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2015/08/31

浜崎あゆみ【a-nation】小室哲哉&AAA浦田と担ったシーンの大役 Acid Black Cherryはファンとアウェー戦制す

 8月29日と30日 今年も味の素スタジアムにて【a-nation stadium fes.】東京公演が開催され、30日の公演では浜崎あゆみ、TRF、EXO、AAA、Acid Black Cherry、E-girls等の面々がそれぞれに個性際立つアクトを繰り広げた。

<E-girls 勢い感じさせるアクト「うれしい!たのしい!大好き!」カバーも>

 前日以上に雨に見舞われたこの日の【a-nation】は、Cheeky Parade&GEM、小林豊、安良波 明里、lol(エルオーエル)のオープニングアクトを経て、本編のトップバッターは飛ぶ鳥を落とす勢いのE-girlsが担当。事前に一番手とアナウンスされていたこともあり、一気に駆けつけた満員のオーディエンスが見守る中、彼女たちは2台のフロートに乗って登場する。セットリストには「Follow Me」「ごめんなさいのKissing You」等の代表曲、Happiness、Flower、Dreamの各ユニット曲、Amiのソロデビュー曲「ドレスを脱いだシンデレラ」まで用意されており、E-girlsの魅力を隙間なく伝えていく。さらにはDREAMS COME TRUE「うれしい!たのしい!大好き!」のカバーまで元気よく披露し、【a-nation】千秋楽のはじまりを大盛況に収めてみせた。

<Acid Black Cherry「チームABC! お前らの出番だぜ! 度肝抜いてやろうぜ!」>

 そんなガールズグループの勢いに負けじと、続くソナーポケットやDa-iCEといった人気ボーイズユニットも大歓声を浴びるほどのアクトを繰り広げ、今や【a-nation】における最強のアウェーマスターで知られるAcid Black Cherryは、「チームABC! チームABC! お前らの出番だぜ! 度肝抜いてやろうぜ!」と煽り、客席各所にABCファンの全力ヘドバンを同時多発させてみせる。それを驚愕の表情で見つめる他の観客。ファンも含むチームABCとして一緒にアウェー戦に乗り込んでる姿勢は実に美しく、かつては日中の野外に似合わないと自ら揶揄していたAcid Black Cherryだが、今では【a-nation】に欠かせない存在になっていると感じさせた。これからも大いに同公演を荒らし続けてほしい。

<AAA 雨が降りしきるスタジアムで「恋音と雨空」熱唱、涙誘う>

 また、Cheeky Parade、GEMといった後輩たちが「来年は本編で!」と思わせるしゃかりきなオープニングアクトを務めていた中、iDOL Streetから唯一本編出演だったSUPER☆GiRLSは、浜崎あゆみ、AAA、EXOと一組ずつ共演者のファンを煽りながら、ザッツアイドルなラブリードタバタライブを展開。そして10周年を迎え、今や【a-nation】のひとつの顔となっているAAAは、夕暮れ、雨が降りしきるスタジアムで「恋音と雨空」「さよならの前に」を立て続けに切なく熱唱。ちゃんと泣ける名バラードを持っているアーティストはこういうシチュエーションのときに強い。AAAファンであれば感涙必至のアクトを繰り広げつつ、最後は雨を吹き飛ばしてくれそうなパーティーチューン「ハリケーン・リリ、ボストン・マリ」等で各メンバー広大なステージを駆け回り、会場を大いに沸かした。

<EXO 樹木をイメージさせるオブジェに/TRFはウチワ折るほどの熱狂創造>

 続くEXOは前日のSUPER JUNIORに迫る勢いの歓声を集めながら、メンバー全員で樹木をイメージさせるオブジェと化し、その芸術性の高いフォーメーションから吹き上がる炎と共に高熱量のパフォーマンスを展開。ストーリー性のあるソロダンス、廃墟の映像演出も駆使しつつ、観客に配られた“光るウチワ”の青い光を眺めて「今、本当にワクワクしています。みんな、最高にキレイです!」と自らも興奮しながら、終始オーディエンスをひとつひとつのパフォーマンスと表情で鼓舞し続けた。そして【a-nation】においてあらゆるアーティストのファンをひとつに出来るライブマスター TRFは「BOY MEETS GIRL」「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」「CRAZY GONNA CRAZY」「EZ DO DANCE」「survival dAnce ~no no cry more~」など、今年も青春リバイバルが過ぎる最強セットリストで、YUKI自身もその手に持っていたウチワを折るほどの、熱狂のレイヴパーティーを繰り広げた。

