2016/04/04
新国立劇場でマスネ作曲のオペラ『ウェルテル』が4月3日より開幕し、急遽代役で出演することとなったロシア出身のテノール歌手ディミトリー・コルチャックが日本オペラデビューを果たした。
本作は、ゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』を元に作られた叶わぬ愛の物語。主人公ウェルテルは、アルベールという婚約者がいるシャルロットを好きになってしまう。シャルロットがアルベールと結婚してもなお、アプローチを続けるウェルテル。シャルロットは2人の間で揺れ動くが、アルベールとの生活を選びウェルテルを拒絶する。そして、叶わぬ思いに苦しんだウェルテルは最後に自分で自分の命を絶ってしまうのだ。
指揮は、父・ミシェル・プラッソンの怪我により急遽、代役を務めることになったエマニュエル・プラッソン。ストーリーのドラマ性と甘美な旋律が魅力的な本作を見事にまとめあげた。そしてシャルロット役を演じたエレーナ・マクシモワは、新国立劇場初登場。ドラマティックな歌声で、第三幕の手紙のシーンでは揺れ動く心の機微を見事に歌いきった。そしてタイトル・ロールを務めたのはディミトリー・コルチャック。こちらも当初出演予定だったマルチェッロ・ジョルダーニの代理出演だったが、本作の山場とも言える「オシアンの歌」では愛の苦悩を切々と歌い上げ、多いに観客を沸かせた。マクシモワは2017年1月に新国立劇場の『カルメン』に、コルチャックは10月にマリインスキー・オペラの『エフゲニー・オネーギン』と共に再来日公演も決定しており、次はどんな舞台を見せてくれるのか楽しみだ。撮影:寺司正彦/提供:新国立劇場/文:高嶋直子
◎公演情報『ウェルテル』
会場:新国立劇場 オペラパレス
日時:4月3日(日)14:00
4月6日(水)14:00
4月9日(土)14:00
4月13日(水)18:30
4月16日(土)14:00
指揮:エマニュエル・プラッソン
演出:ニコラ・ジョエル
キャスト:
ウェルテル:ディミトリー・コルチャック
シャルロット:エレーナ・マクシモワ
アルベール:アドリアン・エレート
ソフィー:砂川涼子
大法官:久保田真澄
シュミット:村上公太
ジョアン:森口賢二
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