2015/10/25
田中れいな率いる本格派ガールズバンド LoVendoЯ。10月22日 全国ツアー【LoVendoЯ LIVE TOUR 2015 MAJOЯ!】最終公演を恵比寿LIQUIDROOMにて開催し、サプライズでモーニング娘。時代の盟友・高橋愛も登場した。
<高橋愛と田中れいな、モーニング娘。新時代に繋いだタスキの物語>
田中れいなと高橋愛は、ファンの間で「モーニング娘。プラチナ期」と称されている時代のメンバー。当時のれいなにとって高橋愛はモーニング娘。のリーダーであり、先輩であり、共にリードボーカルを務めるライバルでもあった。当時の彼女たちはそれまでのイメージと違う「格好良いモーニング娘。」を目指し、パフォーマンスレベルをメキメキと上昇させ、そんな今のモーニング娘。を知ってほしいと奔走。しかし本格的な再ブレイクを果たす前に、プラチナ期のメンバーは次々と卒業することになり、いよいよリーダーの高橋愛も2011年に卒業。
高橋が「これまでの“格好良くなきゃいけない”っていうよりも“元気”みたいな。だから前と今のモーニング娘。では全く違うグループになってると思うんですね」と当時語っていた通り、モーニング娘。は彼女の卒業、そして若い新メンバーたちの加入に合わせて一度は路線を変更する。が、これに対して田中れいなは「格好良いモーニング娘。に戻してほしい」という意思を露わにし、結果、その直後の新垣里沙卒業シングル『恋愛ハンター』よりモーニング娘。はプラチナ期以上に「格好良いモーニング娘。」の色を濃くしていくことになる。
そして2013年1月、ハイレベルなフォーメーションダンスとEDM要素の強いナンバーを連発していた彼女たちは、3年8か月ぶりとなるオリコン週間ランキング1位を獲得。その後の田中れいな卒業シングル『ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない』でも1位を獲得し、先輩たちのタスキをしっかりと握り締めた若手メンバーたち、そしてれいなと同期である当時のリーダー道重さゆみの尽力あって、モーニング娘。はオリコン5作連続1位獲得というグループ史上最高記録を樹立するに至った。
<高橋愛、LoVendoЯ絶賛「田中れいなwithじゃなかった」「嫉妬した」>
高橋愛リーダー時代のモーニング娘。の想い、それを田中れいなが道重さゆみリーダー時代のモーニング娘。へと繋ぎ、現在のハロー!プロジェクト全体の“格好良いアイドル”像が完成した。と断言するとまたいろんな意見が飛んできそうだが、高橋愛と田中れいなのタスキリレーなしに今のモーニング娘。やハロー!プロジェクトは語れないし、そういった意味でも2人はあの時代のモーニング娘。のツートップであった。
そんな2人が久々にステージ上で共演。LoVendoЯのライブを観に来ていた高橋愛をれいながアンコールで招き入れ、ファンの前でトークを繰り広げた。高橋愛は登場するなり興奮気味に「ライブ観させて頂いたんですけど……めっちゃ格好良い! すっげぇ感動したの! モーニング娘。時代のれいなって本当にこうじゃなかったの! 引っ張ってる姿がさ、マジで格好良くて! れいな、すごく大人になったじゃん!」と絶賛し、これにれいなが思わず「泣きそう」と口にする場面も。
また、れいなの今のメンバーである岡田万里奈(vo)、魚住有希(g)、宮澤茉凜(g)のことも絶賛。「みんな、成長したね~! れいなの成長も感じたけど、3人の成長も凄かった! れいなが言ってたように「田中れいなwith」じゃなかったの、今日。それぞれの個性も豊かじゃん? それぞれがそれぞれで全く一緒じゃないし、それが観ててすごく嬉しかった。お母さんみたいな感じ」
