2015/08/05
元BiSマネージャーの渡辺淳之介が「BiSをもう一度始める」と始動させた新生クソアイドルグループ BiSH。8月1日 お台場・青海周辺エリア一帯で開催されたアイドルフェス【TOKYO IDOL FESTIVAL 2015】に出演し、想定外のアクトで観客の度肝を抜いた。
<「2015年夏、お台場では、BiSHしか……始まりませーん!」>
すでにアイドル界隈で大きな話題になっている通り、BiSHは同フェス2日目の出演をキャンセルする事態となってしまったのだが、1日目に繰り広げたアクトはいずれもアイドルシーンから失われたパンクスを蘇らせ、そして背負っていく使命感すら感じさせる衝撃的な内容だった。
元BiSプールイ率いる【TOKYO IDOL FESTIVAL 2015】限定ユニット プールイパラレルJAPANの「nerve」解禁の熱狂も冷めやらぬウエストプロムナード広場(SMILE GARDEN)に登場したBiSH。キャプテンのチッチが「2015年夏、お台場では、BiSHしか……始まりませーん!」と声高らかに宣言し、せーので「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と4人揃ってキュートな咆哮を轟かせると、野外ステージだろうがお構いなしの爆音で「BiSH -星が瞬く夜に-」を1曲目に披露。一斉にオーディエンスは最前へと押し寄せ、エリア一体は大狂乱と化す。そんな状況下でメンバー4人はただひたすらに真っ直ぐな歌を叩き付け、ここにいる欲しがりな誰もが待ち望んでいた2曲目「BiSH -星が瞬く夜に-」、そしてギンギン好奇心の目でステージを見つめるみんなの為に用意された3曲目「BiSH -星が瞬く夜に-」と、いずれもBiSHにとって思い入れの深い楽曲たちを畳み掛けていったのだが、気付けばとんでもない数のアイドルヲタたちがSMILE GARDENを埋め尽くしていた。
<「清掃員だって上品なことが出来るんだって証明してやりましょう」>
そして【TOKYO IDOL FESTIVAL 2015】での事実上最後のアクトになってしまった、湾岸スタジオ(ENJOY STADIUM)でのステージには、同会場のトリということもあって入場規制がかかるほどの観客が集結。そしてチッチが「クソアイドルなりの上品な、上品な、上品なBiSHをお見せします! それでは、聴いてください、「スパーク」」と曲紹介をするのだが、一切音は流れず。なんとメンバー4人は完全なるアカペラで、でもそこにオケは流れている体(てい)で歌い踊るという不可思議なライブをスタートさせる。当然ざわつく客席だったが、その生歌だけで勝負する勇敢な4人に対し、清掃員(BiSHファンの総称)は口で楽器を奏で、その手でリズムを刻み、その光景は時に滑稽で笑い声も響いていたが、次第に感動的な空気で会場は埋め尽くされていく。
そして2曲目「BiSH -星が瞬く夜に-」も全く同じ形で披露。それでも観客は十分に熱狂していたのだが、ハグ・ミィが「いいですか、皆さん。今日は上品な清掃員を見てもらいたくて、清掃員だって上品なことが出来るんだってここで証明してやりましょう。いいですか……「BiSH -星が瞬く夜に-」!」と言い放った途端、3曲目にしてやっと爆音が鳴り響き、焦らすに焦らされていた清掃員を始めとするオーディエンスは、鎖を外された猛獣のように自由にはしゃぎ回る。
<「リストバンドは保管しておいていただけますでしょうか」>
何故にBiSHは上品なアカペラライブを繰り広げたのか。そして同じ事務所のPOPと共に2日目の出演をキャンセルする事態になったのか。それは各々に想像してもらいたいが、このアティチュードはBiSHのシーンにおける立ち位置を決定付けるものになったと言え、より世間の感心を集める結果にもなった。「僕たちにできることは少ししかありませんが、BiSHを楽しみにしてくれていた方でTIFのチケットを買われていた方はどうか、本日のTIFをルールを守って全力で楽しみつつ、そして、リストバンドは保管しておいていただけますでしょうか? よろしくお願いいたします」(BiSHオフィシャルツイッターアカウントより)
アイドルムーヴメントの象徴とも言えるイベントと袂を分かち、BiSHはどこへ進んで行くのか。もう物語は「BiSの踏み絵」では片付けられない次元へ突入している。
取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada、内山直也
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