2016/04/21
4月20日、東京・両国国技館にてアイアン・メイデンのジャパンツアー【THE BOOK OF SOULS WORLD TOUR 2016 in JAPAN】の初日公演が行われた。
約8年ぶりの来日、さらに新作を引っさげたツアーとだけあって、今回のツアー日程である20日・21日両公演ともに、チケットは当然ソールドアウトを記録。メイデンを求める飢えつくしたメタルヘッズを、究極に満足させる圧巻のショウで、ファンの心を鮮やかに奪っていった。今回はその初日公演の様子を、余すところなくお届けしたい。
開演時間の19時を迎えると、会場には往年の名曲「ドクター・ドクター」が流れ始める。バンドの登場を待ち構えるフロアからは、この時点で既に大合唱が沸き起こっていた。とてつもない高揚感が会場を埋め尽くしたころで、設置されたモニターには彼の操縦する飛行機「Ed Force One」が飛び立つアニメーションが映し出される。いよいよだ――心地良い緊張感が張り詰める中、いよいよブルース・ディッキンソンが姿を現すと、会場からは張り裂けんばかりの歓声が沸き起こった。舞台にかけられた幕が落ち、神殿のようなステージ・セットが露わとなる。メンバー6人が勢ぞろいし、フロアのボルテージが爆発的に急上昇すると、そのまま「イフ・エタニティ・シュッド・フェイル」へとなだれこむ。
8年という長い期間、この瞬間を待ち耐え忍んだオーディエンスは、ここぞとばかりにその欲求をステージへ向けて解放し、拳を突き上げ、歌い、叫び、そこに刻まれる歴史的な瞬間を味わい尽くしていた。しかしステージから発せられるエナジーは、オーディエンスが発するそれ以上のものであった。デイヴ・マーレイ、エイドリアン・スミス、ヤニック・ガーズの織り成すトリプルギターの生み出す壮観な旋律はそこにいる者全員の鼓膜と胸を大きく震わせていたし、スティーヴ・ハリスの紡ぐ精巧かつ強烈なベース音は、アイアン・メイデンを渇望するファンの欲望をすべて満たしてくれ、その土台を支えるニコ・マクブレインの、美しいまでに力強く正確なドラミングもまた、フロアの心を鷲掴みにする。
そしていつの時代もカリスマボーカリストとしての役割を担い、今もなお進化をし続けるブルース・ディッキンソンの圧倒的な存在感と歌唱力は、これまで彼が何度もそうしてきたように、オーディエンスの血を沸騰させ、最高値をゆうに振り切る興奮と熱気を演出していた。今回の来日では、兼ねてからブルースが公言していた「今回は長いこと待ってくれていた君たちのために、新旧織り交ぜた曲をやるつもりだよ!」という言葉どおり、「魂の書~ザ・ブック・オブ・ソウルズ~」や「スピード・オブ・ライト」といった新曲陣から、「The Trooper / 明日なき戦い」や「フィア・オブ・ザ・ダーク」、「Iron Maiden / 鋼鉄の処女」といった、もはやメタルの聖典と化している珠玉の名曲陣まで、幅広い年代の楽曲を網羅し骨の髄まで染み渡るかけがえのない光景を魅せつけた。
さらにはパイロやエディーの登場、バンドの世界観を模したシアトリカルなステージングなど、視覚へとアプローチするエンターテインメント性の高さも変わらず鮮烈であり、ステージから発せられる生々しいエナジーと相まって、徹頭徹尾魅惑のパフォーマンスを繰り広げた。
数々の記録を樹立し、音楽史を何度も塗り替え、デビューから30年以上経った現在もファンベースを拡大し続ける彼らだが、音楽の根幹にある楽しさを演出し続ける姿は、一貫してブレることはない。今回の公演においても、前回の来日からの長いブランクを感じさせることもなく、心と脳裏に焼き付くドラマティックなパフォーマンスを魅せつけ、ファンを異世界へと誘った。その日の国技館にはオーディエンスの笑顔と歓声、はちきれんばかりの拍手、そしてそれらによって生み出される多幸感だけが充満し尽くす、至極ピースフルな光景が広がっていた。
世界を巻き込んで再び新たな感動と興奮を生み出していくであろう彼らの動向に、今後も大きな期待と注目が集まる。
写真:TEPPEI
◎ツアー【IRON MAIDEN THE BOOK OF SOULS WORLD TOUR 2016】
04月20日(水)東京 両国国技館 ※終了
04月21日(木)東京 両国国技館
各日 OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:クリエイティブマン 03-3499-6669
協力:ワーナーミュージックジャパン
企画・制作・招聘:クリエイティブマン
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