これにれいなが「愛ちゃん、お母さんみたいな感じやもんね。」と同調すると、「お母さんって言うけど、現役のとき(れいなが私を)一番おばさん扱いしたから(笑)! 「愛ちゃんはおばちゃんだから」みたいな。田中れいなちゃんとか道重さゆみちゃんとか、そこらへんにはよく言われてた!」「ごめん」「全然大丈夫だよ(笑)」「れいな、今、愛ちゃんがね、いっぱい感想言ってくれて……なんか……」「何?」「……(背が)ちっちゃいなと思って」「(笑)」といった漫談のようなクロストークも繰り広げ、そのノリは岡田万里奈にも飛び火。
高橋愛「(モーニング娘。時代は)よく一緒に歌ってたじゃん。(LoVendoЯで一緒に立ってる岡田万里奈に)ちょっと嫉妬した。」田中れいな「じゃあ、れいな、愛ちゃんと組もう!」岡田万里奈「なんででですか?」高橋愛「バンドのメンバーもすごく格好良いし!」岡田万里奈「いやいやいや、残る。残りますよ、私」一同「(笑)」高橋愛「2人のハーモニーが本当に合ってて、すごく聴いてて心地良かったよ」
<LoVendoЯを諦めなかった田中れいなと、その想いに必死に応えたメンバー>
高橋愛が絶賛していた通り、この日のLoVendoЯは分かりやすく成長を遂げていた。アイドルだった女の子がバンドを組むということに対し、世間はネガティブなイメージを持ちやすく、そのうえ結成するまで赤の他人だったメンバーによるバンドのライブが一体感を生みづらいのは当然で、当初のLoVendoЯを絶賛する者は少なかった。れいなの性格を考えればそこにストレスを感じない訳もなく、実際に彼女はインタビュー等で戸惑いを口にしていたし、LoVendoЯに明るい未来を見出すのは困難だっただろう。しかし彼女は諦めなかった。この日のMCでも言っていたが、あまりにも経験値の少ないメンバーの成長を根気よく待った。ツインボーカルのバランス、ステージパフォーマンスにおける心得、それぞれに個性/キャラクターを出す事の必要性、それこそ「田中れいなwith」のイメージからどう脱却するか等、メンバーに伝え続けた。
そのこと自体が「モーニング娘。時代のれいなって本当にこうじゃなかったの! 引っ張ってる姿がさ、マジで格好良くて!」であり、そんなれいなの姿勢に必死に応えようとした岡田万里奈、魚住有希、宮澤茉凜の生き様が高橋愛の絶賛、そしてこの日会場に詰め掛けたオーディエンスの熱量、とにかく楽しそうにはしゃぐ姿へと繋がった。
<LoVendoЯの4人が、真の意味でのメジャーデビューを飾った日>
かのモーニング娘。プラチナ期メンバーにおいてエース級の輝きを放ち、今もなお進化し続け、この日も工藤静香の名曲「ブルーベルベット」を完全に自分のモノへと昇華したり、作詞に挑戦した「乙女の諸事情」「YELL~あなたに贈る~」を初披露し、新たな才能の開花を感じさせたり、凄まじい存在感を放ち続けていた田中れいな。
その田中れいなの隣で「Sweet Memories(松田聖子カバー)」をデュエットしたり、名曲「アンダルシアに憧れて(近藤真彦カバー/岡田ソロ)」に新たな息吹を吹き込んだり、抜群のラーニングスキルを誇るれいなにもマネできない芯のあるハスキーかつセクシーな歌声で、その実力で、LoVendoЯのもうひとつの顔になってみせた岡田万里奈。
本格派ハードロック/ヘヴィメタルバンドのギタリストのような超絶テクニックと、時として2人のボーカル以上に泣かせる歌をギターで響かせてみせるエモーション、さらにはアンジュルムのシングル曲まで任せられるようになった作曲センス。ガールズバンドシーンにおいて凄まじい存在感を放つミュージシャンへと登り詰めた魚住有希。
その魚住有希とのツインギターでサウンド面では縁の下の力持ちを担いながら、高橋愛にも「黙ってれば超可愛いじゃん!」とツッコまれるほどのビジュアルも持ちながら、「内に秘めてた闇がバーストアウトしました」「闇の名前は、デスアビス・ ナイトメア・ブラッディフィールド=カオスエンド4世」と、魔界の住人になった宮澤茉凜。
