2015/08/21
時代は常に新しいスターを求め続ける。2000年代は、ブリトニー・スピアーズにはじまり、ヒラリー・ダフ、テイラー・スウィフトやマイリ―・サイラス…挙げ続ければ、キリがないほど。しかし、2010年以降の女性ソロ・シンガーの活躍は、これまでと比較しても特に、目覚ましいといえる。
たとえば、今夏のチャート上に登場したアーティストをみても、テイラーを筆頭に、ラナ・デル・レイ、デミ・ロヴァートにエリー・ゴールディングと、TOP10入りしたアーティストだけでも、これだけの主要なメンツが揃っている。
その中でも、独特の個性を放ち、究極のフェミニンスタイルで聴き手を魅了するのが、セレーナ・ゴメス。美貌/実力ともに兼ね揃えたディズニー・チャンネルの出世頭で、まさにティーンのカリスマ的存在を、創り上げたのではなく、地でいってる感じがグっとくる。テイラー・スウィフトにはないエキゾチックで神秘的な風貌、エリー・ゴールディングほどの歌唱力はなくとも、場の空気を一瞬でセレーナ色に染め上げる悩まし気なヴォーカル、ラナ・デル・レイとはまた違った、ブラック・ミュージックサイドの最新トラック…誰もが引き込まれるのは、その個性だ。
2015年初のシングルとなる「グッド・フォー・ユー feat. エイサップ・ロッキー」は、そういった要素がふんだんに取り込まれた、セレーナの良いところだけを集約したような出来栄え。昨年末から今年初頭にかけて大ヒットした、「ザ・ハート・ウォント・イット・ウォンツ」にも通ずるスロウジャムも、さらに色気が増して、ゆらめくようなグルーヴに乗せたセレーナの声が、PVで魅せる“白シャツ一枚”で物憂げな視線をまき散らす、そのシチュエーションとマッチしているナンバー。
「ただあなたに美しく見せたいだけなの」というメッセージは、誰に向けてのものなのか。今年も世間を賑わせている、エックスボーイフレンドこと、ジャスティン・ビーバーであるのかと…当然のように、SNS上で議論が巻き起こったわけだが、セレーナ自身はジャスティンに対して、さほど感心を寄せていないようにも思えるし…一方のジャスティンは、ゴシップ誌のレギュラーともいえるヤンチャっぷりも、彼女の視線を集めたいだけ…という、男子特有のアレではないかと思わせる一面もチラホラで、両者の温度差がうかがえる。
膝まで伸びた“彼シャツ”を着て、挑発的にラッパーのエイサップ・ロッキーをゲストにむかえたのは、「あなたに未練はまったくないわ」という、メッセージにもとれるような…まあ、こうして、何とでも聴き手のイマジネーションを喚起するのも、セレーナの戦略、魅力のひとつなのかもしれない。ゴシップひとつにしても、楽曲へのプロモーションにつなげる。ジャスティンにしても、両者、ア―ティストとしては着実にトップ・アーティストに駆け上がっているわけだし、互いに芸の肥しにはどんどん、していただきたいものだ。
そんな、2人の今後の展開も気になるところだが、この「グッド・フォー・ユー feat. エイサップ・ロッキー」が収録されるセレーナの2ndアルバム『リバイバル』は、10月9日にリリースするとセレーナ自身が直筆で発表した。アルバムからの2ndシングル「セイム・オールド・ラヴ」も、間もなくリリースが予定されている。
Text: 本家 一成
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