、でもそのちょっとの時間を、1分でも1秒でも私の為に使ってくれて本当にありがとうございました。(号泣しながら)……みんなと会えたことを、本当におばあちゃんになっても絶対忘れないから。……でもみんなはオタクだから(笑)違う推し見つけてもいいし、リア充になってもいいし、結婚してもいいし、私のことは忘れていいから、しあわせになってほしい。私を「好きだ」って言ってくれた人みんなにしあわせになってほしい! ……出逢ってくれて、ありがとうございました。おわり!
取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada / 杉岡祐樹
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