LoVendoЯがデビューしたとき、ここまで強烈なキャラクターの集団になると誰が想像しただろうか。そんな4人がバンドとして、パフォーマーとして、エンターテイナーとして覚醒したのだ。今のLoVendoЯが面白くない訳がなかった。岡田万里奈も涙ながらに「今日のことは忘れません……」と語っていたが、この日のライブはLoVendoЯがようやくこの広大な音楽シーンで戦えるバンドとなった、言うならば真の意味でのメジャーデビューを飾った瞬間。そのメモリアルデイをかつてのれいなの戦友であり、リーダーであった高橋愛が見届けに来たのだ。何とも粋なドラマじゃないか。
<「もっともっと上に行けたらいいな」って、やっと思えてきたと>
以下、田中れいなによる宣言。
「モーニング娘。時代のれいなを観たら、なんかね、自分じゃないみたいというか、涙が出そうになると。「よく頑張りような、この娘」と思って! 「行くよー!」みたいな感じなの! 裏行ったら(うなだれてる感じを体現)みたいな感じのときもあるんよ。もちろん楽しかったよ。楽しかったし、今、卒業してモーニング娘。が楽しかったのは分かるけど……なんかこう、伝わって! 自分のわが子のようなの、モーニング娘。のれいなは。「頑張ってきたね!」って。それをママに言ったらね、「多分、何年後かも、今のれいなを観てそう思うと思うから、頑張り」って。
最近はダンスも多くなってきたし、歌いながら踊るって今回のツアーが一番多くて、でもその中でパフォーマンスもちゃんとしたいし、歌もちゃんと届けなイカンやろ。それって難しいなっていう、またね、壁がまた出てきたんですよ。もしかしたらみんなは「ちゃんと声届いとるよ」とか「れいな、楽しそうでいいよ」とか思ってくれてるかもしれんけど、今のれいなはまだまだダメで。「もっともっと上に行けたらいいな」って、やっと思えてきたと。このツアーで。今までもマジメにやっとったけど、今回のツアーですごい思ったっちゃ!
頑張りよったら見てくれる人がおるけん、お客さんも増えてくれるかもしれんし。だけん、今回も恵比寿LIQUIDROOMで出来たわけやん? 久々にこんな広いところでやれて凄い幸せやもん。だから広いところが好きなのよ。見渡したいし、上から見たいわけ、みんなのこと(笑)。上から目線で見たいわけよ! だからすごく幸せだったやけん、終わりたくないっちゃけど、そんなれいなの気持ちが伝わったらいいなと思って1曲1曲歌ってきたんで、届いとったらいいなって思いますけど、いかがですか?」
その答えはもちろん大歓声だったが、このレスポンスのボリュームがもっともっと大きく響き渡る場所へと、上へ上へと駆け上がっていくLoVendoЯの物語。かつてれいなが高橋愛らと紡いできた物語に負けない、熱く面白く愛おしい内容にしてくれることを大いに期待したい。
取材&テキスト:平賀哲雄
◎ライブ【LoVendoЯ LIVE TOUR 2015 MAJOЯ!】
10月22日(木)恵比寿LIQUIDROOM セットリスト:
00.INST
01.いいんじゃない?
02.渚のシチュエーション
03.この世に真実の愛が一つだけあるなら
04.For the Future
05.イクジナシ
06.不器用(アコースティックVer.)
07.Sweet Memories(松田聖子カバー/アコースティックVer.)
08.むせび泣く
09.相思相愛(田中ソロ)
10.ブルーベルベット(工藤静香カバー/田中ソロ)
11.洗脳(岡田ソロ)
12.アンダルシアに憧れて(近藤真彦カバー/岡田ソロ)
13.激おこな出来事
14.乙女の諸事情
15.ホントノキモチ
16.Stonez!!
17.普通の私 ガンバレ!
En1.カレーライス
En2.YELL~あなたに贈る~
En3人生マニアック
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