2015/06/06
いよいよ今週よりYoutube、ストリーミングを加えリニューアルしたビルボードジャパンチャート。このコーナーでは、そんなチャートの中からジャンプアップやロングランを見せる注目のシングル曲を3曲ピックアップ。曲の聴きどころとともにそのチャート動向をお届けする。先週このコーナーでピックアップしたUNISON SQUARE GARDENは今週見事1位になったぞ。と自画自賛しつつ、それでは、早速今週も行ってみよう。
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◎STARDUST REVUE「おぼろづき」(チャート:77位→27位/3週目)
活動35年を超えたバンド、STARDUST REVUEによる2014年8月のオリジナル・アルバム『SHOUT』からの一曲が、ここに来てチャートを駆け上がっている。同曲は2015年4月よりスタートしている『松本清張ミステリー時代劇』の主題歌に採用。それをきっかけにラジオプレイが急浮上し、いよいよ今週7位まで上り詰めた。5月27日にはシングルも発売されたが、こちらは213位に留まり、ラジオを中心とした支持という態勢は変わっていない。
曲調は、根本要のヴォーカルを中心に、うっすらと涼しげなコーラスや透き通るように響くシンセサイザーが絡む爽やかな響きが強調されたもの。ゆったりと過ごす夏の夜にぴったりの一曲で、これから夏にかけて更なるロングランになりそうな予感もする注目曲だ。
◎秦 基博「水彩の月」(チャート:84位→44位/3週目)
「ひまわりの約束」のヒットですっかり国民的シンガーへと成長した秦 基博による新シングルは、河瀬直美監督の映画『あん』の主題歌。こちらはチャート時点で発売前(6月3日)のためセールスポイントはないが、ラジオ13位、Twitter98位とジワジワと助走をつけていることが分かる。
曲調は秦 基博の王道といった感じのミドルテンポのバラード。大声で何かを発声すれば、その歌唱力が自然と“歌”にしてしまうような風情というか、つまり、SSWとしては絶好調な状態なのだろう、と思わせる衒いの無さが実に彼らしい。
◎ゲスの極み乙女。「私以外私じゃないの」(チャート:8位→8位/10週目)
ここまで2曲はジャンプアップだったが、この曲はロングランに注目してピックアップ。10週目にして8位という高順位をキープしているところに、現在のチャートの中でも抜きん出たポテンシャルを感じる。今週発表されたチャートでいよいよこの曲がYoutubeの再生回数1位であることも明らかに。それが牽引してセールス(15位)、ルックアップ(6位)も好調。一方、ラジオは74位とやや落ち込んでいるが、YOutube同様接触系のメディアということで、領域が被る部分もあるのかも知れない。チャート動向の詳細は今週から始まった新サービス<チャート・インサイト>でも確認できる。
楽曲は、メロや間奏部ではやや入り組んだ構成/和声進行を聴かせつつ、キャッチーなサビへ繋ぐ、メリハリを活かした展開が爽快感を生むという代物。調性が曖昧で、楽曲が終わってもどこにも終止していない感覚が残り、それが何度もリピートしたくなる中毒性をもたらしている。“みんなの歌”的なベクトルとは真逆の方法でポップ・ミュージックの爆心地に近づこうとしているバンドに改めて注目したい。
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