2016/01/04
12月31日に65歳で亡くなったナタリー・コールは、2008年にC型肝炎を患っていることを明かし、その翌年に腎臓移植手術を受けた。2010年に発表された彼女の自伝書『Love Brought Me Back: A Journey of Loss and Gain』では、その時の臨死体験も綴られている。彼女の死を受け、同書をコールと共に執筆したデイヴィッド・リッツが、死に対するナタリー・コールの考えを思い返し、米ビルボードに寄稿した。
偉大なジャズ・ピアニストでシンガーだった父ナット・キング・コールを、自身15歳の誕生日の9日後に45歳の若さで亡くしたほか、最初の夫Marvin Yancyを1985年に34歳で、兄弟のケリーを36歳で亡くすなど、数々の早い死に直面してきたもののネガティブさはなく、楽観主義や勇気と飽くなき好奇心のスピリットを持っていたというナタリー・コール。しかしながら、「これまでの人生で色々なことがあったけれど、父の死が今でも一番辛い」と語っていたそうだ。
ナット・キング・コールの初めてのスペイン語アルバム『Cole Espanol』(1958年)に収録され、『Natalie Cole En Espanol』では父娘デュエットとして取り上げた「Acercate Mas」に触れてこう語っていた。
「私は一人の10代の少女として父を敬愛していました。そんな父の死でボロボロになり、何年もの間、父の思い出から逃げ、父の音楽さえ遠ざけていました。はからずも音楽の世界に入ったとき、リズム・アンド・ブルースの歌い方を学ぶことに興奮しました。ソウルを歌うのはとても楽しかったけれど、深い安らぎと大きな満足感を得られたのは、思い切って父に関係のある歌を歌ってからのことでした。“Acercate Mas”は近づくという意味です。父を失っていてもお互いがより近づいたことで、心からの安らぎになり、私たちは死を深刻に考え過ぎているのではないかと思うようになりました。魂は死なないのです。音楽も死にません。そして魂を音楽と結び付ける愛に死は無縁です。その魂、音楽、愛は永遠なのです」
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