<シーンの第一線で気高く戦い続けてきた彼女だからこそ担える大役>

 そして短い夏の終わりを告げる【a-nation stadium fes.】最後のステージは、同公演における女王の座に君臨し続ける浜崎あゆみ。鎖に縛られていたダンサーが、巨大なフラッグで隠された一瞬の間に浜崎あゆみへ入れ替わるイリュージョンに始まり、ツアーでも披露していた宇多田ヒカル「Movin' on without you」カバー、そして小室哲哉とAAA浦田直也をステージに招き入れてglobe「DEPARTURES」までカバーと、のっけから度肝を抜く展開で自身のファンのみならずスタジアム中が共に歌わずにはいられない、全方位型のスペシャルアクトを繰り広げていく。

 また、globe「DEPARTURES」カバーについてもう少し言及するなら、この曲の本来の歌い手であるKEIKOはくも膜下出血からのリハビリ中の為にステージに立てない。しかしglobeは現在20周年プロジェクトを敢行中であり、その最中、しかも今夏最大の大舞台で、今から約14年前に「a song is born」でKEIKOのデュエット相手となった浜崎あゆみが「DEPARTURES」を歌唱するというのは、かつてライバル関係としてメディアで取り沙汰された宇多田ヒカルの楽曲をカバーするのと同様、実に感慨深い。J-POPシーンの第一線で気高く戦い続けてきた彼女だからこそ担える大役である。

 さらに印象的だったのは、この日は「DEPARTURES」からの流れでTKピアノソロタイムが用意されていた。小室哲哉がTM NETWORKやglobeなど自身のライブでソロコーナーを設けるのはよくあることだが、客演として、globeの名曲たち(「FACE」~「Feel Like dance」)をピアノ一本で、しかもあの浜崎あゆみのアクトの中でプレイするなど前代未聞であり、そこには2人の信頼関係はもちろん、浜崎あゆみから小室哲哉への敬意、もっと言えばJ-POP全体への敬意すら感じ取ることができた。

 そして、そのJ-POPの大名曲たちと自身の大名曲を並べて披露する姿勢がまた良かった。夏のアッパーチューンをフロートで会場一周しながら披露するのは恒例だが、この日の彼女は代表曲中の代表曲「SEASONS」も惜しみなく披露。さらには同曲に劣らず涙を誘うバラードナンバー「HANABI」まで畳み掛け、それを今にも泣き崩れそうなエモーションでもって歌い上げてみせた。

 先の「Movin' on without you」「DEPARTURES」、そして終盤に再び小室哲哉&AAA浦田と披露した「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント」に劣らぬ名曲を生み出し、歌い続けてきた者だからこそ、今回のセットリストは成立する。ただのカバーの多かったライブではなく、浜崎あゆみによるJ-POP総力戦。日本中の人々が愛し、共に歌い、夢中になってきたJ-POPの魅力をその時代のポップアイコンである彼女がベストな場所、形、状況で知らしめていく姿は、とてもエキサイティングで意味深く受け止めることができた。

 「2015年a-nation、最後の曲になります!」と、この日最後に「July 1st」を歌い届けてくれた浜崎あゆみ。短い夏はこれで終わりを告げてしまったが、浜崎あゆみの熱い戦い、今回のようなシーンやリスナーを賑わすチャレンジ、そして大衆を音楽に振り返らせるアプローチはいつまでも続けてもらいたい。そして来年の夏もまたこの場所で僕らを熱狂させてほしい。

取材&テキスト:平賀哲雄

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