2015/10/01 19:00
昨年、世界中に「ハッピー」フィーバーを巻き起こしたファレル・ウィリアムスを筆頭に、マーク・ロンソンの「アップタウン・ファンク」や、ウィズ・カリファの「シー・ユー・アゲイン」で一躍注目を浴びたチャーリー・プースなど、生音重視のサウンドを起用するアーティストが、ヒットチャートを網羅する、昨今のミュージック・シーン。70年代風ファンクや、90年代のヒップ・ホップ感覚など、ホーンやブラス・セクションをうならす現代版ブラック・ミュージックの流行は、彼ら、マックルモア&ライアン・ルイスからはじまったといっても、過言ではないかもしれない。
2013年、突如現れるや「スリフト・ショップ」が米ビルボード・シングル・チャート6週No.1をマークし、同年の年間チャート首位にランクインする大ヒットを記録。続く「キャント・ホールド・アス」も2曲連続で首位を獲得し、デビュー・アルバム『ザ・ハイスト』は200万枚を突破した。当時、まだEDMサウンドがチャートを荒らす最中でのこの曲の登場は、衝撃的だったというか、時代の移り変わりを感じたものだ。一気に飛躍した2013年から、昨年は彼らの活躍がみられないまま幕を閉じたが、この夏リリースした新曲「ダウンタウン」が、今チャートを急上昇している。
リリース日は告知されていないが、おそらく2ndアルバムからの先行シングルとしてリリースされた「ダウンタウン」。8月末にリリースされてから、セールス、エアプレイ共に好調で、同時に公開されたビデオは、3000万回近い再生回数を記録している。エリック・ナリー、メリー・メル、クール・モー・ディー、グランドマスター・カズと多数のゲストを招き、70年代と90年代のサウンドを行き来するような、生音重視の新感覚のヒップホップ・サウンドに仕上がっていて、黒く深い。
グラフィティやアフロヘア、旧型のスクーターなどが登場する、ウエストサイド・ストーリー風のビデオは、“ダウンタウン”をテーマにした古き良きアメリカのストリートが描かれていて、サウンドとの一体感は、聴いても観ても、楽しませてくれる。やや、「アップタウン・ファンク」を意識し過ぎた感は否めないが、それが二番煎じというわけでなく、彼ら独特の世界観を見事に表現できているから、茶々を入れるつもりはない。
この「ダウンタウン」のクオリティの高さからも、マックルモア&ライアン・ルイスの2ndアルバムへの期待は、さらに高まる。おそらく、喧噪渦巻くタフなストリート感覚が楽しめるアルバムに仕上がることは予見できるが、「ダウンタウン」がサウンドのみならず、「アップタウン・ファンク」に続くモンスター・ヒットに至ることを、まずは期待したい。
Text: 本家 一成
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