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2015/10/16

Album Review: 喜怒哀楽様々な感情が生み出すエリー・ゴールディングの革命的新作『デリリアム』

 今年最大のブレイク・アーティスト、ザ・ウィークエンド同様、映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のサントラ盤から「ラヴ・ミー・ライク・ユー・ドゥ」を大ヒットさせた、エリー・ゴールディング。初のTOP10入りにして、2位をマークした「ライツ」(2011年)や、UKチャートでNo.1を獲得した「バーン」(2013年)など、これまでのヒット曲でみるエレクトロなサウンドから一転、スタンダードなバラードが美しいナンバーで、エリー最大のヒット曲になったのも、記憶に新しい。

 その「ラヴ・ミー・ライク・ユー・ドゥ」含む、彼女の3rdアルバム『デリリアム』が、11月6日世界同時発売される。先日、そのジャケット・アートが公開されたばかりで、素肌にファーを纏い、目を瞑って“音を耽る”かの表情をみせるエリーが、美しい仕上がりとなった。また、「ラヴ・ミー~」に続いてリリースされた、アルバムからの先行シングル「オン・マイ・マインド」のビデオも公開され、すでに3000万視聴回数を記録、アメリカでは22位にデビューを果たし、UKチャートでは5位、オーストラリアではTOP3入りを果たしている。

 「オン・マイ・マインド」は、「ラヴ・ミー・ライク・ユー・ドゥ」に続いて、現代のミュージック・シーンを網羅するヒットメイカー、マックス・マーティンが手掛けたナンバーで、これまでのエリーの楽曲を拭払するようなトラップ・ミュージックで、カウガールになったり、銃を振りまわすシーンが印象的なビデオに、いよいよトップスターの仲間入りをしたな、という印象を受けた。さらに、10月9日には、アルバムから「サムシング・イン・ザ・ウェイ・ユー・ムーヴ」が解禁され、トラックに合わせてファンがダンスするリリック・ビデオが公開、1週間で1000万回視聴回数を更新した。

 「サムシング~」のような、かつてのエリー・サウンドもありつつ、「オン・マイ・マインド」でみる新境地の開拓、そして「ラヴ・ミー・ライク・ユー・ドゥ」で聴かせた、透明感のあるヴォーカルを、最大に活かしたメロウも組み込まれているアルバム『デリリアム』。エリー自身、「ハッピーだったりクレイジーな気分だったり、全く逆の状態だったり…アルバムリリースまでに感じた、私の状態を表した言葉」と語るように“デリリウム=狂喜”を、周波数のように音で表したアルバムに仕上がってる。

 アルバムの制作には、全曲エリー自身も参加、シングル・ヒットに貢献したマックス・マーティンや、トータル・プロデュースを務めるカリフォルニア出身のソングライター、グレッグ・カースティン、ワンリパブリックのフロントマン、ライアン・テダーに、グウェン・ステファニーやテイラー・スウィフトなどを手掛ける、ノエル・ザンカネラも参加している。デュエット・ゲストはクレジットされておらず、全曲エリー単体で勝負する姿勢に、アルバムへの意気込みを感じる。

 「私の立場からすると、すごくポップなアルバムを作るという実験ね、このアルバムは」と語るように、これまでのアルバムとは、リリックもトラックも、違うレベルにいくための意識的改革を起こした作品といえるだろう。すでにリリースされた3曲を含め、本作のクオリティの高さは間違いないが、喜びだけではない、哀しみから生まれた結晶も、じっくり聴きこんでいただきたい。

Text: 本家 一成

◎「On My Mind」MV
https://youtu.be/H202k7KfZL0

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