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2015/09/28

Album Review: デミ・ロヴァート アーテイストとしての成長を物語る2年半ぶりの新作『コンフィデント』

 パワフルなヴォーカルとキャッチ―なポップサウンド、典型的美少女タイプのビジュアルが、ポスト・ケイティ・ペリーとの声も名高い、デミ・ロヴァート。TV番組の出演をキッカケに、ディズニー・チャンネルのヒロイン役に抜擢されたことで、大ブレイク。その勢いに乗せてリリースされた、デビュー曲「ディス・イズ・ミー」(2008年)が、すぐさまTOP10入り(最高位9位)するという、女優業・歌手業共に、順風満帆な船出となった、デミ。

 その後、「スカイスクレーパー」や「ハート・アタック」といったTOP10ヒットを生み出し、日本でも大ブームを巻き起こした映画、『アナと雪の女王』のテーマソング「レット・イット・ゴー」のエンドロール版を担当するなど、ヒット曲にも恵まれてきたが、23歳をむかえた今、女性として、シンガーとして、転機とすべく方向性をガラリと変えて挑んだのが、本作『コンフィデント』 だ。

 2013年末からスタートした本作のレコーディングにあたり、「このアルバムに集中する」と断言し、“アーティストとしての自分”を確立するためのアルバムだと言い放った。そしてこの夏リリースされた、アルバムからの先行シングル「クール・フォー・ザ・サマー」は、いままでのデミ・ロヴァートがまったく想像つかないような、アーティスト路線の仕上がりになっている。

 テイラー・スウィフトやザ・ウィークエンドなど、チャートの上位にランクインするヒット曲は、この人なくしてというほど、目覚ましい活躍をみせるトラックメイカー、マックス・マーティンが手掛けたナンバーで、ネオンライトと近未来的サウンドが、タイトルをそのまま表現したようなダンスチューン。タイムや米ビルボード誌、MTVなど音楽メディアからも絶賛され、デミが企んだ新機軸は、大成功だったといえる。

 徐々に大人の女性としての意識が目覚めてきたこともあり、艶っぽさを滲ませる美しさも見逃せないところで、「クール・フォー・ザ・サマー」でお披露目した、セクシーなおみ足を、本作『コンフィデント』のアートでも起用。ジャケット写真だけでも、“これまでとは明らかに路線が違う”ことが明確で、アルバム・トラックも当然に、新時代を築いたかの名曲が並んでいる。

 マックス・マーティンを中心に、アリアナ・グランデの「プロブレム」を手掛けたイリヤ、ブリトリー・スピアーズのヒット曲を数多く生み出したニコール・モリエ、リアーナやクリスティーナ・アギレラなどの隠れた名曲にクレジットされている、リブビ・フランシーなど、次世代を担う若手ライターを多数起用。デミ自身も制作に参加し、ゲストには昨年大ブレイクしたイギー・アゼリアやサイラなど、女性ラッパーを起用している。フェミニンがコンセプトの本作には、ピッタリの人選だ。

 これまでのデミ・ロヴァートを期待していると、ちょっと路線が違うアルバムといえるが、それはアーティストとしての成長を物語るものであって、“女優業と並行してちょっと音楽やってます”という姿勢じゃないということを、証明したアルバムといえる。メディアに見初められたシンデレラガールではなく、“シンガーとしてこれだけ実力があるのよ”とアプローチした本作『コンフィデント』。一気に大化けするかもしれない。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
『コンフィデント』
デミ・ロヴァート
2015/10/16 RELEASE

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